捻くれ者の家庭訪問1
例えば、昨日彼女、黒羽四葉が、僕だけの前に現れたのなら、僕は彼女に何も問いはしなかっただろう。そうだったとしたなら、僕の宛が、少しばかり外れたというだけで、僕が少しだけ、この忌々しい力を行使するだけで片付いた問題だ。
しかし、僕は些か、いや、非常に、異常に甘かったように思う。
何故僕は、木通最中に危害が加わらないと断定してしまったのか。断定できてしまったのか、過去の自分の愚かしさを、とても忌々しく思う。
しかし言い訳をさせてもらうのなら、僕は彼女の恨みの対象は僕であり、僕を好きなだけ殴れば、事は治まると勝手に推測してしまったのだ。
だからこそ僕は、今こそ、黒羽四葉を問い質す。
問題は深刻だ。
木通最中に危害が加わる可能性を、僕は否定できなくなってしまった。
だからこそ、僕は黒羽四葉との決着を着ける。
最悪の場合、彼女を殺害することも厭わない。罪を重ねることも、僕は辞さない。
従って、僕は現在、黒羽四葉と、木通最中と共に、黒羽四葉の自宅前にいる。
何故彼女の自宅になったかと言えば、彼女の、黒羽四葉たっての希望である。
まあ、僕は話ができればどこでもよかったので、別にここには特に追求はしないことにする。
黒羽四葉は、そうして僕らに告げた。
「行こう。」と告げた。
こうして、僕の木通最中防衛作戦(仮)が始まった。