新たなる伝説の幕開け
最近執筆をしていなかったので、自分の書き方に違和感が無いか心配です……おかしな点がありましたら是非是非ご指摘ください!
「さて、とお前もそろそろ覚悟を決めろよ?」
「はい……ああ、やっぱり怖いな……」
「男のくせに何を言っておる。しっかりせんか」
とある宿屋の一室に三つの声が飛び交う。一人は黒髪黒目の青年、一人は金髪の超絶イケメン。そして最後はこの世界でもかなりの上位に入るだろう美少女。和人、ファルシオン、ヴェルだ。
彼等が何をしているかと言うと、ファルシオンをレディアに会わせようとしているのだ。
「誤解を解か無いでこのままズルズル引き摺ってもめんどくさくなるだけだ。今後他の世界神達を見付けた時に既に誤解が解けているかどうかで大きく違うだろ?」
「うう……それはそうなんですが、やはり怖いと言うのが事実です……ああ、怒ってるんだろうなレディア……」
「ほれ、遅かれ早かれこうなるんだ、早う覚悟を決めんか」
「イタッ!痛いですよヴェルさん」
うじうじするファルシオンにヴェルが拳骨を落とす。そこだけを見ると大した事は無いが、実際はヴェルの拳骨を喰らったファルシオンのいる床を見ると、そこには隕石が落ちたような感じで深く陥没している。だが、その威力の拳を喰らっても痛いで済むファルシオンは、流石世界神と言うだけはある。
因みに陥没した床は和人が魔法で綺麗に直しました。
「あーもう宿がもたねーよ!さっさと行くぞ!」
「あ、ちょっと待って下さい!まだ心の準備が……」
「行ってらっしゃいマスター。後ついでにファルシオン」
結局痺れを切らした和人によって強制的に転移させられ、レティの住む神界に連れて来られた。
如何に世界神と言っても和人の力に逆らえる筈も無く、抵抗虚しくレティの前に引き摺られて行った。
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「おいレティ!居るか⁉︎」
「わっ!か、カズト様⁉︎」
神界に着き、レティの名を呼ぶと、奥から黒髪を腰まで伸ばした美少女が慌てた様子で走って来た。そう、闇の世界神レディアだ。
「久し振りだなレティ。今日は会わせたい奴がいてな、ここまで足を運んだんだ」
「会わせたい人、ですか?」
「ああ、こいつだ」
不思議そうに首を傾げるレティ。それを横目で見ながら、和人は引き摺って来た”物”をレティの前に出す。
「や、やあ、久し振りだねレディア……」
「貴様……ファルシオン……⁉︎」
和人に襟首を掴まれながらレティの前に出されたファルシオンは、これから起こる事を半ば予想し、頬を引き攣らせる。
「ようやく会えたな裏切り者め!貴様……タダで済むと思うなよ!」
その言葉を皮切りに、レティの左手に膨大な魔力が溜められる。世界神最強のレティの魔力は、既にファルシオンの魔力を大きく上回っている。これを喰らえば如何にファルシオンと言っても無事じゃ済ま無いだろう。
「ま、待って来れ!話を聞いてくれ!」
「貴様と話す事など何も無い!私の怨みを喰らえ!」
魔力の溜まっている左手をファルシオンに向かい振り下ろされ、後数センチでファルシオンの顔面を捉えるといった所で、隣から世界そのものを震え上がらせる程の魔力を感じ、咄嗟に拳を止めるレティ。
「はーいそこまでー」
その魔力の主は、呑気な声とは裏腹に、その身から絶対的な威圧を発している。
その魔力を超至近距離から浴びたファルシオンとレティは自分が死ぬ錯覚に見て、身体から冷や汗を滝の様に流していた。
「あのなぁ……俺はお前等を喧嘩させる為に来たんじゃねぇんだよ。分かってんのか?あ?」
ここが神界で無かったらこれだけで世界の生命が全て息絶えるのじゃないかと思うくらいの魔力が含まれている声に、ファルシオンとレティは体の芯から凍り付いた。
