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ボディーガードって楽しい?④

「それって、どんなふうに話題になってるの?」

「そうですね。お兄さんが過去に解決された事件の話とか」

「どんな事件の話?」

「たとえばコスプレアイドル失踪事件だにゃ〜とか」


 あ、そういえばそんな事件も解決した…………。

 はぁ〜〜っ? ちょ、ちょっと待てよ! 今なんか語尾についてなかったか?


「悪いんだけど、もう一度事件の名称を言ってもらえないかな?」

「はい。コスプレアイドル失踪事件だにゃ〜です」


 にゃ〜? 

 確かに俺は、コスプレアイドル失踪事件を解決したことがある。しかし、その語尾についているにゃ〜はなんだ? いや、美咲ちゃんの口から発せられる声音は、物凄くかわいくて何度も繰り返し聴きたくはなるのだが……。


「あのさ、その名称は、みんながそう呼んでいるの?」

「はい。みんな知ってる有名な事件ですよ。お兄さんが解決したんですよね」

「そ、そうだけど……」


 俺が真面目に解決した事件が、どこかのアニメキャラが話すような名称になっていたなんてまったく知らなかった。


「ちなみに聞くんだけど、その語尾についているにゃ〜ってなんなの?」

「ああ、これですか。私も自分で言っていて結構恥ずかしいんですけど、どうやら失踪したコスプレアイドルの口癖だったみたいです」


 そういえば、あのコスプレアイドルの娘そんなしゃべり方していたな。あの事件のことを思い出しながら、俺はふとイヤな予感がした。


「そ、そうなんだ。あ、あははは。で、美咲ちゃんは俺の解決した事件って他にもなにか知ってる?」

「他にですか…………うーん」


 顎に手を当てて考えている美咲ちゃんの艶やかな唇から出てくるであろう言葉を、俺は戦々恐々とした思いで待っていた。


「あ、思い出しました。三神島でファイヤー! 事件も有名ですよね」

「ファイヤー?」


 ファイヤーって、何か燃えちゃったの? て言うか、三神島の事件て宿泊学習でキャンプファイヤーをやった時に、突然キャンプファイヤーの炎が消えた事件で、燃え上がって無いどころか消えちゃってるんですけど。


「あのー、美咲ちゃん? ファイヤーってのは何か意味があるのかな?」

「ああ、それは事件の話を最初に聞いた生徒がキャンプファイヤーのファイヤーを取って付けたんじゃないかな?」


 単純かい!

 何か頭痛がしてきた。頭を抱えている俺に美咲ちゃんが顔を近づけてくる。


「大丈夫ですか?」


 うわっ!

 目線を上げると、目の前10センチくらいのところに美咲ちゃんの顔があった。さすがに、こんな間近で美少女を見ると、俺の心臓の鼓動も大きく脈打ってしまう。


「あ、ああ、だ、大丈夫だから……」

「そうですか? なんなら、他の事件の話にします?」

「いや! もう勘弁してください」


 本当マジでこれ以上、俺が真面目に解決した事件の名称を面白おかしく変更されていたら、俺の心が耐えられない。


「そうですか…………」


 残念そうに、俺から顔を離していく美咲ちゃん。確かに俺が解決した事件の話は、共通の話題としてもってこいだといえばそうかもしれない。でもこの話を続けると、俺のHPがどんどん削られていって、最後には0になりゲームオーバーということにもなりかねない。俺としても美咲ちゃんのナイスな話題の振りは有難かったのだが、話題を変えることにした。


「えっと、そういえば葵とはいつ友達になったの?」

「それは…………」


 そんな他愛もない会話を交わしながら、美咲ちゃんを家まで送って俺は帰宅した。

 もちろん、その間に犯人らしき存在は確認することは出来なかった。

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