二章プロローグ
二章突入です。今回はプロローグなので短いです。
「魔王様!魔王様!」
「ここにいる。どうした?」
ここは魔界の中心地。魔王の住まう城が存在する場所。そこに二つの声が響き渡る。
「はっ!ご報告が有ります!」
「申してみよ」
一人は2m越えの大柄な体躯で赤黒い肌を持ち、額に二本の逞しい角が生えている男。もう一人は女で、170cmと女にしては長身な身を誇り、恐るべき美貌を持ち、出る所は出て、引っ込む所は引っ込む絶世の美女。
「軍の編成が整いました。何時でも出陣可能です」
「そうか…遂に整ったか…出陣は一週間後だ。それまで各自訓練を怠るなと伝えろ」
「はっ!失礼します!」
大柄な男は一礼すると、その巨体とはそぐわない速度でこの場から退散する。
後に残った女性は、この場に存在する巨大な玉座に座り、目を瞑りながらこれまでを振り返る。
(長かった…本当に長かった…これでようやくあの醜き人間どもを根絶やしに出来る…)
その女、”魔王アリアラテスは”これからの事に思いを馳せ、静かに微笑む。しかしその美しい笑みに映るは、氷のごとき冷徹な笑みだった。
「今に見てろ人間ども…我等と貴様等の戦争の時は近いぞ……」
魔王アリアラテスは一言呟き、その美貌を醜く歪ませる。
しかしこの後に起きるイレギュラーを彼女は知らない。そして、自分が残虐無慈悲の”魔王”では無く、一人の女だと言う事を思い知る事も……
次回主人公のターンです。