神の怒り
ダーク系は難しいですが頑張って書きます。(といってもちょいダークですが)しかし、恐らくかなりの駄文になるかもしれませんが、指摘してくれたりしますとかなり助かります。
「ここは……?」
気が付いたら俺は神殿の様な場所にいた。しかしそこは、禍々しい風景であり、よく本などで見た神殿とはかけ離れていた。俺自身、本などでよく見る形の建物が無ければ神殿というより、地獄と判断しただろう。
「目を覚ましたようね」
暫くこの場の風景を眺めていたら、背後から女性の声が聞こえた。
「っ!?誰だ!?」
俺は反射的に身構え、声の聞こえた方を向く。
俺は長年の絶望により、知らない人の声を聞くと反射的に身構えてしまうようになってしまったのだ。
こんなんじゃダメだと思い直そうともしたのだが、結局直す事は叶わなかった。
「落ち着いて。私は別に貴方に危害を与える気は無いわ」
そう言うのは、金色の瞳に、長い黒髪を腰の辺りまで伸ばし、紫色のローブの様な物を着た少女が立っていた。見た目だけ見れば誰もが振り向く様な美貌である。年齢は俺と同じくらいに見える。
「お前は誰だ?」
警戒心を隠さずそう問うと、その美少女は少し驚いた様な表情になり、その後クスクスと笑い出した。
「何がおかしい?」
「いやごめんなさい。ちょっと驚いちゃって……この姿を見たら大概の人は警戒心を緩めるのに、貴方ってば逆に警戒心を上げるんだもの。そんな人初めてで、ちょっとおかしくって」
俺の問いにそう返す美少女は、その後少しの間笑った後、この状況を説明しだした。
「私の名前はレディア。レティアと呼ぶ人もいるけど、大した違いじゃないわね。私は闇を司る女神よ。貴方をここに呼んだのも私」
「女神?……にわかに信じがたいが、この状況から見るとそうは言ってられないな……俺は間上 和人だ。
で?闇の女神様が、こんな一般人の俺に何の用だ?」
少し挑発気味に言うが、闇の女神レディアはそんなもの気にしないと、話を進める。
「貴方が一般人?笑わせ無いでよ。ただの一般人がいきなりこんな所に連れて来られて正気で居られる訳無いじゃない。いくら私が直接呼んだとしても、普通は多かれ少なかれ動揺するわよ」
ならそもそも連れて来るなよとツッコミたいが、現状を理解する方が優先だと自分に言い聞かせ、続きを促す。
「ふん、まあいい。で?結局何の用で俺を呼んだんだ?それくらい説明してくれるんだろ?」
俺が聞くと、女神も軽く頷き、説明を続けた。
「私が貴方を呼んだのは貴方に頼みが有ったからよ」
「頼み?」
俺は訝しんで返す。それに女神も頷き、説明を続ける。
「ええ。その頼みとは、貴方に私達の世界に行って欲しいの」
「なんだと?」
俺は驚きながらも女神に続きを促す。
「でもこれは私の個人的頼み……他の神々の意思では無いわ」
他の神々というところで、女神の表情に激しい憤怒を感じた。
「どういうことだ?」
「アイツ等は私を貶めて、自分等だけ人々の信仰を受け、甘い汁を啜っているの。私はそれを許せない。
元々あの世界は七柱の神々によって管理されていた。火の神、水の神、風の神、雷の神、土の神、光の神、そしてこの私闇の神によって、ね。
でも、私は他の神によく思われていなかった……あの世界には魔物という存在があって、その魔物が進化した魔族が好んで使う魔法が闇だったから……魔族は知恵を持ち、人間達に戦争をしかけた。私達神々は主に生物による信仰を受け力を付けて行く。ここまで言ったら貴方にも大体分かるでしょ?」
女神はそう言うと俺に視線を向ける。
「おおかた、その魔族ってやつが知恵を付け、思ったより強力な存在になってしまい、その戦争で人間側が敗北。闇を主に使うって事はお前が信仰対象だろうから、お前一人だけが強力な力を付け、それを他の神々が妬んだ……そんなところか?」
「ご名答。まさにその通りよ。やっぱり貴方は特別ね。賢い子は大好きよ」
女神は少し驚いたようだか、すぐに俺を褒める。やはりどの世界も力を持つ者は淘汰されるのか……しかも自分勝手のクズに……本当に糞ったれた世の中だ。
「そりゃどーも。で?結局俺は何でお前等の世界に行かないとならないんだ?」
「それは私の個人的なお願いだけど…」
女神は言葉を区切り、一瞬思考した後、徐に言葉を紡いだ。
「私の復讐を手伝って欲しいの」
「いいぜ」
「そうよね…こんな事いきなり言われても…って、えっ!?」
「だからお前の世界に行ってもいいって言ってるんだ。……それに俺は今の生活に絶望している。あの腐りきった世界と決別するには丁度いい」
そう言いながら遠くを見る和人の瞳には本当に今の世界に対する未練は何も感じれなかった…………
次回は主人公の能力が遂に明らかに!