続く……的な
地球から送られた妙な能力にも慣れ、少しは恩返しが出来るかと思い始めたある日、それは告げられた。
「本日をもって、マサラ子爵竜安寺家は解散いたします」
使用人だけでなく、近隣の代官や資産の管理人の前でお嬢様がそう通告したのだった。
当然にざわめきが起きる。俺も「ぇ……」って声に出してしまったし。
実は少し前にお嬢様にとってショックな出来事があったのだが、だからと言って自棄になるような人じゃない。さっきの宣言だって決然としたものだった。
場の混乱が収まらないうちにお嬢様が続ける。
「資産も放棄することとなりますが、その前に使用人におきましては自由民といたします。鉱山・牧場・商店その他の管理は資産の引き継ぎがなされるまで、価値の維持の限度において従来と同様に活動しなさい。以上です」
恩を返そうと思った途端に出て行けときたもんだ。役に立てそうにないが、それでも一言くらい相談して欲しかった。いや、俺が一方的にお嬢様に近いと思っているだけで、実際には俺の立場や能力を考えれば相談がないのは当然なんだけどさ。
しかし、この世界に飛ばされて、ようやく居場所を見つけたと思ったら再び喪失してしまった。いや、引き籠っていた頃はこの世に俺の居場所はないと思っていたので、今回の方がショックである。こんな事なら地球に帰っておけば良かった。いきなり自由民と言われたって、明日からどうやって生きていこう。……なんて、その時はお嬢様の気持ちも知らずに思ったものだった。
そして、この時は知らなかったんだ。これが全ての始まりだったなんて。




