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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
六章 対決SSSランカー、アキレス皇国大魔闘祭編
66/82

新たなる力

魔戦祭前夜、和人達の姿は宿にあった。


「さて、明日が魔闘祭の日なわけだが……調子はどうだ?」


「私はバッチリじゃ」


「僕もバッチリです!」


「私も問題ありません。寧ろ良すぎます」


「アタシはねー、元気いっぱいだよ☆」


「完璧……」


「僕も出たかったな〜……」


「私も出たかったです……」


それぞれ調子は良いみたいで、皆の表情はとても晴れやかだった。弱冠二名程暗い方がいたが出れないものは仕方無い。

その中でもスミレは特に自信満々であった。 それは自身の新たな力に対する絶対の自信故であり、和人の為に役立てると言う事に対する喜びからでもあった。


神鳥ケツァルコアトル。

スミレが「鳳凰の双翼」にて覚醒した際の名であり、その姿は金と赤の混じり合った色合いの羽毛に白銀の双眸を持つ巨大な鳥であった。


神鳥ケツァルコアトルとなったスミレの能力は凄まじかった。

先ず力。それは氷応龍ニブルヘイムとなったカレンと拮抗する程であり、彼女等の力比べにより和人の創造した簡易世界が軽く崩壊した程であった。

次に速度。これはそこまで強大では無かった。勿論鳳凰状態のスミレと比べれば数倍の差があるが、それでも氷応龍ニブルヘイムとなったカレンには一歩二歩及ばない。

しかし最後の魔力。これは激的に変わった。元より魔法を得意としていたスミレであったため、莫大に上がった魔力により擬似超越神級の魔法を一発だけなら放てる程に進化した。

擬似超越神級とは、神級を遥かに超えているが、超越神級には届かない魔法の事であり、これでも一発で世界の半分を破壊出来る程の威力である。もし発動させたとしたら和人以外にその魔法を止められる者はいないだろう。

これには世界神の二人も驚いていた。まさか和人以外にその領域に達する者がいるとは思わなかったのだろう。


神鳥ケツァルコアトルとなったスミレはとても強力だ。だが忘れてはいけないのが和人が見付けた謎の剣、「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」である。これを見付けた際和人の様子がおかしくなったのを見ていたカレン達はスミレの能力検証の後和人に問い詰めた。そして和人の新たな力を知った。


ーーーーーーーーーー

神喰らいの神剣 (ゴッドイーター)(覚醒済み)


級:測定不能


制作者:不明


説:最適な持ち主に出会って覚醒した神喰らいの剣。一振りすれば大地が裂け、二振りすれば海が割れる最強にして最恐の剣。

持ち主の望む姿に何時でも姿を変える万能な武器。許可無き者が触れると一瞬にしてその魔力、神力を全て吸い取られる。

この剣に選ばれた者は圧倒的恩恵を受け、自身のステータスが何倍にも膨れ上がる。(上がるステータスは選ばれた者の素質に依存)

所有者:間上 和人(魔神)

ーーーーーーーーーー


驚嘆。この能力を聞いた彼女等の反応はそうとしか表現の出来ないものであった。


神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」を装備した和人のステータスは以下の通りである。


ーーーーーーーーーー

名前:カズト マガミ 17歳

種族:魔神(超越神)

生命力: Error / Error……New!

魔法力:Error / Error……New!

力:Error……New!

守:Error……New!

速:Error……New!

魔:Error……New!

スキル:「思想魔法」・・・自分の知識にさえあればどんな魔法でも使用可能。オリジナル魔法も可。

「全適性」・・・全ての魔法に適性を持つ(得意不得意あり)

「神の知識(カーディナル)」・・・己が存在する世界のありとあらゆる知識を得る事が出来る(神々の記憶にある事のみ)

技能:「特神眼」・・・自分より格下の存在に限り、全ての情報を確認できる。知っている場所を自由に視認することが可能。固有(ユニーク)技能

「特魔眼」・・・瞳に魔力を込めながらイメージした事柄を起こす事が可能。固有(ユニーク)技能

「超絶回復」・・・どんな深手を負っても、意識すれば完全に回復が可能。意識していない場合でも、超威的速度で傷の回復を行う。

「念話」・・・どれだけ離れた場所にいても相手をイメージすることで会話することが可能

特殊技能:「天地鳴動」・・・天も地も自らが思うがままに操れる。魔力不要……New!

