婆・女神転生〜幸福を焚べよ〜▶︎終末世界で俺は地雷使いの転生者として老害達を爆殺ス◀︎

耳を劈くブレーキ音に不快を感じながらその運転手と目が合う。

高齢者ドライバー……パッと見、75歳の婆だ。

夜勤明けのハッキリしない意識の中、今日が自分の命日かと全てを諦めた。西暦2145年、超高齢化社会に訪れた災悪、それは高齢者ドライバーによる巻き込み死亡事故だった。

法規制による安全強化はされているものの、車利用を止めない高齢者達はあらゆる手段を使ってドライバーたり続けた。時には金を、時には免許偽造を、そして自ら武器を持ち、老いた身体を機械化してまで車に乗り続けた。何が彼等をそうさせるのだろうか。それは俺にも分からない。

高齢者達を賄う圧倒的な税金、若者達は賃金の殆どを税へと吸い上げられ、税の奴隷としてその鋭牙を折られていた。

そんな中、世界で搾取され続けていた世界に一筋の光が射す。

その現状を見かねた「世界の境界を司る神々」は世界の盟約を破るギリギリの特別処置として、死因が高齢者ドライバーによる巻き込み事故であった場合に限り、報われない魂は他世界へと導かれる取り決めを行なった。歩めなかった人生の幸福をポイント換算し、それを転生後の＋αとして付与してくれた上で。

そう、俺は、新しい人生を異世界転生でやり直す！

指向性対車地雷製造業勤務の冴えない俺の人生は今始まっ……らない！？

「あっ！君は確か……さっき轢き殺した青年だねっ！」

俺より先に加害者の婆が女神に転生して横に居た。
どうやら特別処置は轢いた側にも適応されるらしい……。

どうなる俺、どうなる世界？！

異世界で始まりたい主人公と現世に戻りたい転生女神が繰り広げる始まりそうで始まらない物語が今、始まる？どっちだ？

異世界よりも現世がヤバくて救われない。