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魔神が行く異世界大蹂躙  作者: 夜桜
五章 神獣大激突編
58/82

覚醒

今回でカレンの依頼は終わりです。ではどうぞ!

「『氷河世界(ニブルヘイム)』」


『『嵐雷(テンペスト)』』


カレンが絶対零度の-273.15C°を遥かに超える氷世界を創り出し、ファガンがそれを巨大な嵐を起こして打ち消す。


「『氷槍グングニール』」


『くっ!『雷槍グングニール』』


それを確認したカレンは直ぐ様次の攻撃に移り、ファガンもそれに何とか対応する。


戦況は拮抗していた。方や神族特有の物である神力を持つカレン。方やそのカレンに匹敵するこのアナザリア最高位の魔物であるファガン。どちらも一歩も譲らず、周囲の空気は悲鳴のような音を上げる。もう既に近くの崖は木っ端微塵に崩れ去り、カレンとファガンの周囲だけ別世界のようになっている。


「トカゲもどきのくせによくやるね……」


『主も蛇もどきのくせにやりおるわい……』


ファガンとカレンは近接戦闘に移り、大気を震わせるがごとく連続で攻撃を与えて行く。


カレンがファガンの顎を捉えたらファガンの拳はカレンの頬にめり込んでいる。どちらも本来の姿で戦っているので、迫力はかなりの物である。


『今度はワシから行こうか!『雷刃撃』』


そう唱えると、ファガンの周囲に雷で出来た刃が大量に浮かび上がる。それの一つ一つにはSSSランクの魔物等一瞬にして炭に出来る程の威力が込められている。


「めんどうな事を……」


カレンは歯噛みしながらもこの魔法の対処方法を考えていた。


(これは流石に受けられないよね……ならば相殺させるか?……いや、あの数を一斉に相殺させるのは難しい……仮に半数を破壊したとしても魔法を放った直後にある一瞬の膠着時間に攻撃されてしまう……)


「なら取るべき対応は一つ!」


カレンは一気にファガンの懐目指して突進した。


『まさか自ら当たりに来てくれるとはな!』


ファガンは突進するカレン目掛けて無数の【雷刃撃】を放った。


「まさか!ボクはお前何かの攻撃を喰らうつもりなんて、一切無いよ!」


飛んで来る【雷刃撃】を僅かに体を上下左右に動かすことで次々と躱して行く。


『なんだと⁉︎』


これにはファガンも驚愕し、【雷刃撃】を放つのを一瞬止めてしまった。


「隙を見せたらお終いだよ!」


そう言ってカレンはその強靭な爪に膨大な魔力を込めてファガンの腹部を貫かんとする。


『おのれーーーー!』


ファガンも最早手遅れと気付き、せめてもと瞳に憎しみを込めて睨み付けた。


『何、勝手に負けてるんだい?』


「ぐあっ!」


ファガンを仕留めようとしていたカレンに、そんな声と共に突如巨大な光の柱が降り注いだ。その光の柱は今まさにファガンを貫こうとしていたカレンを地面まで叩き付け、その先の地面までも深く抉った。


『ぬ、貴様はシャングリラか……』


『やあ、久し振りだねファガン。偶然近くを通り掛かったら君の馬鹿げた魔力と、それと同等の魔力がぶつかり合ってるんだもん、驚いたよ』


鱗が光り反射して神々しい容姿を醸し出しているのは、ファガンと同じ七柱の神の名を冠むる光神竜シャングリラである。彼は世界最強の竜種の一角であり、その名の通り光を司る。