「大海破断」・・・世界に存在する水を自らが思うがままに操れる。魔力不要……New!

称号:「超越者」・・・己が存在する世界の全ての存在を超越した存在の証明。発動することにより、自分より格下のありとあらゆる存在を無条件で跪かさせる事が可能

「絶望の王」・・・絶望を深く深く知った者証明。意識して発動させることにより、自分より格下の意識を絶望の底に落とし入れる事が可能。絶望の深さは任意で調節可

「世界の支配者」・・・この世界のあらゆるものに干渉する事が出来る者の証明。全ての能力がワンランク上がる……New!

「選ばれし者」・・・「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」に選ばれた者の証明。「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」の恩恵を受ける事が可能……New!

ーーーーーーーーーー


まず最初に目に入るのはやはり「測定不能」となっていた場所が全て「Error」になっている事だろう。

測定不能とは言い換えれば「測定不能と言う数値を測定出来た」と言うわけだ。しかし今回の「Error」は違う。「Error」とはつまり処理不能と言う事である。和人は「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」に選ばれた事により数値では測定出来無いようなステータスになった。それは即ち完全に世界の理から外れた存在になったと言う事と同義である。


次に特殊技能の存在だ。これは一見大した能力では無い。それは和人の持つ「思想魔法」が、全ての魔法を扱えると言う事からも明確である。

では何故そんな能力を「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」が与えたか。それは最後に付く「魔力不要」と言う言葉が鍵である。

魔力不要と言う事はその名の通り魔力を必要としないと言う事だ。

今回和人が「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」から授かった物は特殊技能、「天地鳴動」と「大海破断」である。その能力は天と大地を思うままに操る事が可能となる能力と、その場に存在する水分を思うままに操る事が可能となる能力である。つまり和人は魔力を使わずにこの世界を自由自在に変えられると言う事になるのだ。これはとてつもなく凄まじい事である。

世界の形を変えると言う事は「思想魔法」でも不可能か可能かで言うと可能である。だが世界の形を変えると言う事を成すには、和人の持つ全魔力を持ってしても一回二回では到底無理な事である。この説明だけで「天地鳴動」と「大海破断」がどれだけの物であるか嫌でも思い知らされてしまう。

そしてそれはヴェル達も同じである。


この説明を聞いてヴェル達は初めて和人を怖いと思った。

今までの和人も世界の枠組みから外れた強さを持っていたが、それはヴェルとしても同じであり、覚醒したカレンとスミレもこれに当てはまる。それ故和人の凄まじい力を目の当たりにしても崇拝こそすれど恐れる事は無かった。

しかし今の和人はどうだ。世界の枠組みから外れるだけでなく”世界の理”からも外れた存在となった和人はそれだけで他者から見たら恐怖の対象でしかない。


和人も自分の進化した能力をヴェル達に明かせば間違い無く恐怖されると分かっていた。だが……いや、だからこそ自らが力を明かす事にした。このままヴェル達にこの力を隠しながら旅する事も可能である。何故ならこの力を身に付けてあっても、元より途轍もない強さであるため、違和感を持たれる事が無いからである。

それを明かすと言う事はこのメンバーでの旅も終わりになってしまうリスクを伴う。それが分かっていても自身の能力を明かしたのは和人の優しさ故であった。

和人はヴェル達に嘘を吐きたく無かった。きちんと自分の事を分かって欲しかった。たとえそれで自分達の旅が終わろうとも和人に悔いは無い。寧ろ恐れられてまで一緒にいたく無かった。恐れられたまま一緒にいるくらいなら一人の方がずっとマシである。これが和人の考えであった。

