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三人の容疑者!④

 部室を出て、まず上野先生に話を聞くために職員室に向かう。

 俺みたいな優等生とは言えない生徒にとって、職員室って場所は何か近づき難い所で、可能であるならば、在学中は一度もお世話になりたくない場所だ。

 そんな場所に行って、容疑者である先生の聴き取り調査をするっていうのは、あまり気が進まなくもある。

 けど、美咲ちゃんの気持ちを考えたら…………、うん、やるしかねーな。



 うちの学校の校舎を上空から写真撮影をしたら、カタカナのエの形状をしている。カタカナのエの上の横線が旧校舎、下の横線が新校舎、その上下の横線を繋ぐ縦線が渡り廊下だ。その縦線の真ん中辺りを、俺が歩いている時にメールが届いた。

 送ってきたのは葵だ。


『今どこ?』


 今どこって、そんなの決まってるじゃないか。


『学校だよ』

『バッカじゃないの! そんなの分かってるわよ。学校のどこに居るのかってこと』


 あーっ、そういうことですか……察しが良くなくて、わるーございましたね。


『新校と旧校の渡り廊下』

『あんた、まさか美咲ちゃんと一緒じゃないわよね』

「『違げーよ!』」


 やべ〜っ、メール打つと同時に突っ込んじゃったよ。


『ふ〜ん。で、今からどこか行くの?』

『職員室』

『職員室? 何で?』

『美咲ちゃんの机に封筒を入れた可能性のある人物が三人いるんだ。その一人の上野先生に話を聞くために、職員室に向かっているところだよ』

『そうなんだ。じゃあ、私も行くからそこで待ってて』


 一緒に行くって、今朝はあんなに機嫌が悪かったのに何でもう直ってるんだ? うーん、訳が分からない。

 まあ、とりあえず、来るって言ってるんだから待つとするか。


 その間に、防犯カメラの映像に映っていた三人を思い返してみる。

 普通に考えて、自分の教室(担任)じゃない彼らは、何らかの理由がないと美咲ちゃんの教室に入ることはない。そう考えると重要なのは、彼らが話すであろう理由が理にかなっているかどうかだ。

 そして現段階では、一番不可解な行動をしていたサッカー部の柳田先輩が、犯人の有力候補になるんだろうな。


「何、ぼーっとしてんの?」

「うわっー」


 葵の顔が目の前にあった。


「何を驚いてるのよ」

「何って、いきなり顔を近づけられると誰だって驚くだろ」

「へーっ、やっぱり、こんな美人に顔を近づけられるとドキドキするんだ」


 お前、どんだけ自意識過剰なんだよ! とは言うものの、少しは可愛いかなって思う自分が嫌だから、思いっきり全否定する。


「バーカ、んなわけねーだろ」

「あ、そう」


 葵は頬を膨らましてそっぽをむく。たぶん他の人から見ると、こんなところも可愛いって言うんだろうな。


「ほら、さっさと行くぞ」


 俺は葵に構わずに歩き始める。


「ちょっ、ちょっと待ってよ!」


 慌ててついて来た葵と俺は、並んで職員室に向かう。


「それで、さっき言ってた上野先生の他の犯人の可能性のある二人って?」

「一人は化学生物部の香月先輩。もう一人がサッカー部の柳田先輩」

「香月先輩と柳田先輩か…………」

「知ってるのか?」

「うん。二人ともけっこう有名だからね」


 有名って、俺は二人とも全然知らないぞ。


「あんたは全くそういうのには興味ないもんね」


 やれやれって感じで溜息をついている。

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