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プロト版 あんたプリーストでしょ!~嫌われもの異世界転生~   作者: げんげんだの
第2章 忌むべき存在
18/50

第8話(4) ここにいていいんです!


……


……


「スピカちゃん。落ち着いた?」


「……スピカ……」


「ん?」


「スピカ……で……いい……」


「そっか……じゃあ! スピカ! 行きましょうか!」


「……?」


 きょとんとするスピカにギャグマンガのようにズコっとなる。確かに何も説明してませんね。


「スピカ! 僕と一緒に旅をしよう!」


「……困る……」


 またしてもズコっとなる。いやいやここは着いてくる流れなのではないの!?


「パパ……ママ……」


「あぁ、お墓ですよね。確かにお手入れできないのは困りますね……あっ、でも僕の魔法には1度行った場所への瞬間移動の魔法があります。定期的にお母さん、お父さんに報告に戻ることはできますよ?」


「っ!?……なら……ついてく!」


「ふふっ。スピカよろしくね。」


 僕は手を差し出す。


「……うん」


 とてとて……と近づいたと思ったら、ぎゆっと抱きついてきた……あれ? 僕の差し出した手は宙に浮いたままでただ柔らかい感覚が抱きつかれているお腹に感じる……


「……好き」


「えっ、えっあの! とりあえず、村に戻りましょうか!?」


「……むー……」


 赤面の僕と頬を膨らましたスピカは手を繋いで村へと向かう魔法を唱える……【リープ】


……


……


「なんで待ち合わせがここなのよ……」


 教会の前でルリが疑問に思う。それもそのはず村にはちょっと前にぼっこぼこになったギルドの視察チームが駆け込んで治療中だ。その痛々しい傷を見るに十中八九めぐるがやったのだろう。今は村人が事情を聞いているところだが事情を知ったら確実に吊し上げられる……そう思った矢先……目の前にめぐると恐らくスピカと思われる小汚ない布の服の女の子が現れた!


「よっと! ルリさん! お疲れ様です!」


「ちょっとめぐる! どうしてその子ここに連れて来たのよ! 敵地みたいなものよ敵地!」


「大丈夫ですよ。そのための魔法の練習もしてきましたし!」


「でも!」


「……めぐる……このなれなれしい女……だれ?」


「なれっ!?」


 ビックリして2人の声が重なった!


「……わたしのめぐるだ……呼び捨て……にするな……ぐるるるるるる」


 威嚇してるーー!


「なっ! わたしの主だぞ! がるるるるるる」


 マジか! なんで初対面でこんなに威嚇し合ってるの!? 最近の不良でもこうはならないですよ!

 僕が困っていると問題の2人の声を聞き付けた村人たちが集まって来ました。当然ですよね?


「……スピカ、打ち合わせ通りにね」


 こくこくとスピカは頷き……


「ちっ近いぞー! かっかお! 近い!」


「……(どやぁ)」


「ぐっ……こいつ!」


 もしかして仲がいいのでは?


「なんなんだね! これは!」


 ベンさんとミラさんだけではなく村中の人が集まっているようだ。


「めぐるさん! 約束が違うわ! その疫病神をここに近づけないでくれるのではないのですか!」


「あっあの【プリースト】だよ! 俺の仲間に手を出したやつは!」


 ギルドの奴も交ざっていた。ガヤガヤしている中……僕は上級魔法の詠唱をブツブツ唱え始める……

それを合図にスピカは大声をあげる。


「うるっさーーーーーーーーーい! ……ぞ……」


 一気に周りが静まりかえる……


「ハーフエルフの何が悪い! ……お前らのほうがよっぽど悪者だっ!」


……


……

「ふざけるな! ガキの分際で!」


 1人が叫び出しどんどん続いていく。


「いい気になりやがって殺すぞ!」


「穢らわしいハーフエルフは出ていきなさい!」


「疫病神が!」


 詠唱の準備が終わりスピカの肩を抱き合図を送る。ルリさんも巻き込まれたないように手を引く……


「災いじゃないっ! 聖なる力に私は守られてるんだっ! ……うがあっ!」


 スピカが手を前に突き出した瞬間…… 


『光と炎を司りし熾天使よ……我が手に光炎を【神の炎-ウリエル】』


 3人の周りを白く光輝く炎がごうごうと立ち上がる。村人は悲鳴をあげる。白炎が村の外に向け燃え広がって炎の道ができる。熱いと叫び白炎に水をかけるが一瞬にして水が蒸発してしまう。

 しかし、建物に炎が当たっても燃え広がりはしない。ウリエルの白炎はめぐるが燃やしたいと思った物、熱さを認識させたい対象にしか炎としての効果はでないが、逆に燃やしたい相手に対しては一生消えるのとのない白い業火に焼かれることになる。

 その炎の道を3人で村の外に向け歩いていき外に出たと同時に炎が消える……ルリさんは起きている現象がわからずただ着いてきただけでした。


「私は村を出る! ……わたしに手を出すな……かまうな……近づくな……破ると神の炎で街を焼き尽くす!」


 村人たちは足がすくんで動けない。尻餅をついたり、失禁している物もいる。

 3人揃って旅路に出ようとしたときミラさんが叫ぶ……

 

「なっ……なんでこんな災厄を許せるの! あんた【プリースト】でしょ!?」


……


「神様につかえるのが【プリースト】なので……」


 僕はにんやりと笑った……がくっと膝を尽くミラさん


 村と僕たちを遮るようにウリエルの白炎が立ち上がりその炎は3日3晩燃え続けた……





つづく

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