だが結局その考えは杞憂であった。それはヴェル達の言葉が何よりもの証拠だ。


「私はずっとずっと何時までもマスターと一緒じゃよ?」


「勿論僕もです」


「私も同じ意見です」


「ローズ、難しい事わかんないけど、和人様と離れるのはいやっ!」


「愚問……」


「僕は和人様に忠誠を誓っています。和人様が行くのならそれが天国だろうと地獄だろうと着いて行きます」


「私だってファルシオンと同意見です。それに和人様をこの世界に呼んだのは私です。その私が和人様を裏切るなどあってなるものですか!」


ヴェル達は確かに和人の圧倒的なまでの実力に恐怖した。しかしそれと同時に恐怖心を圧倒的に上回る崇拝心が芽生えた。

和人の力確かに強力である。だがそれが自分達に向く事は無い。寧ろ自分達を守るために振るわれるだろうと言う事を確信していた。これは間上 和人と言う存在に対しての絶対な信頼と敬愛を持ってるが故の選択であった。


和人は目の前にいる自分の大切な存在達の言葉を聞いて、目尻が熱くなるのを感じた。


「本当に……いいのか……?」


その言葉にはまだ僅かな不安が残っていたが、それを敏感に感じ取ったヴェル達がそれぞれ和人の身体に触れ、確固たる意思を持って和人を見上げた。

和人はそんなヴェル達の視線を受け、先程までの不安気な空気を散らし、次の瞬間には花が咲くような笑みで皆を抱き締めた。


「ありがとう……お前達は俺の大切な仲間だ……掛け替えの無い、な……」


そう言う和人の言葉には不安など一切無く、ただ純粋に仲間を……大切な家族を守ろうと言う意思を多分に孕んでいた。


「そう言えばマスターがその剣を取った時に見せた異様な雰囲気は何だったんじゃ?」


和人の手の中でふと思い出したように口にするヴェルであったが、その言葉を発した直後和人が微かに震えたのを確かに感じ取った。


「何かあったんじゃな?」


ヴェルは和人の手から抜け出すと和人の目をしっかりと見据えて返答を待つ。


「ああ……何か……何かおぞましい者が中に入って来た感じがした……」


和人はその時の感覚を思い出してヴェル達に説明する。何時の間にか皆和人の手から抜け出し、和人の言葉を真剣に聞いていた。


「あれは憎悪とか言う生温いものじゃなかった……もっと凄まじい力を持ったナニカだった……」


和人の言葉にまさかと言った表情を作る世界神の二人。和人はそんな二人をチラリと見やり、説明を求める。


「何か心当たりがあるようだな……ファルシオン、レティ、話してくれ」


和人の言葉にヴェルや神獣達もファルシオンとレディアを見つめ、何か知ってるなら話せと訴える。


「これは僕達の推測なんですが……」


そう言って説明を始めるファルシオン。その横でレディアは憎悪に瞳を染めていた。

そんなレディアを横目に、ファルシオンは驚くべき事を述べた。


「和人様に入って行ったと言う何か……それは恐らく数千年前に数多の神々によって封印された魔神だと思われます」


魔神。その言葉に和人は目を見開き驚愕を示す。慌てて久しぶりとなる「神の知識(カーディナル)」を発動させると、確かに遥か昔の記録にそれだと思われる記憶があった。だが何故かその記憶を最後まで探る事が出来なかった。幾ら探っても途中で何やら靄のようなものがかかってしまうのだ。和人は早々に「神の知識」による情報の確認を諦め、ファルシオン達の言葉に耳を傾けた。


「先程も言いましたがこれはあくまで推測です。一応お話しますが鵜呑みにはし無いで下さい」


ファルシオンの説明に皆耳を済まして聞き入る。


「かつて存在した魔神はとても凶悪な存在でした。人間の街を見付けたら即座に壊滅させ、魔人を見付けたら襲い掛かり、それが見目麗しい女性であった場合は無理矢理犯して壊れたら殺して次の獲物を探して彷徨う。そんな奴でした」


