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短編小説

戌年だからって、犬転生は安直だと思います

作者: 半信半疑
掲載日:2018/01/02

 超短編にしようかと思ったけれど、長くなったので短編扱いに。

 2000文字くらいです。

 結末は分かりきっているので、転生するまでの過程を楽しんで下さい。


 暗いトンネルを抜けると、そこは白い世界だった。

 驚きの白さだった。漂白剤もビックリ。


「いったいここは、どこなのかしら?」


 思わず呟く。

 別に、誰かへ宛てて発した言葉ではなかった。

 けれど、その独り言を拾う人がいた。


 いや、あれは人なのかしら?


「お嬢さん、ちょいとこちらへ来なさい」


 頭の上に丸い輪っかがあるわ……。

 もしかして、天使さんかしら?

 できるなら、イケメソが良かった。


 あんなおっさんじゃなくて。

 まぁでも渋い感じだし、悪くないわね。


「何やら、貶された後にフォローが入った感じがした……」


 何このおっさん、こわい。

 サトリ(妖怪)かしら。

 ニトリ(店名)ではないでしょうけれど。


「まぁいいか……えー、ごほん。

 お嬢さん、残念ながら、あなたはお亡くなりになってしまいました」


 えー、いつ死んでしまったのか、全く覚えていないわ。

 確か、新年の始めということでお雑煮を食べていた気がするのだけれど…。


「信じられないのも無理はない。しかし、事実だ」


 じゃあここは、あの世だとでも言うわけ?


「そのとおり。そして今、お嬢さんは選択を迫られている」


 洗濯? でも、ここは驚きの白さだったけれど……。


「違う、そうじゃない」


 ごめんなさいね、どうやらボケたい病を発症したみたい。

 あ、あー。あん?

 う、うー。うん?

 ……もう大丈夫、抑え込んだから。


「そ、そうか」


 気にせず続きをどうぞ。


「あー、君には二つの選択肢がある。

 一つは、元いた世界で新しい生を授かるという選択肢。

 もう一つは、異世界で新しい生を授かるという選択肢だ」


 違うのは、生まれる場所だけかしら?


「いや、『何に生まれるか』が違う。

 元いた世界では、どう足掻いても虫になる」


 虫? 虫はちょっと……。


「そして異世界の場合は、ランダムだ」


 ランダム? 虫になる可能性もあるの?


「いや、今回は虫になる可能性はない。

 しかし、獣などになる可能性はある」


 人にはなれないのかしら?


「可能性はあるが、限り無く低い」


 そう。まぁ、その二つだったら、異世界の方が良いわね。

 さすがに虫はキツイから。


「そうか。じゃあ手続きをしよう」


 おっさんは何やら、大量の袋を用意し始めた。

 見覚えのある袋に入れられている。お正月によく見かける袋だ。


「時期に合わせてみた。この中から一つ選んでくれ」


 中には何が入っているの?


「転生キットだ。

 お嬢さんが選ぶことのできる範囲で色々詰め込まれている。

 種族とかスキルとかな」


 えぇ……。

 こういうのはこちらが特定のものを選択できるんじゃないの?


「そこまですると贔屓になる。

 私は、平等を心がけているんだ。そこまで譲歩はできないな」


 まぁ、生きるってそんな感じよね。

 仕方ない、そこは諦めましょう。


 で? この中から一つ選ぶのね?


「あぁ、好きなものを選ぶといい」


 紅白の袋が大量に並んでいる。

 私にシックスセンスみたいなものはない。

 ここは、運に任せてみましょう。


 そうね……、真ん中の袋にするわ。


「それにするのか? そうか。

 ではさっそく、お嬢さんを異世界に送ってやろう」


 もう? 早すぎない?

 早すぎる男は嫌われるらしいわよ。


「お嬢さんは、いささか下品だな…」


 褒めないで。照れるじゃないの。


「褒めていないのだが…。まぁいいか。

 では今度こそ、異世界に送ろう。

 素敵な異世界ライフを」


 ありがとう、おっさ…おじさま。

 私、『犬塚いぬづか弥生やよい』は、異世界で生きてみるわ。

 さようなら。天使モドキのおじさま。


「いや、私は天使じゃ——」


 おじさまの言葉を聞き終える前に、私の意識は闇に呑まれてしまった。



◇◆◇



「う、うーん」


 瞼に陽の光を感じて、私は目を覚ました。

 でも、何だかおかしいわ。

 体の構造に、違和感がある……。


 そういえば、不審者おっさんが言っていたわね。

「虫にはならないけれど、獣になる可能性はある」って。


 さてさて、私はいったい何に転生したのかしら?


 とりあえず、自分の手らしきものを見てみると、そこには…。


「……犬の手?」


 どうやら私は、犬に転生したみたい。

 そうか、犬か。犬ですか…。


 とりあえず吠えておきましょう。


「わおーーーーーーーん」


 こうして、私の異世界犬生が始まりましたわん。


 お餅には注意しましょう。

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