何処の国にも馬鹿はいる
最近サブタイトルが思いつかなくなりました。なので、結構適当なのがあるかもしれませんが、ご了承下さい。
あの後朝まで交わり続け、朝になって眠りに着き、現在は昼を少し過ぎたといった時間だろう。
「ふぁ〜あ……よく寝た…」
目を覚ました俺は隣で一糸纏わぬ姿で寝ているヴェルを優しく撫で、昨夜の情事を振り返った。
ヴェルは長生きの癖に処女であり、本当に自分より強い相手と以外は交わるつもりは無かったのだろう。
当初、二人共初めてだった為お互いぎこちなかったのだが、二人は持ち前の鋭い勘で、第3Rではもうプロと比べても遜色無い程のテクニックを身に付けていた。
しかし、問題が一つあったのだ。それは二人の体力が無尽蔵過ぎた事だ。これにより何度イっても二人の体は全くといっていい程衰え無いのだ。それにより結局朝になって眠気がやって来るまで延々と交わっていた。
「んむぅ……?ますたー?」
そうこう考えていると、ヴェルが漸く起きた。乱れた髪とその美しい裸体があいまって、ものすごく艶やかに見える。
「起きたかヴェル。俺もさっき起きたばかりだけど、どうやら今は昼過ぎっぽいぞ。ちょっと遅いけど昼食いに行くか?」
和人は燃え上がるもう一人の自分を理性で抑え込みながら、ヴェルに服を渡しながらこの後の予定を確認した。
「うむありがたい。そうだな私も腹減ったしそれで良いぞ。にしても昨日のマスターは凄かったぞ。私が何度失神しそうになったか…ああ、思い出したらまた疼いて来てしまった……」
それは反則だろぉぉぉぉぉ‼︎と言う事で、
和人はヴェルを押し倒し、寝起きのバトルが始まった。
*****
寝起きのバトルを30分程で切り上げ、今度こそ和人とヴェルは街へ行って食事を取る事にした。その際、昨日も感じた様な嫉妬が入り混じった視線を感じたが、昨夜の情事を機に、和人とヴェルの仲が急速に縮まった為、全く気にならなかった。精々、うっとおしいなと感じるだけだ。
「マスター……」
「ああ、分かっている」
うっとおしい視線の一部が間違い無く後を付けてきているのだ。それも悪意を持って。
「ったく……ヴェルの容姿に惹かれた馬鹿か?俺の女に手を出そうとはいい度胸じゃねぇか」
「マスター、殺しても良いか?私はマスター以外愛するつもりは無いんだが……」
相も変わらず物損な事を言うヴェルに苦笑しつつ、和人とヴェルはどんどん人気の無い路地裏に進んで行く。
後を付けて来た視線達は、これ幸いと距離をどんどん詰めて来る。視線の正体はこんな態とらしく行動しているのに全く疑いを持っていない様子だ。こんな警戒心が無いのは冒険者では無い。大方帝国に住むゴロツキって言った所だろう。
そうこうしている内に、路地裏の行き止まりらしき開けた場所に出た和人とヴェル。そこに俺達を付けて来たと思われる三人の男達がやって来た。
「へへっボウズ、自分達からこんな場所に来てくれるとは助かったぜ」
「楽にさせてくれた礼に、有り金全部と女を置いてけば怪我させずに返してやるぜ?」
「ほら、さっさとしろ。俺達は気が短けぇんだ」
和人がいかにも三下っぽいセリフを吐く男達を一瞥し、ヴェルに視線をやると……
「マスターあの男達気持ち悪いぞ。さっさと殺したいんだが、構わないか?」
お怒りの様だった。
ヴェルはこうゆう下衆が嫌いなのだろう。此処に来る道中、野営の準備をしてた時に似たような事言って絡んで来た盗賊達がいたが、そいつらは一瞬にしてヴェルに皆殺しにされたのだ。
「まあこいつらが死んだ所でプラスになる事はあっても、マイナスになる事は無いだろう。好きにしていいぞ。あっでも一人は俺が貰うな」
「了解。ならばさっさと殺るとしよう」
俺達がコソコソ話している事に腹を立てたのか、ゴロツキの一人が声を上げて怒鳴って来た。
「おらぁ!いつまでコソコソしている気だ?ああ?さっさと「うるさい」・・・えっ?」
怒鳴り声を上げた男の首が宙を舞った。その表情は何があったか分から無いと、如実に物語って居た。
「貴様らの様な下衆が私を手に入れるだと?寝言は寝て言うもんだぞ小僧」
首無し死体の背後には、その手を手刀の形にして振り抜いているヴェルの姿があった。
「な、テメェ!やりやがったな!」
「このアマが!裸にひん剥いて街中歩かせてから壊れるまで犯し続けてやる!」
漸く理解が追い付いたゴロツキ共は、二人一斉にヴェルに襲い掛かった。 だが……
「ふん、その程度で私に触れられるとでも思っておるのか?舐められたものだ」
ヴェルはそれを一瞥して、後ろにいた下衆な言葉を吐いた男の目の前まで一瞬で移動し、再び首を手刀で斬り落とした。
「ひ、ひぃ⁉︎ゆ、許してくれ!もう二度とお前達に近づかない!だからこ、殺さないでくれ!」
残った男はあっさりと殺された二人の仲間の生首を見て、遂に命乞いをしだした。だが、それを聞き入れる程俺達は甘くは無い。
「えっ?俺の女に手を出しといてそれは無いだろ?」
「へっ?」
ヴェルが約束通り残しておいてくれた最後の一人の背後に周り、後ろからその心臓部分を貫き、心臓を押し出し、男の目の前に押し出した心臓を置く。
「えっ?これは俺の心臓?」
呆然と自らの血塗られた心臓を見て、心臓部分が穴空いた自分の体を見る。
「う、うわぁ……うわあああ‼︎⁉︎」
その直後、脳が自らの死を認識し、男の意識は闇に呑まれて行った。
「ったく汚ねぇな……ヴェルの手はどうだ?ゴミの首を跳ね飛ばただろ?血とか付いて無いか?」
「む?ああ……ちょっと付いているな……汚らわしい」
二人は血の付いた部分に【浄化】の魔法を掛け、その身に付着した血を消し、何事も無かったかのように表通りに戻り昼食を取る。裏路地に残ったのは二つの首無し死体と一つの心臓部分に穴が空いた死体だけだった。
さて、とこの後は冒険者ギルドに行って帝国に来ると言う依頼の報酬を受け取って来るかな。
次回は和人達が皇帝と出会います。三章は短めなので、次回から終盤となります。




