神竜ヴェルフェン
書いて思った事は、これ二話に分けた方が良くね?でした。しかし書いてしまったものは仕方ないのでこのまま行きます!読者の皆様にご不便をお掛けします事を心から謝罪します。
ギャーギャー キーキー バサッバサッ
「しっかし、ホント不気味だな〜。こうゆう雰囲気は好きだけど、この声や音だけはどうにかならないかな?」
絶望の森に来てはや数時間。結局俺はこの森を攻略する事にした。
襲ってくる魔物を無傷で撃退し、その死体を片っ端から別空間に放り込みながら進みつつも、この森についての感想を述べる。
「うーん……ここの魔物達は確かに全員SSSランクなだけあるけど、精々ヴェルズと同じか、それよりちょっと強いだけの奴ばっかだな……件の神を凌駕する魔物は疎か、災害級や天災級すらにも出会わないな……つまらん」
「グルルァ⁉︎」
今も襲い来る魔物の頭を片手で握り潰し、そう呟く。この魔物は「デビルウルフ」と言う名前のSSSランク魔物であり、単体ではSランク程度の実力なのだが、基本的に20〜30匹程で群れを作り生活をしている。そのかいもあってこの生息している魔物が全てSSSランク以上の絶望の森で生きている。何せ群れではSSSランクの上位に位置するのだから。
これは、個体が強力な為基本的に単独で行動しているSSSランクの魔物にとっては、天敵とも言える。何故かと言うと、SSSとはいえSランク魔物の相手には倒すのに数十秒は掛かる。その隙を狙ってSランク魔物が数体がかりで襲いかかるのだ。そりゃあ手強いだろう。まあ俺にとっては片手間に相手して全滅させられる程度だがな。
因みに「神の知識」では「デビルウルフ」は群れで個体として判断した為、個体ではSランク程度の「デビルウルフ」が生息していても、生息している魔物は全てSSSランク以上だと記された。
「はぁ……そろそろ災害級とか来てくれよな…」
そう呟くと、その願いが叶ったのか、森の木をへし折りながら、巨大な物体が目の前に現れた。
「こいつは……」
俺はすかさず「神の知識」を発動させて、相手の情報を探った。
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名:ユルング
説:その昔、とある街を破壊し、海に沈めた魔物。個体数は圧倒的に少ないが、寿命という概念は無く、人間界と魔界のあちこちに散り生活をしている。
危険度:災害級(個体によっては天災級)
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何か凄かった。全長50mも有り、まず間違い無く天災級に入るだろ。
気になったので、これまた久しぶりな「特神眼」を発動して相手のステータスを探る。いくら天災級といえど、超越神たる俺から見たら所詮格下の存在となる。
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名:無し
種族:ユルング
生命力:659000 / 659000
魔法力:42000 /42000
力:84000
守り57500
速:1200
魔:72500
スキル:「最上級水魔法」・・・水魔法を最上級まで使える
技能:「水流操作」・・・水を自分の思い通りに扱う事が可能
称号:「歩く災害」・・・歩くだけで災害認定される証。自分より格下の存在を恐怖させる
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流石は天災級に属する災害級魔物だ。ヴェルズなんかより断然強い。
「だが……まだまだだな」
「グオオオン‼︎」
俺の言葉に反応したのか、ユルングはその巨大な拳を俺に向かって振り下ろして来た。
ズドオオオォォォン!
ユルングの一撃は凄まじく、和人が居た位置から、半径数メートルに巨大なクレーターを作った。”ある一点を除いて”
「ふむ……やはり天災級の実力を持つだけあるな……一撃でこんなクレーターを作るとは流石だ。まあそれでも俺には届かなかったがな」
クレーターの中心、ユルングが拳を振り下ろしたまさにその場所に”ユルングの拳を片手で受け止めた”和人が立っていた。
「グオオッ⁉︎」
ユルングは困惑に顔を染め、必死に拳を戻そうとするが、振り下ろした拳はビクともしない。
*****
ユルングは困惑していた。目の前にいるのは身長180cm程度で、50mもの体躯を誇る自分からしたら、虫と変わらない程の矮小な存在。そんな矮小な存在が自分の拳を受け止めている。しかも幾ら引こうとも振り下ろした拳はピクリともしない。
この時ユルングは気付いた。自分は絶対出会ってはなら無い存在に出会ってしまった事に。絶対に戦ってはならない存在に挑んでしまった事に……
そう気付いた時には既に遅かった。受け止められていた拳が嫌な音を立て始めたのだ。
「グオオッ⁉︎グオオッグオオッ⁉︎」
「よお……流石天災級だな。今まで戦った中で二番目に楽しかったぜ?喜んで逝ってくれや……」
