魔神の恐怖
先にご報告します。今回の話は色々と雑になってしまった気がします。もし読み難い、意味分から無い。なんか変。とかの感想を抱きましたら、どうかご指摘下さい。頑張って手直しします。
P.S
今回は魔法の等級が出てきますので、後書きにて魔法の等級の説明を載せておきます。お時間がありましたら、ご確認下さい。
「どーも魔王様。お話に来ましたよっ、と」
俺は魔王の居る部屋に入るなり、そう言葉を発しながら軽く扉を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた扉に潰された馬鹿が居たようだが、死んではいまい。
「貴様……侵入者か!」
何か目が三つあるおっさんがいきなり腰に差してあった剣を抜き、文字通り一瞬で距離を詰めて来た。
(取った!)
誰もがそう思っただろう。しかし俺の目にはスローモーションで剣を横薙ぎにして来るおっさんの姿が見えている。
「遅いな」
俺は何でも無い様におっさんの剣を指で摘み、指を軽く横にする。それだけでおっさんの剣は簡単に折れた。
「馬鹿なっ⁉︎我輩の【魔剣三目櫓】がこうもたやす……グホアッ‼︎⁉︎」
言い終わる前に俺の蹴りがおっさんの鳩尾を捉え、おっさんは目にも止まらぬスピードで反対の壁にぶち当たり、壁に大穴を作って止まった。勿論おっさんに意識は無い。
「リュオン⁉︎」
大柄なおっさん魔人が何事か叫んだ。どうやら三目のおっさんの名前っぽい。
大柄なおっさんは、リュオンと呼ばれた魔人にほんの一瞬目を取られた。その隙を逃す俺では無い。
「おいおい、俺の前で油断するなんて余裕だな?」
俺は拳を大柄なおっさんの脳天に叩き込み、俺の拳の威力に耐えられなかった床を砕きながら大柄なおっさんを文字通り地面へと沈めて行った。
「グアルディオラ!クッ…こいつ強いぞ!ヒヤル!二人で行くよ!」
お姉さんっぽい魔人がそう叫び、かなりの速度でレイピアを突き出してくる。俺はそれを避けようと軽く横にズレると、いつの間にか背後に回って来ていたおれと同じ歳くらいの魔人に押さえ付けられ、レイピアの直撃を心臓に受けてしまった。
「よし!よくやったよヒヤル!」
「リリアンの一撃も良かった……」
二人は仲良さげに話しながら魔王らしき女の方を向くと、魔王らしき女が急に声を上げた。
「まだだ!」
二人の魔人は驚きながらも背後を振り返ると、そこには無傷の俺がいた。
「この程度か?」
事も無げにそう言うと、女魔人の方から声が上がった。
「どうして生きている⁉︎確かに心臓を貫いた感触があったぞ⁉︎」
口は開かないが、青年魔人の方も同じ気持ちの様で、こっちを睨みながらかるく頷いている。
「あ?んなもん簡単だ。お前等全員に幻覚魔法をかけたんだよ」
それを聞いた魔人達は驚いて息を呑む。
「俺達ならともかく……魔王様にまで、そんな強力な魔法をかけたのか……?」
「ああ。お前等も魔王も、抵抗力全く無かったぜ?ホントにお前等が魔族のエリートか?」
青年魔人の問いに俺はあえて挑発ぎみに答える。そうすると、それに乗ったのか、魔王が玉座から立ち、俺の方に向かって歩いて来る。
「もうよい下がれ……お主等では此の者に勝てまい。妾自ら相手をしよう……それにお主は妾に話があるんだろう?妾に勝てたらその話を聞いてやろう……」
魔王は威圧感たっぷりに言葉を発するが、それにビビるのは魔人達だけで、俺には全く効いて居ない。
「その程度の威圧で俺をどうにか出来るとでも?それとそこの魔人共は下がる必要無いぞ?”もう終わっている”からな」
「な、何をーーっ⁉︎」
「何をした?ーーっ⁉︎」
二人の魔人が俺に問いかけて来たが、もう遅い。二人の全身に切り傷が現れ、しまいには大量の血を噴出して倒れた。
「ヒヤル⁉︎リリアン⁉︎貴様何をした⁉︎」
魔王が怒りを顕にして俺に問いかけて来る。それに対し俺は残虐な笑みを浮かべ答えてやった。
「最初あの二人が俺に攻撃して来た時、逆にあいつらを切り刻んでやってたのさ……それに気付かず、幻覚魔法にもかかり、そして今ようやく切られた事を頭が理解したんだな」
残虐な笑みを浮かべたままそう答えた俺に、魔王は気圧され、無意識に足を後退させていた。
「き、貴様……何者だ……⁉︎生物に認識出来ない速度で切り刻むなど、普通は出来る筈無いのに……」
「なら俺が普通じゃないんだろ」
「くっ……『我、風の理を極めし者。汝、我の呼び声に応えよ【破滅の嵐】』‼︎」
