帰還と絶望の森
今回は短いです。
所々短い話を入れてしまい申し訳ありません。ですが頑張って書いているので、どうかご愛読お願いします。
俺が魔王城を制圧してから一ヶ月が過ぎた。
魔王城での生活は楽であったが、大変でもあった。
先ず楽だった事の説明をすると、メイドさんの活躍が凄かった、と言うことだ。何をするにもメイドさんに頼めば解決出来、俺はゴロゴロして頼み事をするだけでも、メイドさんはしっかりとやり遂げてくれた。正直悪い気もしてたので、一回その事について聞いてみたところ、
「カズト様は我々魔族の神の様な存在です。あの憎き人間の神々を殺す事を目標にして、それを実際に行える実力を兼ね備えておられる方は貴方様しかおりません。故にカズト様からの御命令であればどのような内容でもきちんととやり遂げたいのです」
との事だ。いや、まあ確かに俺は魔神だけど、それはまだバラしていない。崇拝とかされてもうっとおしいし…
次に大変だった事だが、これには流石の俺も戸惑った。まさかアリアの用意した部屋が、アリア同じ部屋だったとは…
当初は部屋を変えてくれと頼んだのだが、グアルディオラとリリアンのヒヤルの三人にニヤニヤされながら論破されてしまい、その上アリアに
「私の事をお嫌いですか……?」
と、上目遣いで言われて断れる筈も無く、渋々同じ部屋で寝泊まりする事になった。
そこで新たな問題が浮上する。風呂入ってるとそこにアリアが突撃して来て、起きると毎回の様にベッドに入り込んでいるのだ。正直理性がやばかった。アリアはレティに匹敵する程の美貌を持ってるし、朝起きた時に感じる二つの柔らかい物体の感触は、男としての俺を滾らせて来る。良く一ヶ月も持ったなと思う。
そして今日、俺は魔界から帰還する。そろそろシヴァが帰って来ている頃だろうとの事で、だ。
「カズト様…どうしても行ってしまわれるのですね……」
「ああ…まあ何時でも来れるし、俺がいない間の統治は任せたぞアリア…」
「ご安心をカズト様。魔王様はワシらで支えますゆえ、カズト様はカズト様の道を行って下さい」
アリアが悲しそうな顔をして言うが、リュオンが頼もしい事を言ってくれる。出会った当初はあんなに俺に敵意剥き出しだったが、今では心強い文官だ。
「そうだな…任せるぞリュオン!グアルディオラもヒヤルもリリアンも、アリアの事頼むぞ」
「「「「はっ!お任せを!」」」」
声を揃えて一斉に頭を下げる元魔王四天王達。この一ヶ月で俺をの事を認めてくれて、この様に命令や頼みを聞いてくれる。アリアはいい部下に恵まれた様だ。
「では俺は行く。そんな長い間空けるつもりは無いが、もし俺が中々帰って来なくてもきちんとやるように!」
そう言って俺は次元跳躍をする為に時空の壁を開いた。俺がどうやって魔界に来たのかは誰にも教えて無かったので、皆この現象を見るのは初めてだろう。その証拠に全員漏れなくポカーンとしている。結構面白い。
「驚かせてすまなかったな。これが俺がここに来る時使った魔法だ。説明すると面倒だから省くが、名前だけ教えとこう。これは「次元突破」だ。この魔法で時空の壁を開き次元を越えて来たんだ」
仕方ないので簡単に説明してやると、皆は納得した様に頷き、俺を尊敬の眼差しで見てくる。
「いやはや、流石ですねカズト様」
「俺らじゃ絶対無理だな!やっぱりカズト様は規格外だ!」
「……凄い…」
「流石ガズト様ですね!魔王様が惚れて無ければ、私が惚れてます!」
「リ、リリアン!でもカズト様は流石です!こんな魔法見たことも聞いたこともありません!私、カズト様と再び会える時にはもっと強くなります!」
上からリュオン、グアルディオラ、ヒヤル、リリアン、アリアだ。何かリリアンが気になる事を言ってたけど、気にしないでおこう。
「じゃあ俺は今度こそ行くな。もう一度言うが、俺がいない間は任せたぞ」
最後にそう言って次元跳躍をした。
以前も通った真っ暗な空間を通過し、一ヶ月前に来た世界に戻った。
「明るい空…色彩豊かな世界…アナザリアだな…」
魔界は基本暗かったから何か感動する。
「でもここどこ?」
今俺がいる所は、以前魔界に行く時に開いたウォーレン近くの平原じゃなく、何か禍々しい雰囲気のする森だった。どうやら座標を間違えたらしい。ここは災禍の森に似ているが、あの森よりも魔物の気配が強大だ。まず間違い無く災禍の森より危険度が上だろう。
「ったく、俺はとことん凶悪な森と縁があるようだ…久々の「神の知識」の出番かァ?」
ーーーーーーーーーー
名:絶望の森
説:人間界、魔界含めて5ヶ所存在する最凶凶悪エリアの一つ。存在する魔物は全てSSSランク以上。入ったら最後絶望して死ぬしか無いという事からこの名が付いた。神すらも凌駕する魔物の存在も確認されている。
危険度:絶望級
ーーーーーーーーーー
「・・・やばくね?」
「神の知識」の検索結果はとんでも無かった。
どうやらここは最凶最悪な場所で、もしかしたら俺と同等の実力を持つ魔物も生息しているようだ。
「どうしよう…ワープを使えば一瞬だけど、俺の心には自分と同等の存在と戦ってみたいという気持ちもある……」
こちらに来て自分が戦闘狂化して来ているのを自覚した一瞬であった。
ちょっと強引かも知れませんが、ここで絶望の森という新たなステージに登場して貰いました。次回は和人と件の神をも凌駕する魔物が出会う予定です。もしかしたら戦闘に入るかも?




