ヴェルの蹂躙劇
サブタイトル考えるのは難しいですね。
後書きにて今後の事を説明しているので、どうかご確認下さい。
城壁の外を埋め尽くさんとばかりに存在する魔物達。そして彼等を倒そうと戦う冒険者やこの国の兵士達。彼等は和人がベルゼブブを食い止めてる隙に集まった者達だ。時間にして十数分で集まったのを見ると、この国の冒険者や兵士は練度が高いようだ。
この魔物達は邪神に従いこの国を落とそうと集った。その数1万以上。中にはSランクの魔物もいる。流石にSSランク以上の魔物はいないが、それでも国一つ落とすには十分な戦力だ。今は冒険者達と兵士達が押しているが、それも時間の問題だろう。
それ等を見下ろすように城壁の上に立つ少女が一人。その者は美しい金髪を後ろで束ね、その顔はとても整っており、10人中10人が美しいと言うであろう見た目をしている。
「ふむ……この国の兵士達を見たのは初めてだが、中々の腕前ではないか。冒険者達もレベルが高い……」
そう呟く美少女、ヴェルはこの国の戦力を見て素直な賛辞を送る。
「最も、マスターはおろか私一人にすら勝てないだろうが……」
そもそも和人やヴェルと一般人を比べるのが間違っている。和人は神の中の神と言える超越神だし、ヴェルも遥か昔に神々と争いを起こし、その上神を何柱も屠っている神竜なのだ。そんな者達と比べられる等、どんな実力者でも可哀想に見える。
「さて、そろそろ私も行くとしよう……頑張ったらマスターに褒めて貰えるかの?」
そう言い残しヴェルは城壁の上から魔物の群れの中心に降り立った。
急に現れた美少女に冒険者や兵士達は目を奪われたが、魔物達がヴェルに襲い掛かった所で我に返り、目の前でまだ若い少女が無惨に殺される光景を想像し顔を顰めた。が、次の瞬間その予想は大きく裏切られた。少女に襲い掛かった魔物達が纏めて吹き飛ばされたからだ。
「魔物風情が私に触れられると思うな……私に触れて良いのはマスターだけだ」
ヴェルに襲い掛かった魔物の中にはAランクの魔物もいたが、ヴェルにとってはFランクもAランクも変わらない。どちらにせよ一瞬で終わるのだから……
「何者だあの少女は……」
「Aランクのグレイトホーンが一撃だったぞ……」
「それだけじゃない……Bランクのバーサークバード達も纏めて倒してたわ」
「とにかくこのまま殲滅に動こう!彼女は味方だと信じろ!」
冒険者や兵士達が口々に何かを言うが、ヴェルは全てスルーして次の獲物の殲滅に動く。
「グギャギャ!」
「グオオオオオッ!」
雷を纏った鳥、サンダーバードと、鬼のような見た目のオーガが同時にヴェルに襲い掛かるが、それらはヴェルが片手で薙ぎ払うような動きをするだけで塵のように消し飛ぶ。
冒険者や兵士達はもう何が何だかと言った様子で、華奢な体躯で凶悪な魔物達を殺すヴェルを見ていた。
「早い所終わらしてマスターの元に行きたいのぉ……」
「ギュアッ⁉︎」
当のヴェルは和人の事を考えているだけである。恋する乙女にとっては周りの事等どうでもいいのだ。そう、たった今何と無しに片手で頭を握り潰したSランクモンスターであるベオウルフの存在や、それを見て本日何度目か分からない驚愕を顔に浮かべる冒険者と兵士達の様子すらも。
***
私はロビン・ケルディア。ミロガス大魔道学園の2年S組の生徒です。
私の眼前では今、とてつもない事が起こっています。なんと化け物が魔物を引き連れて攻めて来たのです。
えっ?なら何でそんな落ち着いていられるかですか?……こんな光景見たら焦りや驚きなんか通り越してしまいますよ……何故なら私達を指導してくれた先生方が余りにも凄過ぎますからね。
カズト先生は私達が何百人いや、何千人いたとしても手も足も出無いだろ化け物相手に遊んでますし、ヴェルフェン先生はAランクの魔物やSランクの魔物を何の苦労も無く殲滅してますし。と言うかあの化け物気持ち悪い見た目ですね……あっヴェルフェン先生がSランクの魔物として有名なベオウルフの頭握り潰した。……あれって女性としてどうなんでしょう……えっ?何故そんな事が見えるかですか?私の視力は両目共10.0なんですよ。
「ヴェルフェン先生が一週間前に言ってた私が負けたもう一つの理由って相手を侮ってたから何ですね……」
いや、仮に侮っていなかったとしても勝てる気はしませんけど。
皆はカズト先生の戦いを眺めてますが、私はヴェルフェン先生の戦いの方が学べる事多いと思うんですよね。いやだってカズト先生の魔力凄いことになってますもん。私達全員の魔力を合わせたとしても足元にも及ばないんじゃないかな?
ミロガス大魔道学園の生徒達は何時の間にか恐怖を忘れ、和人とヴェルの戦いに見入っている。そして、戦いは終盤を迎え始めた。
そろそろ学校が始まってしまうので、更新がかなりの不定期になってしまうかもしれません。ですが、自分頑張りますので、どうか皆様も応援お願いします。




