第1話 嫌われものが神様に会いました
ー人生において厄介ごとに関わるのはよろしくないー
というのが僕「千歳 めぐる-ちとせ めぐる」の考えです。
だってそうでしょう?
学校ではいい生徒を演じ過ぎると雑務を回され、目立つため不良グループにもイジメられる可能性大。
いい成績を取ると陰湿なガリ勉くんにも敵対視。
スポーツも頑張ると「うちの部活で全国目指そう!」と暑苦しい連中に声をかけられる。
ルックスは普通よりは少しモテるほうなのかもしれない。
なので全て頑張ると目立ってしまうのです。
もちろん、特定メンバーと仲良くなっても拗れた時の跳ね返りがめんどくさいので遊びにもいきません。
成績は上位グループをちょい外れたところにいます。受験という本番で出し抜けばさよならなので。
というわけで、1人ぼっちだけでなくノリ悪いとかうぜーとか普通に嫌われものです。
そんな僕は今学校の不良グループに3人に囲まれてます。
まさに厄介ごとです。
「お前だろ。先生にチクったの?」
「先生には話してませんよ? 僕はあなた方がイジメている現場の近くを通っただけです」
「うるせー! 呼び出されて相当時間くったんだよ! わかる? 時は金なりだよ?」
うわー話を聞いてくれないです。
えっ、チャキチャキ出してるのナイフ?
一昔すぎませんか?
これなら学生ですし、少し痛め付けましょうか。
「とりまボコッてこいつパシりにしちゃうw?」
「あっはっはwマジウケるっぎゅえぁっ!」
偏差値2ぐらいの話を聞く義理もなく手前の奴の顔面に上段足刀蹴りを叩き込む。
笑って目を細め後ろを向いたので即時大技が叩き込める。
「ひぎゅっ! いっぎゃあああ!」
手前の奴を倒し即時近い2人目の奴に松葉撃ちという目打ち打撃を行う。通常のじゃんけんチョキの目打ちより松葉撃ちはぶつかる直前に手をパーで弾くように撃つので命中率高いし、つき指でケガをしない。
2人を即撃破した僕は難なく3人目まで到達、胸ぐらを掴んで引き寄せようとすると人間の条件反射で後ろに抵抗するーーー
瞬間、僕も相手の側面に移動。相手の体重を僕側に引き寄せ、足を後ろに蹴りあげる。
「ごあっ!……ぐっ……うぅう」
大外刈り。
コンクリートに叩き付けると普通に交通事故レベルです。僕はうずくまる3人に笑顔で
「僕からも一言。他言したらピーしますよ?」
僕は護身のために格闘技を小さいころから二桁の流派を経験し帯あり武道は全て黒帯です。
※武道段もちは一般人に手を出してはいけません
そんなこんなで普通に嫌われものです。
絡まれたら返り討ちにする。
噂が広まるで17歳で友達1人もいないです。
そして、今までの素行から
「1人でなに考えてるかわからないやつ」
「危ない気持ち悪いやつ」
おいおい自分を守っただけですよーと、寂しいし虚しくはあります。
この自分の性分は何とかしたいと思いますが、やはり、あと少し待って大学デビューとやらでそこからリセットですかね? 変わりたいです。きっかけがすこぶるほしいです。
めぐるの横を小さな女の子がすれ違う……
「あっ、おかーさーーん!」
とか何とか考えながら、いつもと変わらない帰り道を通っていたら突然ーーー
えっ……
一瞬世界が止まる。
なんですか……? これ……
動けないが目線だけ動かせる。
幼稚園生? 小学生? くらいの女の子。
いやいやいやいや、信号赤ですよ! 赤! 赤!
トラックーーーー!
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!
周り! 近くの人! 大人の人! お母さん系の人! 正義感にあふれた人! 運動神経良さそうな人!
いない!
皆無! 皆無!
まっまままままぁ、子供は体が柔らかい言いますしぶつかっても林に飛ばされて無傷でしたーとか何とかありますよね。
奇跡体験なんちゃらとかTVにもありましたよねー。
なんとかなります。なんくるないさーですよね!
僕がこんな厄介ごとに、てゆーか助けに入っても確実に死にますよね?
……
あれ?
向こうの歩道の少し先の女性青ざめて泣いている?
お母さん?
あっ、考えごとしてる時、女の子が叫んでいた!
お母さんを見つけたから飛び出していった?
お母さんの顔……
女の子が死んじゃったら……
そうっ!
きっかけ!
あの女の子を助けられたら変われるっ!
変にひねくれた利己的な僕も変わろうと思える!
誰かじゃなく、あのお母さん、女の子からしたら僕なんだ!
僕が助けるんだ!
っ!
動けるようになった僕は飛び出して、女の子を突飛ばした!
が突飛ばした本人の僕はその場に残ってしまった。
迫るトラック……
大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫!
僕は黒帯数本持ってるし受け身も各武道の受け身が取れる!
先生、師匠、師範、トレーナー、コーチみんな
『ーー受け身の取れる奴は車にひかれても助かったんだぞーー』
って言ってたので大丈夫で……す……
ゴシャっ!
……
……
「うわぁああああああっ!」
ガバッと起きる。
「ここは……天国?」
周りは世界史の教科書や、ゲームで見たことあるような白い神殿みたいなところ。
緑の綺麗な木々に空からの光が暖かくこのまま昼寝とかしたらどれだけ気持ちいいのかーーーー
「いやいやいやいや、違う違う違う! あれ? 僕って死んじゃったんですか? 確かにトラックにひかれるとか物理的に受け身もクソもねーですが!」
と狼狽えて僕の前に
「ーーーこんにちは。千歳めぐるさん。ーーー」
つづく。
読んでくださった方。誠にありがとうございます。
初めて書かせて頂くので誤字脱字、変な表現があると思いますがよろしくお願いいたします。