表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編・詩 恋愛

ずるい君とずるい僕

作者: 些稚 絃羽

戸惑う僕を背にして、君が放った言葉は、

涙もろい僕の涙腺を簡単に崩壊した。



「私は一緒に、幸せになりたいな。」



一緒に、なんて望めないと思ってた。

君は君の、僕は僕の、全く違う道の上にいて。

それぞれの道がただちょっと、たまたま重なっただけだろうから。

君の道の上に僕も立てるだなんて思いもしなかった。



今よりずっと、幸せになってね。

そう言ったはずなのに。

君のたった一言で、僕が幸せになってしまったよ。

涙が、止まらない。



「君は、ずるいよ。」



「あら。ひどい言い草ね。」



くるん、とスカートを翻しながらこちらを向いた君が、拗ねた様に言う。



「僕より格好良い事、言わないでよ。」



顔を濡らしていた涙を、着古した紺のシャツの袖で拭う。

たちまち、そこだけ異様に濃い色に染まって。

僕を一層切なくさせた。



「何言ってるの?

出逢ってから今より、これからの方がうんと長いのに。」



キョトンとした顔で君がそう言うから。

止まりかけていた涙がまた、流れ出したじゃないか。



「やっぱり君は、格好良いよ。」



そう言って更に涙を溢れさせている僕に、

そっとハンカチを差し出す君の柔らかな表情は、

今まで見たどんな君より美しくて。



「やっぱり君は、綺麗だ。」



思わず呟いた言葉に、君は目を丸くして。

それから顔を赤くして。



「あなただって、ずるい。」



目を泳がせながら呟いた。





そうか。僕ばかりが君を好きな訳じゃないんだね。

僕が君の素敵な所を見つけた様に。

君も僕に良い所を見い出してくれたんだね。





これから、いつまでも。

君は僕の。僕は君の。



素敵な(ずるい)人で居続けよう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 「あまーい」ですね・・・読んでいて虫歯になるかと思いました・・(´¬`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