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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
六章 対決SSSランカー、アキレス皇国大魔闘祭編
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Aグループ 第二試合

『一回戦はヴェルフェン選手の圧勝で終わりましたが、今度の試合も観物です!

SSランク冒険者にして「炎鬼」の二つ名を持つアラン・フェルニクス選手VS「雷帝」の二つ名を持ち、全世界に名を轟かせる男!SSSランク冒険者レイ・ボルト選手!』


司会の男が声を張り上げると、先程のヴェルの時以上の歓声が会場の至る所から上がる。やはりEXランク冒険者と言えどもまだそこまで名前が知られていないヴェルや和人よりもSSSランク冒険者として長年有名なレイの方が観客も楽しめるのだろう。


二人は舞台に上がり、お互いを威嚇し合う。


「まさか一回戦でお前と当たるとはな、アラン。どうやら以前より強くなったようだな?」


「これも全て以前貴方にボロ負けしたからですよ。本当に感謝しています。ですが今回こそは私が勝たせていただきます!」


どうやらレイとアランは知り合いらしく、そんな雑談を交わしていた。

そしてそんな二人、いやレイを見つめる瞳が6つ。

観客席からはとても整った容姿をしている二人の男女が、そして舞台の近くからは黒髪黒目の少年がそれぞれ鋭い目付きでレイを観察している。


《始まるぞ。SSSランク冒険者の戦いだ》


《はい。こちらも準備完了しています》


《僅かな神力も見逃しません》


男の名前はファルシオン、女の名前はレディア。

世界神たる二人は自らが従う主の命でSSSランク冒険者を注意深く観察している。そして彼らの主たる存在、黒髪黒目をした少年間上 和人もまたSSSランク冒険者を観察している。これは和人が抱いたある疑念を確証付ける為の物である。


和人の横ではヴェルやカレンと言った和人の仲間達がそんな和人の様子を不思議そうに見ていたが、特に何かを言う事も無かった。その様子からは和人に対する絶対的信頼感が伺える。


『それではAグループ第二試合、開始!』


そんな和人達の様子など知った事無いと、司会の男が試合の開始を告げる。


***


試合が始まった。


「はぁ!」


先ず最初に動いたのはアランだ。

アランは自らの魔力を具現化させ、炎で出来た剣を周囲に展開させる。どうやら試合開始前に詠唱は終わらせていたらしい。

炎で出来た剣はあらゆる方向からレイへと襲い掛かる。

普通はこの時点で取り乱したりするのだが、相対するのはSSSランク冒険者として長年危険な依頼を達成して来た歴戦の猛者だ。そう簡単に行く筈も無い。


「甘い!」


レイは自らの身体に雷を纏い、それを襲い来る炎の剣に向けて振り撒く事で全てを撃ち落とした。それと同時に雷を放って攻撃を反撃を仕掛けるが、アランはそれを予測していたようで、咄嗟に残っていた炎の剣を交差させてレイの雷を防ぐ。


「まだです!」


アランは自らの攻撃が防がれる事を予測していた。それ故次の動作への繋ぎは早く、既に次の手を打っていた。それはレイと同じように自らの身体に炎を纏わせる事である。


「むっ!アラン、お前もそれが出来るようになったのか⁉︎」


「はい!まだレイさんみたく一瞬では纏えませんけど、ね!」


アランは驚くレイにそう返し、それと同時に手から炎を火炎放射のように放出してレイへと攻撃を仕掛ける。

レイはそれを真っ正面から受け、自らが纏う雷で反撃を試みる。


「くっ、やっぱり早い!」


アランはそれを上体を反らすようにして何とか回避するが、僅かに体制を崩してしまう。普通なら隙にもならない程の一瞬の出来事だったが、相手が雷を纏い雷の如き速度で動けるレイだとしたらその一瞬は致命的な隙となる。


「まだまだだったなアラン。もっと鍛えて来い」


「はぁ……やっぱりまだ敵いませんか……降参です」


雷のような速度で体制を崩したアランへと肉薄したレイは、そのまま自らに纏う雷を片手に集め、アランの額へと翳す。

それを確認したアランは自らの負けを認め、残念そうな声で降参を告げる。


『アラン選手が降参しました!第二試合の勝者は「雷帝」レイ・ボルト選手です!』




そして司会が勝敗を告げると、レイとアランの攻防を静かに見守っていた観客達は一斉に声上げ、それによって空気が大きく震動した。レイはそんな観客達に向けて軽く手を振ってからゆっくりと舞台を降りていった。だが彼は気付かなかった。自分を観察している存在がいる事に……。


***


《ファルシオン、レティ、どうだ何か感じたか?》


《申し訳ありません、何も感じませんでした》


《見た感じですとあのレイと言う輩はまだ全力を出していないように感じました。やはり彼を追い詰めて全力を出させる事が一番分かり易いと思います》


《そうか、御苦労だった》


和人はファルシオンとレティに念話を使ってレイの様子についての確認を取るが、お互い結果は芳しく無かった。


(チッ、やはり簡単には行かないか……まぁいい、奴の次の対戦相手はヴェルだ。その時ヴェルに追い詰めて貰おう)


和人は内心悪態を付くも、直ぐに新たな考えへと至り、チラリとヴェルの方を向く。


「む?なんじゃマスター?」


そんな和人の様子に目敏く気付いたヴェルは、コテンと首を傾げながら和人へと問う。ヴェルの元々の美しさと相まってそれとても美しく、和人をしても一瞬見惚れてしまう。


「ヴェル、お前の次の対戦相手は今の試合に勝ったレイだ。そこでお前に頼みたい。レイと闘う際は一瞬で終わらさず、少しずつ追い詰めて行ってくれ。……いや、やっぱり最初に圧倒的な力を見せ付けて一瞬で追い詰めてくれ。頼んだぞ」


「うむ?理由は分からんが、了解したマスターがそう言うならそうしよう。一瞬で追い詰めれば良いんじゃな」


「ああ、頼んだぞ。理由は奴を追い詰めれば直ぐに分かる」


和人はそう言って微笑み、ヴェルの頭を軽く撫でる。ヴェルもそれを気持ち良さそうに受け入れる。するとそれを見たカレン達も自分達にもやってくれと言い出したので、和人は苦笑を浮かべながらも皆を順番に撫でてやり、次の試合の開始を待つ。

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