ファルシオンの語る口調に影がある事を察した和人はファルシオン達とその魔神は知り合いなのでは無いかと考える。


「地上に飽きた奴は遂に神界にもやって来ました。勿論僕達世界神は皆必死に戦いましたが、奴にはまるで歯が立ちませんでした。

そして奴は僕の仲間である世界神、水の世界神サラスに目を付け、欲望のままに犯そうとしました。僕達はもう動けませんでしたからサラスも抵抗はしてましたが何処か諦めの念がありました。誰もがもうダメだと思った直後、間一髪のところで他の世界の神々が駆け付けてくれました。サラスも無事解放され、傷を癒して貰い僕達もその混戦に参戦しました」


そこでファルシオンは言葉を切る。それを見たレディアが後を継ぐように続きを語る。


「戦いは熾烈を極めました。その魔神も悔しい事に超越神の域に達しており、並の神では何も出来ずに殺されます。駆け付けてくれた神々は幸いな事に皆世界神クラスでしたので簡単に殺される事はありませんでしたが、それでもたくさんの神々が消滅……殺されました。その中には私達の友人もたくさんいました……

恐らくあの戦を生き残った神は僅か百柱程度です。だけどそれでも奴は倒し切れませんでした。なので最後の力を振り絞って皆で奴を誰にも脅かされない物に封印したのです」


「それがこの「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」だったと言うわけか。確かにこれ程封印に適した物は無いな」


神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」は選ばれた者と選ばれた者に許可された者以外が触れれば魔力だろうと神力だろうと吸い取る。そんな物に進んで触りたがる者はいないだろう。


「はい、恐らく。ですが今回はそれが裏目に出ました。その剣、「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」はその効果により剣に選ばれた者以外が触れる事が出来ません。しかし逆に剣に選ばれる程の人物は奴に取っては封印を脱する為の依代と成り得てしまうのです」


つまり「神喰らいの神剣(ゴッドイーター)」に選ばれる程の人物ならば魔神の器として機能する程の者。即ち魔神が復活する為の道具になってしまうと言う事だ。

だが和人はその事実に対してニヤリと獰猛な笑みを見せる。


「つまりは魔神との綱引きだな。俺が奴の復活の依代になるのが先か、俺が奴を消滅させる方が先か、のな……」


ファルシオンとレディアは和人の獰猛な笑みに引き込まれそうになってしまった。


和人の笑みからは自分が魔神に負けるわけが無いと言う絶対的自信が読み取れる。

確かに相手は魔神でしかも超越神へとなっている程の存在だ。強いのは間違い無い。だが和人も同様に魔神の超越神たる男なのだ。少なくとも何も出来ずに魔神に依代とされるつもりは無い。


「安心しろ二人とも。その魔神にむざむざ依代とされるつもりは無い。逆に俺の中に入って来てしまった事を後悔させてやるよ」


和人の言葉に根拠は無い。和人はその魔神を見た事が無いから当然だ。だがこの時ファルシオンとレディアは自分達の主たる男、間上 和人と言う少年にただならぬ気配を感じた。それこそ本当に魔神をも消滅させてしまうかもしれないと思わせる何か。


「さて、明日は魔闘祭だ。皆今日はもう寝て明日に備えろ。ファルシオンもレディアも魔闘祭の時は解放しておいてやるからきちんと応援しろよ?」


和人はそう言ってそそくさ自らのベッドに潜って行った。それを見たこの場にいた者達は、そんな主に苦笑しつつ素直に自らのベッドに潜り込んで行った。やがて静寂した部屋の中に、六人の静かな寝息だけが響き続けた。


自分がこの他に書いている作品についての報告がありますので、よろしければ活動報告にお目通しをお願いします

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