戦闘指南sideヴェル
今回は結構短いです。
私は今、マスター共にミロガス大魔道学園に来ている。正直私はずっと一人だったから人に物事を教えるのは全くと言って良いほど出来無いと思うのだが、マスターがやると言うなら従う他無いだろう。何せ、マスターはこの神竜であり、神々と戦まで起こしている私に勝ったのだから。
マスターはあの時全力だったと言っているが、私にはまだまだ余力があるように感じた。もしマスターが本気になれば恐らく世界の一つや二つ簡単に消し飛ぶだろう。
と、話がズレてしまっていたな。
「ではそろそろ始めるとするかの。私と一対一で闘うのじゃ」
私がそう言うと、生徒と呼ばれる者達から一人の人間の女童が進み出て来た。
「ヴェルフェン先生お願いします!」
「ふむ、よかろう。掛かって来るが良い」
訓練用の槍を構え、私に向かって飛び込んで来る女童。しかし、そんな物が神竜たる私に届く訳も無く、
「槍を意識し過ぎだ。足元がお留守になっておるぞ?」
女童の槍を躱し、隙だらけの足を払い体制を崩した女童の手から槍を奪い、その穂先を女童の喉に突き付ける。
「くっ……参りました……」
悔しそうな表情をする女童。私は人間の平均的な強さは知らないので、この女童は強い方だったのか分からないが、この様子を見るに戦闘に関しては自身があったのだろう。
「ふむ……お主名前は?」
「えっ?あ、はい、私はロビンと言います。ロビン・ケルディアです」
いきなり名前を聞かれた事に驚いた様子だったが、直ぐに落ち着いて名を名乗った。
「ロビンだな?了解した。さてロビンよ、お主の敗因は何じゃったと思う?」
「先程先生がおっしゃったように、槍を意識し過ぎてた事、ですかね?」
名前を覚えたロビンに負けた理由を問う。そうすると、案の定私が言った事と同じ事を答えた。分かっていない証拠だ。
「確かにお主は槍に意識を持ってかれ過ぎていた。それも敗因の一つじゃろうな。だけど実はもう一つ理由がある。何だか分かるかの?」
私の質問に首を横に振るロビン。
「分からんか……ならば考えて来るが良い。その理由に気付けなければお主はこれ以上戦士として成長せんぞ」
あえて厳しい言い方をして自身の敗因を考えさせる。
ロビンのもう一つの敗因は心の何処かで私の事をは大した事無いと思っていた事だ。慢心は己を滅ぼす。ロビン自身がこの事に気付けなければ今後の成長は本当に無いだろう。かつての私と同じようになるだけだ。
私もかつては己に慢心して神々に戦を仕掛けた。その結果あの森に封印されてしまったのだ。マスターが来なければ私は今だにあの森で一人過ごしていただろう。
「さて、次は誰かの?」
感傷に浸っている場合じゃ無い、と自分に言い聞かせ、次の生徒を呼ぶ。さもなくば、ずっと過去を振り返ってしまいそうだったから。
「私だ!」
次の相手は教室でマスターに簡単にあしらわれた女童で、セイトカイチョウ?とか言う物らしい。名前は確かルビアだったか?
「ほぅ……お主か。構わん、掛かって来るがよい」
「貴様ーー!」
私の言葉の何処を挑発と勘違いしたのか、憤りながら訓練用鞭を振り下ろして来た。
「何を怒っておるのじゃ……」
私は振り下ろされた鞭を掴み、グリングリンと回転をした。後にマスターに聞いたら、ジャイアントスイングとか言う技名らしい。
「おあああああーーーー⁉︎」
回避したければ鞭を離せばいいだけなのだが、何故か絶対に鞭を離そうとしないルビア。
「お主は地力は良いのじゃが、如何せん、その地力を全く活かせておらんな……」
呆れを散々込めた言葉をルビアにぶつけ、遂に振り回していた鞭を離した。そしたらどうなるか、答えは簡単で、吹っ飛ぶだ。
「ぬわああぁぁぁ⁉︎」
校舎の方に吹っ飛ぶルビア。私は一瞬だけ全力の動きをして、ルビアと校舎の間に滑り込み、吹っ飛んで来たルビアをキャッチした。ルビアは気絶していたが。
「やり過ぎたかの?」
私の呟きが戦闘指南中の訓練場に響き渡った。
むっ、マスターが頭に手をやり呆れてしまってる。むぅ……後で謝らなければな……
何故か生徒会長のルビアさんがギャグキャラ化してしまった……何故こうなった?
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私葉桜こと夜桜は、一週間程とある宿敵と戦うため、更新が疎らになります。もしかしたら一週間程更新出来無いかもしれません。宿敵(宿題)を倒したら、再び更新を再開する予定なので、楽しみにして頂いている皆様、本当に申し訳ありませんが、更新再開を暫しお待ち下さい。




