帝国到着
今回、最後の方にちょっとだけエロシーンがあります。苦手な方はそこだけ無視して貰っても構いません。
「ほう……随分デカイな……流石はこの世界最大の国っでだけあるな」
「やろうと思えば一撃で消し飛ばせる程度だがな」
ゼノシア帝国の入り口付近でぶっそうな事を言っている者達は、帝国の皇帝に呼ばれやって来たEXランク冒険者の和人と、その使い魔であるヴェルフェン(人間形態)だ。道行く人々はそんな二人に怪訝な表情を向けつつヴェルフェンことヴェルの余りの美しさに見惚れ、隣に居る和人に嫉妬と羨望の眼差しを送って来る。
「姉ちゃん可愛いな!そんなひ弱そうなガキより俺と行かないか?」
その結果こんな馬鹿が現れるのだ。見た目から冒険者だと分かる男は、和人を一瞥してからヴェルに話しかける。
「ふっ……すまないが貴様からマスターの様な魅力は欠片も感じられ無いな……ナンパなら別を当たるがよい」
そしてヴェルにザックリ切られる。しかも丁寧に鼻で笑うと言う侮辱振りに和人は思わず苦笑いをする。
その言葉を聞いた男は何故か和人に怒りの矛先を向け、背中に背負っていた自分の身の丈程の大きさ大剣を抜き、その切っ先を和人に向けてくる。
「おいガキ!俺と決闘しろ!俺が勝ったらそこの女は貰ってくぞ!」
と、盗賊チックなセリフを放って来る。
「あ?俺に喧嘩売ってんのかおっさんよぉ?力の差くらい分からないのか雑魚」
和人の性格はこの世界に来て、日本に居た時と比べ物にならない程好戦的になっている。
和人には昔から少し喧嘩っ早いところはあったが、ここに来てからはそれに拍車がかかったようである。つまりキレやすいのだ。
「お、おっさんだと⁉︎俺はCランク冒険者のガウィン様だぞ!年齢はまだ28だでおっさんと呼ばれる歳じゃねぇんだよクソガキ!」
顔を憤怒に歪め身の丈程もある大剣を和人目掛けて振り下ろして来る。
「Cランクだぁ?ドカスじゃねぇか。その程度でこの俺に喧嘩売るとか馬鹿じゃねーの?」
自分に振り下ろされた大剣を避けるでも迎撃するでも無く、素手で掴んで受け止める。
「なっ⁉︎」
驚愕に顔を歪めるおっさんことガウィン。和人はそれに構う事無く受け止めたままの大剣を引っ張り、自分の方にガウィンを引き寄せ、そのまま顔面を殴り飛ばした。勿論全力の1%も出していない。
「ぶへっ⁉︎」
しかし、手加減したといえ、人外の攻撃の直撃をその身に受けたガウィンは、マンガやアニメでしか見たこと無いような吹っ飛び方をして、吹っ飛んだ先にあった大木に頭から突っ込み意識を失った。
「ったく、張り合いねぇ奴だ」
「いやいや、マスターと張り合える様な存在がそこら中にいられたら、とっくにこの世界は滅びとるからな?私も死んでおるからな?」
不満気な和人とそれを宥めるヴェルの姿は、傍からみると仲の良いカップルの様にしか見えず、嫉妬の眼差しの割合が一層増えた。しかし、今見た光景から態々絡もうという勇者はいなかった。
「あーあ……最近ホント張り合い無いぜ……」
「数日前に私と本気で戦ったでは無いか?あれでは不満だと?」
「いや、そういうことじゃないんだよ。お前との戦いはホント楽しかったぞ?でもあの戦闘経験しちゃったら……なあ?」
そんな周囲の感情など露知らず、二人は何事も無かったかのように帝国の入り口に向かう。
因みにここまでは、自分に認識阻害の魔法を掛けてウォーレンからダッシュして来た。結果馬車で片道一週間の距離を僅か三数日で踏破した。
「止まれ。先程の一撃は見事だったが、身分証明書はきちんと確認させて貰うぞ」
どうやらこの兵士さんは和人の喧嘩を見ていたっぽい。
