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三人の容疑者!②

「お・に・い・さ・ん?」


 あ、あの〜、葵さん、そんな怖い顔しなくても…………、可愛いって言われてる顔が台なしですよ。


「あんたね!」

「はい」

「私、言ったわよね! 友達に手を出すんじゃないって!」

「い、いや、手を出すって、別に何かあったわけじゃないし」

「ふぅ〜ん。何も無くって『お兄さ〜ん』とか『美咲ちゅわ〜ん』とか呼び合うの!」

「ちょっと待てよ、今、えらく脚色されてなかったか? 『お兄さ〜ん』とか『美咲ちゅわ〜ん』とか呼び合ったことなんてないつーの!」

「どちらでも同じことよ!」

「違うよ!」

「それじゃあ、どうしてそんな呼び方してるのか教えてくれるかしら?」


 うーん、困ったぞ。昨日の会話をそのまま言えばいいんだろうけど、それだと美咲ちゃんの立場が悪くなりそうな気がするし……うーん、どうしよう……。


「ほーら、何も言えないじゃない」

「それは……ともかく、俺は美咲ちゃんに手を出したりしてないから!」

「おや? 妹の友達に手を出した犯人は逆ギレですか?」

「犯人じゃないつーの!」


 まったく、何でこんなに突っかかるんだよ。


「まあ、あんたが誰と付き合おうがい・も・う・との私には関係ないことだけど!」


 だから、何なんだつーの。


「ふん。私も用事思い出したから、先に行く!」


 葵は俺にあっかんべーをして走っていった。う〜ん、訳が分からない。気持ちの良い朝のひと時が、一転して暗雲立ち込める朝になってしまった。

 今日一日、悪いことが起きなきゃいいけど。



「和紗君、またやったそうじゃないか」


 何事も無く、粛々と授業も進み、放課後、部室に来ると、いきなり小早川部長が俺の肩に腕を乗っけてきた。


「何がですか?」

「葵ちゃん、相当怒ってたらしいぞ」

「誰から聞いたんですか?」


 思い当たる節があるので、そちらに目を向けると、ノートパソコンの前にいる知夏ちゃんがさっと目を逸らした。

 お前か〜、要らない事を言ったのは!


「それで、実際のところどうなんだ?」

「何がどうなんですか?」

「いや、その…………」


 口ごもっている部長の代わりに、知夏ちゃんがバシッとストレートに聞いてきた。


「悠先輩と美咲ちゃんの関係じゃないですかぁ〜」

「あ・の・ね。はっきりと言っておくけど、何の関係も無いから。昨日、お互いの呼びかたの話になってそうなっただけだから」

「本当にそうなんですかぁ〜」


 知夏ちゃんは明らかに疑いの眼差しで俺を見ている。


「本当だよ! それよりも、美咲ちゃんの机に手紙を入れた可能性のある三人のことはどうなったんですか?」

「あっ、そうだ! 和紗君の話が面白くてすっかり忘れてた」


 俺と妹が仲悪くなっているのがそんなに面白いことなのかい! というか、本音は俺が美咲ちゃんと付き合ってないか探りを入れたかっただけじゃないのか?


「よかったですねぇ〜、小早川部長〜。悠先輩と美咲ちゃんが付き合ってなくて〜」

「ああ、ホッとしたよ。……ってそんな訳ないじゃないか。知夏ちゃん」


 図星かよ。

 小早川部長は咳払いをひとつしてから改めて話し始めた。


「それでは、三人の容疑者についてなのだが、知夏ちゃん、あの映像を」

「は〜い」


 知夏ちゃんは手元にあったノートパソコンをこちらに向けた。画面には学校の廊下らしきものが映し出されている。


「え〜とぉ、これは昨日の朝の、美咲ちゃんのクラスの前の廊下の防犯カメラの映像ですぅ」


 うちの学校は防犯の為に各廊下ごとにカメラが設置されている。でも、防犯カメラの映像って職員室で管理されてるんじゃなかったかな?


「知夏ちゃん、よくこの映像を手に入れたね?」

「それは任せて下さい〜。先生に校内の廊下の利用者状況を調べたいって言ったら、貸して貰えましたぁ」

「おお! えらいえらい!」

「褒めても何もでませんよぉ〜」


 部長が知夏ちゃんの頭を撫でて褒める。知夏ちゃんはくすぐったそうに片目を瞑りながら照れている。

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