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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
六章 対決SSSランカー、アキレス皇国大魔闘祭編
74/82

Aグループ 第七試合

『本日の試合も残すところ後二戦となりました!

Aグループ第七試合の選手はこの方です!』


司会の言葉に会場は大きく沸き立ちを見せる。


『何処の国にも、何処の機関にも属さない一匹狼、戦いに餓えた凄腕剣士「餓狼」ことガルシア・ロートヴェル選手VS無口無表情でありながらその美しい外見で老若男女問わず魅了する新人にしてSSランク冒険者であるミセバ選手!』


「む、俺の出番か……」


「私は和人様以外を魅了するつもり無い……」


舞台に上がったガルシアとミセバに盛大な歓声が降り注ぐ。


「ミセバ、お前なら大丈夫だろうがくれぐれもやり過ぎるなよ」


「うむ、頑張って来るがよい」


「ミセバなら余裕だろうけど気を付けてね」


「ミセバ、貴女は見た目によらず熱い性格ですからね。私達が見てるからと言って暴れ過ぎないように」


「大丈夫……私はローズみたいなのとは違う……」


「何かミセバ辛辣じゃない⁉︎」


『Aグループ第七試合、開始!』


ローズの悲痛な叫びは無情にも司会の声により誰かに届く事は無かった……


***


「悪いが俺は相手が女だろうと手加減せんぞ」


「そもそもお前に手加減する余裕を与え無い……」


ガルシアは背中の大剣を抜き、威嚇するようにしてミセバに向けた。


ガルシアは30歳半ば程度の強面の男性であり、逆立った頭髪と左眼に着けている眼帯が彼を歴戦の戦士だと言う事を証明している。

服装は白を基調としたフルプレートに、同じく白を基調とした膝当てを装着している。如何にも力強そうである。

対するミセバは以前同様和人から授かった薙刀を背に持ち、漆黒の生地で作られた巫女服を流麗に着こなしている。

その時丁度吹いた風により、ポニーテールが風にたなびき、見る者全てを魅了する。


「ミセバ……」


その美しさは基本的にヴェル以外に強い関心を持つ事の無い和人すらも見惚れさせた。


「美しい……」


それはガルシアも例外で無く、試合は始まっていると言うのに、思わず言葉に出てしまう。


「余裕のつもり……?」


だがそれはミセバからしたらただの隙以外の何ものでも無く、一瞬で距離を詰めて薙刀を振るう。


「ぬおっ⁉︎」


だがガルシアもこの大会に出る強者。ミセバの動いた気配を敏感に感じ取り、咄嗟に身の丈もある大剣を地面に突き立ててミセバの一撃を受け止める。

しかし受け止められたのは攻撃だけであり、その衝撃は大剣を伝ってガルシアの手にまで到達した。


「ぐぅ、小柄な体躯の何処にこんな馬鹿げた力を持っているんだ……」


ガルシアは衝撃で痺れる己の腕に悪態をつき、突き立てた大剣を引き抜いて改めてミセバに向けて構える。


「む……」


その姿には隙が見当たらず、ミセバが面倒そうに顔を顰める。


「もう油断はしない。掛かって来い小娘」


「私の方がずっと歳上なのに……」


ミセバの呟きはガルシアには届かず、両者とも一歩も動かずに睨み合いを続けていた。


「はぁっ!」


先に動いたのはガルシア。

ガルシアは舞台を破壊する程の力を込めてミセバに向かい踏み込んだ。


「おそい……」


しかしミセバはガルシアが自分を射程距離に捉える前に一瞬にしてその場から移動した。


「消えた……?」


ガルシアは突如視界から消えたミセバのあまりの移動速度に一瞬警戒すら忘れて呟いた。


「消えたわけじゃない……」


その瞬間背後に嫌な気配を感じ、脇目も振らず前方に思いっきり転がった。直後、一瞬前まで自分の胴体があった場所から鋭い風切り音が聞こえた。


「これを避けるんだ……」


ガルシアは転がった勢いを使い素早く立ち上がると直ぐに大剣を構えて背後を振り向く。そこには薙刀を振り抜いた体制でこちらを無表情に見詰めるミセバの姿があった。


「一瞬で俺の背後に回ったのか……」


ガルシアは目の前で起こった非常識に冷や汗を流しながら油断無くミセバを警戒する。


ミセバが行った事は単純だ。身体能力のみでガルシアの目にも止まらぬ速度で背後に回っただけ。

言葉で言うのは簡単だがこれ程非常識な事は中々無い。


「あんた、一体どんな体してんだよ……魔法も使わず身体能力のみでそんな早く動けるなんて非常識にも程があるだろ……」


「黙れセクハラ……」


ミセバはガルシアの言葉に不快そうな表情を作るだけで答えない。代わりに薙刀を地面に叩きつけて衝撃で舞台ごとガルシアを吹き飛ばした。


「ぐあっ!」


衝撃で弾け飛んだ舞台の破片が、空中にいて身動きの取れないガルシアに容赦無く襲い掛かる。

ガルシアも急所となる部位は大剣で守っているものの、それ以外の部位に次々と当たる破片のダメージに顔を顰めた。そこにミセバの追撃が襲う。


「これで終わり……」


ミセバは瞬時に吹き飛んだガルシアの元へ跳躍し、そのままかかと落としを背中に叩き込んだ。


「がはっ!じ、冗談じゃねぇ……」


地面へと叩きつけられたガルシアは、何とか受け身を取るも、受けたダメージはあまりにも大きく、まともに体を動かせない。


「しぶとい……」


そこにミセバが落下の勢いも使った手加減容赦無しの踏み付けを行う。


「グハァ⁉︎」


「ああ羨ましい!」


会場から聞こえた声は無視だ……


ガルシアの纏うフルプレートはもうボロボロになっており、恐らく肋骨も何本か折れている。

結界から出れば傷は戻るとは言え、この時点でもう勝敗は決定している。


「私の勝ち……」


「か、かはっ!はぁ、はぁ、つ、強いなあんた……」


ガルシアは口から血を吐き出しながらもワイルドな笑みを浮かべてミセバを見る。


「当然……」


「ククッ、当然、か……俺の負けだ……」


ミセバはそんな事当然だと言わんばかりの態度だが、ガルシアはそんな自信溢れるミセバに満足そうに頷き降参の宣言をした。


『ガルシア選手ギブアップ!よって勝者ミセバ選手!』


第七試合。ミセバの圧倒的勝者であった。


***


「良い闘いっぷりだったぞミセバ」


「うむ、マスターの言う通りじゃ」


「ミセバ凄かったね。でもなんと言うか、その……」


「えげつなかったですね」


和人達の賞賛とカレンの言葉を紡いだスミレによるストレートな物言いに何とも無表情から少し微妙な表情に変わるミセバ。


「何か引っ掛かる……でもありがとう……」


ミセバは微妙な表情をしつつも、素直にお礼を言う。


「ミセバ凄かったね!アタシももっと闘いたい!」


「ローズは反省して……」


「あぎゅん!」


ただしローズの言葉には言葉では無く轟音を立てるデコピンで答えた。ローズの頭部は大きく後ろに反り返る。

デコピンにより衝撃で背後の壁が大きく凹んだが、それは和人が一瞬で直した為、他人にバレる事は無かった。


「さて、今日の試合は後一試合だ。どんな奴が出て来るのか……」


和人が呟くと、それに答えるかのように司会による本日最後の組み合わせの発表が行われた。





ちょっと書いてて違和感を感じました。気の所為だとは思いますが、何か変な所があったらご指摘下さい。

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