『む、それはすまぬな。応龍の奴と偶然会ってしまったので、ついな』


『やっぱり今の蛇もどきは応龍だったんだ!でも大丈夫、結構な魔力を込めた一撃をまともに喰らったんだ、当分は動けないだろうね。……今のうちにトドメ刺しとくかい?』


その瞬間地上から膨大な魔力が話している二匹に向かって打ち出された。


『くっ!』


『何だ⁉︎』


二匹は咄嗟に回避するものの、突然の事だったので完全には躱し切れず、ファガンは片翼を、シャングリラは片腕を持っていかれてしまった。


『『変雷』』


『『変光』』


体の一部を持っていかれた二匹は、直ぐ様魔法を唱え、自らの魔力で持っていかれてしまった部位を補う。


「あの急な攻撃は驚いたよ。やはりトカゲもどきは侮れないね、本当に悪知恵が働く」


現れたのは先程地面にまで叩き付けた筈の応龍カレンだった。しかし先程とは違い、強大な圧迫感を伴っている。

カレンの体には傷一つ無く、攻撃を放ったシャングリラはその事に驚きを隠せ無い。


『何故だ!僕等と君では力の差は無い筈だ!なのに何故僕の攻撃の直撃を受けて無傷でいられる!君でも死にはしないが、かなりのダメージを負った筈だ!』


堰を切ったように囃したてるシャングリラに、カレンは冷たい視線を投げやり、無言で一本の剣を取り出す。


「お前達はここで殺す。だからせめてもの土産に教えてあげるよ」


そう言って彼女は取り出した一本の剣ーー応龍の剣を自らの額に突き立てた。


『何を⁉︎』


『貴様、血迷ったか!』


これにはファガンもシャングリラも驚き、額に剣を突き立てたカレンの姿を凝視した。


「ボクも今まで忘れていたさ。でもシャングリラ、お前の攻撃のショックで全て思い出したよ。この剣とボクの関係を、ね……」


そう言った次の瞬間、カレンから膨大な魔力の奔流が溢れ出し、それは物理的圧力を伴ってファガンとシャングリラを襲う。


『ぐっ!』


『くっ!』


そして、彼等が目を開けた時には既に事は済んでいた。


「これがボクの本来の姿。お前達も覚えているでしょ?」


そこにいたのは先程までの東洋龍を彷彿させるフォルムに藍色の鱗を持つ応龍では無かった。

フォルム自体は東洋龍を彷彿させる物のままであったが、その鱗は藍色から純度の高いクリスタルのように透き通った青色になり、頭部に生える角は二本から三本に変わっていた。その角は何処と無く応龍の剣に似ており、それが変化した物であると一目で分かる。

体躯は先程までの倍はあり、ただでさえ10mを超える巨体が更に巨大になり、その威圧感は全長30m程のシャングリラやファガンに比べても遜色無い。

そして何より違うのはその体が纏う魔力だろう。先程までのカレンは、魔力を溜めている時や魔法を放つ時にだけその体に形を取った魔力を纏っていた。しかし今のカレンは、特に何かをしているわけでも無いのにその体には形を形成した魔力を纏っている。それはさながら氷の鎖のようであり、幻想的かつ美しかった。名を氷応龍ニブルヘイム。またの名を覚醒応龍(カレン)


『その姿……貴様だったのか!あの謎の龍種は!』


『僕等七匹を同時に相手取っても引けを取らないあの海を彷彿させる龍種は君だったんだね……まったく気付かなかったよ……』


そんな幻想的かつ美しい姿を見ても彼等は感動など出来なかった。何故ならこの姿のカレンこそ、圧倒的戦力差のある竜種対龍種の争いを毎回引き分けで終わらす存在だったからだ。


「どうやら僕は以前の神獣同士での争い(じゃれあい)で嫌な当たりどころに攻撃を受けて記憶と鍵を失っていたようだね。でもお前達には感謝してるよ。僕の真の姿を取り戻させてくれたんだからね。これで和人様の為にもっと尽力出来る」


カレンはそう言って口に膨大な魔力を溜め出した。その際体に纏う氷の鎖が巨大な氷の結晶となり辺りを舞う。


『何て言う魔力だ!『光神竜の吐息(ゴット・シャインブレス)』!』


『これはマズイのう……『雷神竜の吐息(ゴット・サンダーブレス)!』


「『氷応龍の怒号(ゴッデス・ブリザード)』」


氷応龍ニブルヘイムこと覚醒した応龍(カレン)が放つブレスに、光神竜シャングリラ、雷神竜ファガンは、全魔力を込めたブレスで迎え撃つ。しかし相手は自分達に加え、自分達と同等の実力を持つ仲間五人で漸くまともに戦える存在。それをたった二人で相手取れる筈など無い。その証拠に二人の渾身のブレスもまともに抵抗出来ずに押し返されてる。


「終わりだ」


そして遂には完全に押し返され、二人は覚醒応龍(カレン)のブレスに飲み込まれた。


『おのれ応龍ゥゥゥゥゥ‼︎』


『くそっ!諦めてここは引くよ!ファガン、掴まって!』


『覚えておけよ!今度会った時は積年の恨み晴らしてくれよう!」


飲み込まれた直撃、ファガンが残った魔力全てで魔障壁を張ってシャングリラの盾なる。そしてシャングリラはこれまた残った魔力全てで転移魔法を発動させてファガンと共に何処かへ転移した。


「逃がしたか……ここで殺すつもりだったが

、流石竜種の頂点である二匹と言ったところか……まあいいや。一先ず依頼を完遂させようかな」


カレンは氷応龍ニブルヘイムの姿から元の人間形態のカレンに戻り、自分達の争いのせいでボロボロになった竜の谷を見下ろして溜息を吐く。


「はぁ……ここからゲオルギウスの死体を探すのか……」


ゲオルギウスは下位でも災害級。竜の谷の崩落程度では原形を留めない程グチャグチャになると言う事は無い。しかしこの中からゲオルギウスの死体を見付けるのはかなり大変だろう。


「まぁやるしか無いよね……」


そう呟きカレンは近場の岩を投げたり破壊したりしてゲオルギウスの死体の捜索を始めた。

そして数時間後、漸く見付けたゲオルギウスの死体の半分はファガンに食べられており、グチャグチャになっていた。しかしその他はまともな形が残っていたのでアイテムボックスを発動して別空間に放り込んだ。


「依頼完了!」


カレンは依頼の完了と新たな力の覚醒により意気揚々と和人の待つブレイアルの街に戻る。

氷河世界(ニブルヘイム)と氷応龍ニブルヘイムは直接的な関係はありません。単純に技名と種族名です。疑問に思った方はこのようにご理解ください。


また、覚醒応龍(カレン)は種族名ではありません。ただ和人が応龍にカレンと名付けた為にこう言う名になりました。つまり種族名は氷応龍ニブルヘイム、氷応龍ニブルヘイムの名前が覚醒応龍(カレン)と言う認識でお願いします。

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