「で、ですがカズト様……わ、私はこの者に裏切られ、貶められたんですよ?カズト様もその事を知ってるじゃないですか……」
持てる力を全てを使い、何とか声を絞り出したレティは和人にそう語る。
「ああ、そのことはきちんと聞いている。だがそれを踏まえてこいつをここに連れて来た。レティ、取り敢えずファルシオンの話を聞け」
「カズト様がそうおっしゃるなら……」
威圧を解き、レティとファルシオンを落ち着かせ、本題を切り出す。
「はぁ…はぁ…これがカズト様の力ですか……強いのは知ってましたが、世界神たる僕やレティにここまで干渉出来る程だとは……」
「御託はいいから、さっさと話せっての」
和人はめんどくさそうにファルシオンに言い、自分は眠りに着いた。
「何て勝手なお方なんだ……」
「おいファルシオン、貴様の話とは何だ。聞くだけ聞いてやる」
まだ怒りを多分に含んだ声音でファルシオンに話し掛けるレティ。やはりまだ怒りは収まっていないようだ。
「あ、ああ……話って言うのは君が貶められたって勘違いしている事の真実なんだ」
「勘違いだと……?」
その話題は意外だったのか、僅かに怒りを収え、話を聞く姿勢になった。
「これはカズト様にも話して、事実だと認めて貰った事だ。だからこの話がどんな驚くべき事でも信じて欲しい」
「……分かった、カズト様が認めたならそれは事実なんだろう……一応話を聞き終わった後カズト様に確認を取るが、今はとにかく信じよう……話してくれ……」
和人の名前が出て来て怒りを完全に収めたレティに内心安堵の息を吐き、レティが貶められた出来事の真実と、主神の遣いの事を話した。
話を聞いていたレティは、所々驚きを見せ、全て聞き終えた後は、目を瞑り何かを考えていた。
「……ファルシオンの言いたい事は分かった。つまり私達はまんまと騙されていたと言う事か……主神の遣い……いつか絶対しかるべき報いをくれてやる……」
「どうやら話は終わったようだな。どうだ?ファルシオンを信じるか?」
いつの間にか起きてた和人にそう言われ、少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと顔を上げ、その黄金の瞳に和人を捉え、自分で出した決意を伝える。
「カズト様、私も貴方様と共に連れて行って下さい。一緒に他の世界神を探して下さい!お願いします!」
そう言って頭を下げるレティ。和人は何も言わずにその頭に手を置いた。
「カズト様?」
何だ?と思いながら上目遣いで和人を見ると、瞳に映った和人は優しい目で笑っていた。
「つまり信じるって事だな?いいぜ、俺達と一緒に来いレティ!」
和人の言葉に目を輝かせ、嬉しそうに頷くレティ。その身体が光に包まれて行き、光が収まった時、レティが居た場所にあったのは漆黒に輝く盾だった。
「これはレティの神器か……?」
『はい、これが私の忠誠の証。これからは身も心も貴方様に捧げます。私、闇の世界神レディアは、超越神カズト マガミ様に絶対の忠誠を誓います』
『それなら僕もだよ』
盾からレティの声が聞こえた。そして、ファルシオンもその身を光輝く剣に変え、和人の手に収まった。
『僕達はカズト様に忠誠を誓います。何時でも何処でもカズト様の思う時に僕達を呼んで下さい。僕達は必ずそれに応えます』
光輝く剣に、漆黒の盾。アンバランスこの上無いが、その思いは互いに同じ。そう、全ては和人の為に……
「はっ!任せな!俺がお前等の期待全てに応えてやる!だから俺に付いて来い!」
『『はっ‼︎』』
神を従えし神の伝説が今ここに誕生した。
この後にもう一つ後日談を書いてこの章は終わりです。
また、感想で番外編を見たいか否かのアンケート的な物を取っています。
今は読みたいに一票、無くても良いには票がありません。
次話投稿時に集計するので、どうか皆様ご協力下さい。