薬指を確認するに、この兵士さんは結婚しているらしく、ヴェルの美貌を見ても、一瞬見惚れる程度で直様自分の仕事に専念した。結構経験が長い様で、プロの威厳を醸し出している。
「ほら身分証。冒険者ギルドの奴ね」
「これも一緒に頼む。隣の者と同じで冒険者ギルドの奴だ」
兵士さんは俺とヴェルのギルドカードを確認すると、目を見開き、驚愕を顕にする。
「なっ⁉︎EXとSSSだと⁉︎と言うことは、おま、貴方が史上初のEXランク冒険者の「瞬速の絶対者」様ですか⁉︎」
やはりプロの門兵といえど、史上初のEXランク冒険者を見たら驚きを隠せない様だ。いや、SSSのヴェルにも反応してたし、多分和人がSSSでも驚かれただろう。
今回は俺のランクに意識が行っていたおかげで、初めて見るSSSランカーのヴェルには特に大きな反応はしなかった。これでヴェルについて突っ込まれたらめんどくさい事になっていただろう。具体的に言うと何をしたんだ?とか、何者何だ?とかな。
「ここの皇帝に呼ばれたから来た。問題無いなら早く通してくれ」
「は、はい失礼しました!どうぞお通り下さい!」
そう言って大袈裟に門を示すプロ兵士(笑)に苦笑しつつ、和人とヴェルは門を通り、帝国の中に入った。
帝国に入った俺の感想は、とにかくデカイ!だった。
「建物一つ一つをこんな巨大に造る必要あるか?ここの皇帝は代々馬鹿なのか?金使い過ぎだろ」
「竜形態の私の方がまだ大きいがな!」
「何張り合ってんだよ」
一先ず何故か建物に張り合うヴェルにツッコミを入れつつ、和人は今日泊まる宿を探す。向こうも和人が予定より早く着くと思っているだろうが、流石に数日では早過ぎなので、帝国で二〜三日程適当に過ごす予定だ。
「おっ!ここなんか良い雰囲気だな。宿はここにするか。ヴェルもここでいいだろ?」
「うむ。ここより増しな所は多分早々無いだろうし、マスターが良いなら私は文句無いぞ」
とゆうことで宿はここに決定した。
中に入ると立派な内装をした空間が目に入って来た。どうやらここを選んで正解だったようだ。ヴェルも満足そうだし。
「すまんが、二泊分頼む」
とにかくここに泊まるのは決定事項なので、受け付けに向かい泊まる事を伝えた。
「はい、いらっしゃいませ!此方二泊で一人銀貨2枚になります!」
受け付けに行くと、元気の良い女の子が対応してくれた。ちょっとウォーレンの街で俺が泊まっていた所の看板娘の女の子とどちらが元気度が高いか比べてみたいと思ったのは内緒だ。
「二人分頼む。部屋数は一人部屋二つで頼む」
「む?部屋数を多くするとその分値段が上がるのだろ?二人部屋一つで頼む」
和人が一人部屋を二つ頼もうとすると、ヴェルがそれを遮り、二人部屋に一つにして来た。
まあ確かに泊まる代金に、貸りた部屋の数×銀貨一枚必要になるし、一部屋なら二人分の代金の銀貨四枚に部屋分の一枚を足した、合計銀貨五枚となり銀貨一枚分安くなるのだ。だが、一応使い魔と主人の関係とはいえ男と女なのだ。その点について尋ねてみると、
「別に構わないぞ。とにかく金はあればあるだけ良いんじゃから普段から無駄を省くに越した事は無いじゃろ?」
正論で返された。まさか竜に金について諭されるとは……少し凹んだ。
「まあお前がいいなら構わないが……すまない、やっぱり二人部屋一つで頼む」
「はい分かりました!では銀貨五枚になります!お食事についてですが、朝は6時〜8時の間です。夜も同じく6時〜8時ですので、お間違え無いようにお願いします。お部屋には個別にお風呂が用意しておりますので、お湯に浸かりたい場合はそちらをお使い下さい!
