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三人の容疑者!①

 俺が家に帰ってリビングで飲み物を飲みながらくつろいでいると、しばらくして葵が帰ってきた。いつもなら自分の部屋に直行するはずだが、今日はリビングの前でぴたりと止まり扉を開けた。


「やっぱりここに居たか」


 やっぱりってどういうこと? 俺がここに居ることを分かってたってこと? いや、それ以前に基本的には俺は学校から帰ると自分の部屋に居るし、それに仮に部屋に居なかったとしてもトイレかもしれないし、お風呂かもしれない。それがやっぱりって、おまえどんな超能力者なんだよ。


「で、美咲ちゃんの件だけど、どうなったの?」

「どうなったって、今のところ何も起きては無いよ。家まで送っていったけど犯人らしき人物も見なかったし」

「ふ〜ん。美咲ちゃんとは話したの?」

「まあ、普通に世間話をね」

「あ、そう」


 そう言ってリビングを出て、二階にある自分の部屋に向かったようだ。

 『あ、そう』ってえらく薄い反応だな。友達のことなのにもっと心配しろよ。とは言うものの何かを聞かれても、今のところは何も分からないのが実情なんだけど。


「さてと、俺も自分の部屋に行くかな」


 ソファから立ち上がろうとした時に、テーブルに置いてあったスマホにメールが届いた。


「ん? なんだ?」


 差し出し人は小早川部長だ。とりあえずメールを開いてみる。


『前略 しっとりとした空気に緑の香りが漂う初夏の候。

貴殿におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます』


「………………」


 俺はメールをゴミ箱に捨ててやった。

 すると、即座に二通目のメールが届く。鬱陶しかったのだが、しょうがないので、いやいや開く。


『親しき仲にも礼儀ありだよ、和紗君。という訳で』


 何がという訳なんだよ。ってか、前置きが長いつーの。どうせロクでもない内容の話なんだろうけど、続きを読む。


『唯倉さんの机に手紙を入れた可能性がある人物が三人見つかった。詳しくは明日、部活で話をする』


 超重要な話じゃないか! 要らないメールを送ってないで、これを先に送れよ。ったく…………ん? まだ先があるな。


『それから、唯倉さんは私のことを何か言ってなかったかな?』


「言ってねーよ!」


 全力でメールに突っ込み入れてしまった。



 翌朝

 気持ちの良い晴天の空に、女子高生のキャピキャピ声が響き渡っている。そのキャピキャピ声の出どころは、俺の前にいる美少女二人だ。今朝は美咲ちゃんをボディーガードすべく、葵と美咲ちゃんの家に迎えに行って、今こうして学校に向かっているわけである。

 えーっと、俺はさっき美少女二人と言ったが、誤解の無いように言っておく。美咲ちゃんは文字通り可愛いと思うが、葵は…………周りのみんなが可愛いと言うので、とりあえず可愛い分類にしているが、俺は以前にも言ったと思うが可愛いとは思っていない。

 まあ、目の前で後輩と妹がキャピキャピしているのを見ると、何だか二人の保護者気分になる。朝の風景としてはそう悪いものでもない。

 しかし、こうして気を抜いた時こそ大きな落とし穴が待っている。


「お兄さん! お兄さんはどう思います?」

「ん? 何の話、美咲ちゃん」

「聞いてなかったんですか? もう、しょうがないですね」


 美咲ちゃんは少し頬を膨らませている。そんな表情も可愛いのだが、その隣でドス黒いオーラを放っている人物がいる。


「お、おにいさん……み、みさきちゃん……」


 葵は小声でぶつぶつ呟きながら、怒りの顔で俺を見ていた。

 や、やばい!

 どうやら美咲ちゃんも感づいたらしい。


「えっ、えーっと、私、クラス委員長の仕事を思い出したので先に行きますね。頑張って下さい。お兄さん」


 ちょ、ちょっと! え、えっ! この状況を丸投げして行っちゃうの!

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