魔王城襲撃
なんか話の展開が早過ぎる気がするのは気の所為ですかね?このことに付いては読者の皆様にお聞きしたいです。もしかしたら手直しするかもしれません。
「う〜ん……朝、か……」
異世界二日目、俺は宿屋の一室にて目覚めた。
「ったく…昨日は散々だったな…」
俺は依頼を完遂させて戻って来た時を思い出し一人呟く。何か二つ名的な物も付けられたし……
「今日は魔界に行って魔王と接触だな」
今日の目的を呟き、俺は宿の階段を降りる。
「あっおはようございます!お食事の用意は出来てますが、今すぐ取られますか?」
宿の一階の食堂に来た俺を迎えたのは元気の良いこの宿の看板娘だ。どうもこの宿は親娘で経営してるらしく、父親が経理を担当し、母親が食事の担当。そして娘は看板娘として受付をしている。
「ああ貰おう」
食事を貰った俺は、パンを片手に今日のことを考えていた。
(魔界は確か別次元に存在してるんだっけな…何処かに魔界に通じるゲートがあるらしけど、俺は自力で次元跳躍出来るし関係無いな…問題は魔王がどのくらい強いかだな…こればっかりは「神の知識」でも分からないし…)
「ふう…美味かった。ご馳走様」
俺は考え事しているうちに食べ終えた食事を看板娘に渡し、礼を言い、宿を後にして街の外に向かう。
「この辺りでいいかな…【次元突破】」
俺は周囲に人が居ないのを確認して次元跳躍をする。これは一種の時空間魔法であり、空間魔法の上位互換である。この【次元突破】は発動する際、かなり目立つエフェクトがあるので、人前でやると面倒な事になってしまうのだ。
「さて、と魔王ってのはどんな奴だろうな…」
俺は一言呟き、次元突破で開けた時空の壁を潜る。
一瞬真っ暗な空間に入ったと思うと、次の瞬間目の前に広大な荒野が現れた。朝の時間帯にも関わらず薄暗い空と、荒野のあちこちに存在する強力な魔物の反応、恐らくその魔物達はSランク相当だろう。
「ここが魔界か…知識にはあったが、実際見ると、何か落ち着くな…」
因みにこれは和人が絶望という物を身近に感じていた為の反応であり、普通の人だと落ち着くどころか、嫌悪感で顔を顰めるはずなのだ。
「さてさて、魔王様はどちらかな?」
俺は感覚を研ぎ澄ませ、強大な魔力を感じ取る。するとここから数十キロ先に、強大な魔力反応を幾つか感じた。間違い無く魔王とその側近達だろう。
「あっちか…」
俺は反応が会った方に目を向け、反応があった方向に走り出す。その速さは音速をも超えて、亜光速に突入した。アナザリアではそのスピードに大地が耐えられ無いので音速で留まっていたが、この魔界は魔力が満ちていて、大地はその強大な魔力を吸収して異常な強度を持っている。その為俺の亜光速の速度にも耐えられるのだ。
「到着♪」
亜光速の速度で駆けて来たため、直ぐに件の強大な魔力が集まっている場所に辿り着いた。そこはまさに魔王城と言った赴きの城で、漆黒のモンの先には禍々しい銅像が綺麗に並べてあり、余計に禍々し差を強調してある。
「へぇ…結構良いところじゃん」
だが先程も述べた様に、和人の美意識は何処か他の人とズレているので、この禍々し差を逆に素晴らしいと捉えている。
「貴様何者だ⁉︎」
そうこうしていると、門番らしき魔人が俺に誰何を問うて来た。
「えっ?俺?俺は間上 和人。いや、こちらではカズト マガミが正しいのか?」
「貴様何しに来た⁉︎」
名乗ったんだから名前で呼べよ……
「うーん……魔王に会いに?」
「魔王様に貴様の様な者が来るなど聞いておらん!よって侵入者とみなし貴様を捕縛させて貰う!」