ではこちらがお部屋の鍵となります。お部屋は二階の奥201号室となります」
鍵を受け取り指定された部屋に向かうと、そこには受け付けの女の子が言った様に風呂があった。魔王城で入った以来なのでこれには正直に嬉しかったりする。
「さて、と……これで一先ず落ち着けるな。とゆうか何故ベッドがダブルなんだ?俺はツインだと思ってたんだが……」
「別に構わないだろ?どうせ寝るだけだし。ああ……でも人間達の間で良くやってる、あのベッドでの情事には興味あるがな」
……うん?今ヴェルから危ない発言があった様な……いやいや気の所為だな。うん気の所為に決まっている。
「気の所為じゃないぞ?私は本当にあの行為に興味を持っている。どうせこの後の予定も無いし今から始めても良いと思っておる」
こいつ、心読みやがった……
「じゃなくて!えっ?お前マジなの?そうゆうのって好きな者同士でやるんだぞ?いいのか?」
「うん?なら問題無いじゃないか。私はマスターの事好きじゃぞ?勿論人としても、異性としてもな。昔から決めてたんじゃ。私より強い男が現れたらその者と結ばれようとな。それともマスターは私の事嫌いなのか?」
うっ……そんな心配そうな表情+上目遣いは反則だろ……
「いや!勿論俺もヴェルの事は好きだぞ!お前みたいな可愛い娘に惚れ無い訳無いだろ?」
ああ……言ってしまった……こうなったらなるようになれ!だ。
「ふふっ……ならどちらにせよ問題無いでは無いか」
「ふぅ……女にここまで言わせて引き下がるのは男じゃないよな」
俺はヴェルをベッドの上に押し倒した。
「あ……ふふっマスターも男だな」
「ああ……ったくお前はとことん俺の理性を刺激してくるよな」
「積極的な女性は苦手かの?」
「いいや、寧ろ燃えて来るね」
その言葉を最後に、俺はヴェルの唇に自分の唇を重ねた。
「あ、ふぁ、ん・・・」
舌と舌が絡みあい生々しい音を立てる。
「ん?おいおいヴェル、お前はもうここ濡れてるじゃないか」
「んん……言わ、無いでぇ……」
「そうは言ってもお前のここはそうは言って無いぞ?」
この後ヒートアップした二人は食事も忘れ、一晩中交わり続けていたのだった。
今更ですが神竜ヴェルフェン(ヴェル)のステータス公開です。
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名前:ヴェルフェン
種族:神竜
生命力:999999999 / 999999999
魔法力:999999999 / 999999999
攻:961876765
守:765961876
速:測定不能
魔:測定不能
スキル:「形態変化」・・・任意の姿になる事が出来る。その際のステータスの変動は無し
「全属性魔法」・・・全ての属性の魔法を使用可能(得意不得意あり)
「全適性」・・・全ての魔法に適性を持つ(得意不得意あり)
技能:「竜の吐息」・・・致死性のブレスを吐く事が可能。込める魔力により能力、威力が変動する
称号:「竜族の王」・・・竜族の頂点に君臨している証明。自分より格下の竜族を従える事が可能
「神々に争いを挑みし者」・・・神に属する生物複数に挑んだ者の証明。自分より格下の神に属する者に敵対されやすくなる。
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となります。一応ステータスは億の桁まで測れるという設定です。和人の場合は軽く億を超えているので測定不能となります。
P・S
ヴェルの「全属性魔法」は、理に属する全ての魔法属性が使えると言うスキルです。和人の「思想魔法」と違い、火、水、風、土、雷、光、闇の魔法しか使えません。つまり「思想魔法」の劣化版だと考えて下さい。まあそれでも有り得無い程強いチートスキルなんですが(^_^)




