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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
六章 対決SSSランカー、アキレス皇国大魔闘祭編
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Bグループ 第二試合

みなさん、私の質問にお答えいただきありがとうございます!みなさまへの返信はまとめて活動報告で行いましたので、まだ確認していない方はご確認お願いします!


では短いですが、更新です。

『さて、会場も盛り上がってきました!この興奮冷めやらぬ間に二回戦に行きましょう!続いての試合はこれまた凄い!SSSランク冒険者にして人類最強の男「覇王」ケディラ・フォーゼル選手VS国仕え騎士にして狂犬とも恐れられる男「狂犬」アルトニス選手!』


「お?俺の出番かい?」


「ケディラさんが相手とか最悪だ……」


呼ばれた二人が舞台に上がる。その直後、昨日今日の中で最も大きな声援が上がった。人類最強の男と言う呼び名は伊達では無い。片方は絶望したように俯いているが。


「へぇ、人類最強ね。これは楽しみだ」


「ふむ、確かに中々の強者の雰囲気を纏っておるの」


「アタシの方が強いと思うけどなー」


「ボク達は人類じゃないから例外だよ、ローズ」


「ふふ、楽しみですね」


「興味津々……」


そんな和人達の会話を中、試合開始の合図がなされた。


***


「はあ……なんかすみませんね自分が相手で……」


 「ほう、意外だな。【狂犬】とか言われてるからてっきりもっと危ない奴かと思ってたぜ」


 舞台で向き合う二人は、緊張もなくそう会話を始める。


「そりゃ、自分の知らないところで狂犬狂犬言われてるだけで自分はそんなつもりなんてありませんよ」


「なるほどな。まぁどうせ戦ってみれば分かることだったな」


その瞬間、ケディラの雰囲気がガラリと変わった。


「行くぜ?」


さっきまでの人の良さそうな男とは思えないほどの闘気に身を包み、腰を落として手甲で覆った拳を構える。ケディラの戦闘スタイルは己の身体能力と動体視力を極限まで磨いた拳闘士である。


あまりの様子の変わり様に一瞬たじろいだアルトニスだが、彼もこの大会に出るほどの実力者。即座に腰から二本の短剣を抜き放ち、どうな攻撃が来てもいいようにケディラを油断無く見据える。


「はぁ!」


爆発。そうとしか表現出来ないような衝撃を起こして地面を蹴ったケディラが、アルトニスの眼前に一瞬で現れて拳を振るう。


「ぐっ……!」


だがアルトニスはそれをきちんと見ていた。クロスさせた剣の腹で振るわれた拳を受け止め、その威力を利用したバックステップで大きく距離を取る。


「まだまだぁ!」


それを追うケディラ。しかし、アルトニスの雰囲気の変化を感じ取り、急ブレーキをかける。


「クハハハハ!流石【覇王】!最初から飛ばしてかねぇと相手にすらならねぇな!」


急に笑い出したアルトニス。その瞳で射抜かれたケディラは無意識に一瞬息を吐いた。


「なるほど、それが【狂犬】と言う名の謂れか」


アルトニスの雰囲気の変化の正体は『狂化』と言う名の能力。自分の理性と引き換えて一時的に身体能力や動体視力と言ったあらゆる能力を数倍に膨れ上げる諸刃の剣だ。


「行くぜぇ【覇王】!」


アルトニスが地面を蹴るとケディラの時と同様に地面が爆発に似た音を立てて破壊される。ケディラの眼前に現れたアルトニスは双剣を振り上げて狙い違わずケディラの首元を襲う。


「ぬるいわ!」


攻撃を仕掛けたアルトニスはケディラの気合いの篭った咆哮で吹き飛ばされる。しかし、即座に体制を整えると再び攻撃を仕掛けた。理性は飛んでいても培った戦闘技術は変わらない。

アルトニスは真正面からケディラに突っ込むと、反撃に転じたケディラの攻撃に対して流れるような動作で受け流すと、背後に回り込んでガラ空きの背中目掛けて双剣を振り下ろす。ケディラに振り向く様子は無い。


(()ったーー!)


誰もがそう思った瞬間、ケディラはニヤリと笑い小さく声を漏らした。


「まだまだだったな【狂犬】」


「カハッ……!?」


勝ったと思った矢先の大ダメージ。アルトニスは何が起こったのか分からない様相でケディラを見つめる。その正体はケディラの太い足。しかしその足先は鋭いランスのようになっており、後ろを見ないで繰り出された足による刺突にアルトニスの腹は鎧すら無意味に貫かれていた。


「俺の固有能力(ユニークスキル)全身武装(フルウェポン)』を失念していたな【狂犬】……いや、アルトニス。俺は体の至る所を武器として変質させられる。普通に有名な能力のはずなんだが、狂化状態の貴様からは抜け落ちていたようだな。もっと鍛えてから出直して来い」


「ぐふっ、これは、手厳しい、ですね……自分の負け、です……」


『勝者【覇王】ケディラ・フォーゼル選手!』


「「「「「わーわー!パチパチパチ!」」」」」


***


「ほう……上手いなあいつ」


試合を見ていた和人は楽しげに微笑みながら言う。


「うむ、戦闘力もさることながらそれを活かす技術も持っておる。最強と言うのも頷けるな?」


「どう言う事です??」


和人とヴェルの会話に首を傾げて尋ねたのはカレンだ。見るとローズ、スミレ、ミセバもよくわかっていないようで、目線で和人達に問いかけていた。


「ん?分からなかったのか?」


「はい、恥ずかしながら……強さは分かったのですが、和人様方が言うような技術と言ったものがよくわかりませんでした」


和人が意外だなと言う顔をすると、スミレが申し訳なさそうにそう答えた。


「ふむ、では簡単に説明しておこうかの」


そう言って語り出したヴェルの話はこうだ。


ケディラは最初、わざと自分から攻めて、相手がギリギリで対応出来るように加減した。これはアルトニスの真の力を見るための演技のようなものだった。

狙い通りに狂化と言う切り札を切ったアルトニスは、まんまとケディラの策にはまり、綺麗にケディラの誘いに乗って攻撃へと移った。その結果がこれだ。ケディラの固有能力は完璧に発動し、一撃で決着を付けた。そう説明すると、


「へー……全然分からなかった!」


「なるほど……」


ローズとミセバは納得したと風に呟き、カレンとスミレもふむふむと頷いている。


《聞くまでもないと思うが何か気付いたか?》


《いいえ、感じませんでした》


《見た所、ケディラと言う男は全力でもなんでもありませんでしたしね》


《ま、そうだよな。なに、本番はこれからだ。そろそろ俺たちの中から奴等とぶつかるのがいるからな》


和人はそう言って通話を切ってふぅ……と、息を吐く。


(もう少しだ、後もう少しで正体を暴いてやる。覚悟しておけよ……)


和人は内心でそう笑いながら舞台に目を向ける。

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