特に隠す事では無いので素直に言うと、門番の魔人(多分オークの魔人)は手に持ったハルバードを片手で操り攻撃して来た。
「いやまあ、アポは取ってねぇし聞いている訳ねぇよな」
それを動じる事無く右手の中指と人差し指で挟んで受け止める。オークの魔人は顔に驚愕を浮かべ、ハルバードを引こうとするが、動かすことは叶わず、ならばと更に踏み込んで来るが、俺はそれを気にせずハルバードごとオークの魔人を持ち上げ、魔王城の入り口に向け思いっきり投げ付ける。
「まあ荒事の方が俺好みだし、魔王に会う前に少し楽しませて貰おうか!」
魔王城の入り口は、俺が投げ付けたオークの魔人により轟音を立てて吹き飛んだ。その際オークの魔人は既に気を失っていた様で、白目を向いて気絶している。
「何事だ⁉︎」
門の破壊音に気付いた魔人達は我れ先にと門に集まって来て、気絶しているオークの魔人を見て慌てている。その際一部の者が俺に気付き魔王城全体に響く様な大声で敵襲を告げる。
「て、敵襲ー!敵襲ー!戦える者は城門前に!」
「何⁉︎敵襲だと⁉︎」
「ポークが殺られた!敵は人間だ‼︎」
「人間だと⁉︎馬鹿な⁉︎どうやってこの場に⁉︎ゲートに揺らぎは無かったぞ⁉︎」
ぶほっ!吹き出しちまった!何あのオークの魔人⁉︎ポークって言うの⁉︎やべぇ名は体を表すって言うけど、あいつの場合完璧に食料じゃん⁉︎この名前付けた奴ヒッド⁉︎
俺が内心吹き出していると、いつの間にか魔人達がかなりの数集まって来ていた。
「人間よ覚悟して貰おう!我等魔族、貴様を殺し、人間界に攻め入る足掛けにしてやろう!いくぞ!」
「「「うおおおぉぉぉ‼︎‼︎」」」
大気を揺るがさんとばかりに声を張り上げた魔人達は、我れ先にと俺に向かって各々の武器を振り上げ襲いかかって来た。
「いいねぇ!纏めて相手してやるよ!」
そう言って俺も自ら敵に突っ込み、魔力を纏わせた拳を突き出す。その瞬間爆発的な衝撃が俺の拳を中心に発生し、近くにいた魔人全てが吹き飛ぶ。
「なんだとっ⁉︎くそっ!全員距離を取り魔法攻撃をメインに戦え!」
一撃に半数以上を失った魔人達は、皆一斉に距離を取り魔法攻撃に変更して来る。どうやらあいつが指揮官らしい。
「良い選択だ……だが俺には無意味!」
俺は迫り来る魔法を創造魔法にて瞬時に創り出した双剣で一つ残らず斬り落とし、剣を振るった衝撃で再び半数以上の魔人を吹き飛ばす。勿論さっきのも含め誰一人殺していない。殺すと魔王との話が面倒になりそうだした。
「さて、残ってんのテメェらだけだが……まだやるかァ?」
残った魔人達を睨み付け軽く魔力を解放する。
「あ…あ…ああ……」
すると残った魔人達はその瞳を怯えに染め、無意味な言葉を発しながら無意識の内に武器を捨て跪いた。勿論「超越者」を発動した訳では無い。純粋に俺の魔力に当てられ、立っていることが出来なくなったのだ。
「ここまでか……【睡眠の誘惑】」
俺は睡眠魔法で跪き戦意を無くした者達を眠らせた。戦意を無くした者が俺の魔法を抵抗出来る訳も無く、何の手間も無く意識があった魔人達の意識を眠りに誘う。
「残りは……?」
俺は魔力感知の範囲を城に突き破る向け魔王を探すと、一つの超大な魔力反応のそばに、強大な魔力反応が幾つか纏まってあった。
「魔王とその側近達かな?纏まってるとは、何ともやりやすい…」
俺は呟き、死屍累々の間を通り魔王城の内部に侵入した。
さあて…魔王ってのはどんな奴かな?
次回魔王と邂逅します。さて、どうなることやら?