その瞬間ユルングは自分の拳が握り潰された事に気付いた。そしてそれに一瞬気を取られた瞬間……自分の首が飛んでいた。ユルングが最後に見た光景は、自分の巨大な体と、自分の首があった場所で片刃の武器を振り抜いている男の恐ろしい笑みだった。
*****
俺は殺したユルングの死体を別空間に放り込み、探索を続けようとした瞬間、自分の頭上を巨大な影が通過した。
「あれ?何かデジャヴが……」
そう呟いた途端、目の前に巨大な影が降り立った。
金色の鱗を纏い、鱗と同じ金色の瞳、爬虫類を思わせる縦に開いた瞳孔持ち、額から天を穿つがごときの巨大な二本の角を生やし、背中からは一対の巨大な翼を生やし、ユルング程では無いが、それでも30mを超える巨大な体躯を持つ生物。
『巨大な力を感じて来て見れば、何故ここに人間がいる?』
その巨体からは想像出来ない様な、高い声でそう問いかけて来る。
だが俺はそんな事より驚いた事があった。
(こいつ……何てプレッシャーだ……)
俺はこの世界に来て、初めて感じる強力な圧力に驚いていた。
(とにかく何か返さないとな……」
「俺は間上 和人。姓が間上で、名前が和人だ。まあカズトとでも呼んでくれ」
『ふむ、カズトか……ではカズトに再度問おう。何故ここに居る?貴様は人間であろう?』
思ったより友好的に接してくれる事に少し戸惑いつつも、質問に答える。
「転移系の魔法を使った時に座標を間違えた。そしたらここに転移させられたのさ」
『成る程転移魔法か……見た感じ結構若いのに中々見所がある。次の質問だ。先程感じた強力な魔力はなんだ?私が感じた気配は、ユルングと呼ばれる魔物の物だったと思うが?』
「ユルングは俺が殺した。死体は俺の魔法で作り上げた空間に放り込んだからこの辺りには無い。こっちも聞きたい事がある。お前は何者だ?かなり強力な存在だと言う事は分かるが、種族はサッパリだ」
今度はこっちが質問して見ると、思ったより簡単に答えてくれた。
『ふむ……まあよかろう教えてやる。私の種族は神竜だ。他には竜皇と呼ばれているな。因みに全ての世界において神竜は私しか存在しない。そんな私の前でそんな冷静でいられるとは、貴様中々見所あるぞ?」
褒めてくれているのが分かるが、俺はそれは頭に入らなかった。何故なら「神の知識」で神竜を調べてみた所、驚く事実が判明したからだ。
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名:神竜
説:太古の昔、神々と争いを起こし、そこで数多な神々を屠った竜の神。その力は創造神に匹敵し、創造神を含め生き残った神々が全力を持って撃退した。その際完璧に殺し切る事は出来ず、見つけたら報告し、神々総出で殺しにかかれと命じられている。
危険度:測定不能
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「お前……太古の昔に神々に喧嘩吹っかけたって本当か?」
そう言う俺の声は震えていた。恐怖からでは無い。歓喜からだ。
『むっ?貴様何故それを知っている?いかにも私がかつて神々に争いを挑み、数多の神々を屠った竜……神竜ヴェルフェンだ』
それを聞いた時俺の体に何かが駆け抜けた。自分と同等、いや、もしかしたら自分より格上かもしれない存在に遭遇し、今まで感じた事の無い思いが心を過る。
「クククッ……ハハハッ……アーハッハッハッハッハ‼︎」
気付いたら俺は大声で笑っていた。そして、今まで抑えていた魔力と神力を全力で解放した。
『……っ⁉︎貴様!人間じゃないな‼︎』
最初は急に笑い出した俺に訝し気な目線を寄せていたが、俺が解放した力を感じ取り、すぐさま臨戦態勢を取る。この反応の速さは流石神竜と言うだけある。
「ああ……俺は人間じゃあない……だが、お前の敵でも無い。やっと見つけた…俺と共に戦える存在を…」
『どうゆうことだ?』
俺の言葉に訝し気に返して来る神竜……いやヴェルフェンに、俺の目的を説明してやる。
「俺の目的はこの世界に存在する、闇以外の神々を殺す事だ。そしてそれにお前の力を借りたい。この世界の神程度なら俺一人でも問題無いが、人数はいるに越した事は無い。神竜ヴェルフェンよ、俺はお前が欲しい。勿論この世界の神々を殺した後、お前が殺したい神が居るなら手伝おう。どうだ?俺と来てくれるか?」
俺の言葉にヴェルフェンは考える様に目をつぶるが、次の瞬間決意したような目を向け、とんでもない事を言って来た。
『ふむ……決めたぞ。貴様私と戦え。私に勝ったら貴様の使い魔契約をして、この身を全てを貴様に捧げよう。だが私が勝ったら貴様が私に従属して貰う。どうだ?この勝負受けるか?』
ヴェルフェンの目はこれが本気だと言っていた。なら俺も本気で返そう。それが礼儀だ。
「その勝負受けて立とう!」
こうして魔神の俺と神竜のヴェルフェンの戦いが決まった。
次回は和人とヴェルフェンの戦いです。予定では戦闘描写に一話まるまる使う予定でいます。どうぞお楽しみに




