三章プロローグ
三章突入です。もしかしたら今回のプロローグで三章の結末やら内容やら分かってしまうかもしれませんが、どうかご容赦下さい。
ゼノシア帝国。通称帝国。アナザリア最大の領土を持つこの地を支配するのは現皇帝フェリオ・ゼノシア。ゼノシア帝国第13代皇帝である。
「陛下、こちら今月分の税金の徴収書です。民の中にはこの量ですら多いと不満を言う者もおりますが、一先ず満足の行く税が取れております」
「ふむ、了解した。引き続きこの件は任せた」
「はいお任せ下さい。では失礼します」
「次!」
厳かに命じる者は現皇帝フェリオ・ゼノシア。
現在帝国の王城では、毎月の税金の徴収を行っていた。
「陛下!こちらはミロガス王国からの贈呈品です。今回は税金の1%と王都で作られた食材です」
「こちらもきちんとしているようだな。そういえば以前話していた異例の冒険者の話はどうなった?」
ミロガス王国とは、ウォーレンの街が入っている国の名前だ。そして史上初のEXランク冒険者カズト マガミを輩出した国でもある。
ミロガス王国は現在帝国との同盟とは名ばかりの支配を受けており、その扱いは従属国より多少増しと言う程度だった。
「はい、あのカズトとか言う冒険者はこちらに向かって出発したとの事です。あの者はかなり速い移動速度を持っておるとの事でしたので恐らく近日中にこちらに到着するとの事です」
ミロガス王国についての報告を行った男の説明に頷いたフェリオは、何やら思案顔を作り、次の瞬間には元の表情に戻し、次の報告を命じる。
「了解した。下がって良いぞ。次の報告をしろ!」
皇帝の言葉に頭を下げて下がる男を一瞥して、皇帝フェリオはポツリと呟く。
「カズト マガミ…この者を配下に加えれば我が帝国は更なる戦力向上を測れるだろう……くっくっくっ…さすれば他の国に戦争を仕掛け、行く行くは我が帝国がこの世界の覇者に……」
皇帝のこの呟きを聞き咎めた者はこの場にはいなかった。もしもこの時この言葉を聞いた者がいたら。この時この言葉に意を唱える者がおり、それをフェリオに納得させられたのなら、この後に起こる悲劇を回避出来たのかもしれない。
ゼノシア帝国の未来はこの瞬間決まったのだった。