魔王は風属性の最上級魔法を詠唱短縮で放って来る。一撃で大地を穿つごとき威力を秘めた破滅の暴風が俺に容赦無く襲いかかって来る。魔王もこれで決まったと思ったのだろう。しかし………
「この程度で魔王だと?冗談もほどほどにしろ【小さな台風】」
俺は風属性”下級”魔法を詠唱破棄で放ち、魔王が放った【破滅の嵐】を相殺した。
「なに⁉︎」
魔王は自分の魔法がたかだか下級魔法で相殺された事に驚きを隠せない様だ。
「もう終わりか?」
「……⁉︎まだだ!『我、火の理を極めし者。汝、我が呼び声に応え、全ての物を灼熱の業火にて焼き尽くせ。【地獄の業火】』‼︎」
今度は詠唱をきちんと紡ぎ、火属性最上級魔法を放つ。
「だからこの程度で俺を倒せると思うなよ?【小さな火炎(プチファイヤ】」
俺は再び相手の魔法を相殺する。
この世界では魔力を込めればどんな魔法でも威力を上げられるのだ。つまり、俺の測定不能の魔力を込めれば下級魔法でどんな魔法でも相殺可能となる。
魔王はそれでも諦めず各属性の最上級魔法を放って来るが、俺は全てその属性の最下級魔法で相殺していく。
「くっ……これだけは使いたくなかったが、お主相手ではそうも言ってられない様だな!喰らえ、妾の最強の魔法を!『我、全て属性の理を極めし者。汝共、我が呼び声に応え、彼の者を打ち滅ぼし破滅と破壊を齎したまへ。混合魔法【混沌の裁き】』‼︎」
今までとは比べ物にならない程の強力な魔力を込めた一撃が俺に向かって飛んで来る。威力は間違い無く古代級を超えているだろう。
「いいねぇ……こんくらいやって貰わないと魔王じゃねぇよな!【闇の穴】」
俺は闇属性古代級魔法の【闇の穴】を発動し、魔王の放った【混沌の裁き】を呑み込む。
「妾の最強の魔法が呑み込まれだと⁉︎」
魔王が驚愕の声を上げた瞬間、【混沌の裁き】は、俺の「闇の穴」に呑み込まれて、その姿を消した。
「最後のは中々良かったぜ?ご褒美にお前に圧倒的実力差というのを見せてやろう」
俺は驚愕から立ち直って居ない魔王を尻目に、とある魔法を唱える。
「『我、神を超越せし者。この世のありとあらゆる生命よ、我が呼び掛けに応え、その力を顕原させよ。【超越神の流星】』」
俺が詠唱を唱え終えた瞬間、世界が揺れた。
俺が唱えた魔法は”超越神級”。神ですら発動する事が不可能な魔法。この魔法を解き放てば、世界の一つや二つ、一撃で消し飛ばす事が出来る。
「あ、ああ…あああ……」
超越神級の魔法を間近で見た魔王は、見るも無残な様子だった。
先ず手足は自分の意識とは別に震え、立っている事すら出来なくなり、その美しい顔は恐怖で彩られ、股の間から液体を噴出させている。そこに居る者に、最早魔王としての威厳は無く、ただ恐怖に怯える一人の少女であった。
(ちょっとやりすぎたかな?)
魔法の等級説明(下に行くにつれ等級は上がります。)
最下級・・・子供でもお遊び程度に使えるクラス。(和人が異常過ぎるだけで、普通は危険性皆無)
下級・・・学園に入学するのに必要な最低限のクラス。(学園編はいずれ本編でやる予定なので、お楽しみに)
中級・・・学園で卒業まで学べば大体の人が使用可能なクラス。(これが世間一般に使われているクラス)
上級・・・冒険者としても宮廷魔術師としても戦えるクラス。(これまで使えれば生活に困らない程度は稼げる)
最上級・・・魔人クラス。人間でも使える人は少しいる。(人間がこれを使えれば一生遊んで暮らせる程の金を稼げる。現在使えるのはSSSランカーの冒険者と、SSの上位に居る一部の冒険者のみ)
古代級・・・魔王クラス。魔王が行使した最上級魔法は大体このくらいの威力を持っていたが、和人からしたら下級でも相殺可能な程度。人間では和人を除く5人のSSSランカーだったら、全魔力を使えば発動出来る……かも?(和人は魔王の最上級魔法がこの威力だったのに気付いていない。だから【混沌の裁き】を古代級と判断した。あの魔法は実は神級の威力を持っていた)
神級・・・神々が行使するクラス。普通の人間や魔族では使えない。使えた魔王が異常。和人は言うまでも無い。古代級との間には何十倍もの難易度の差があり、SSSランカー全員で頑張っても絶対無理。(レティが和人を呼んだ魔法はここに位置している)
超越神級・・・現在使えるのは和人のみ。神々が何十柱居ても、このクラスの魔法の一割の威力にも出来ない。使えば一撃で多数の世界を破壊出来る。遥か昔に使える存在が居たとか……(和人が使った【超越神の流星】は和人のオリジナル。「神の知識」で使える魔法の最適化を行い作り出した。【超越神の流星】以外にも幾つか作ってある)




