捻くれ者、捻くれているが故に率直に聞く。
翌日、僕は黒羽四葉に、彼女が朝教室に来た途端に話しかけた。
「話を聞かせろ。」と脅迫したと言った方が正しいか。
まあ当然、言った途端に、クラス中の会話が止まり、視線が僕に集まった。まあ、僕はこのクラスじゃあ彼女をフッた悪役だ。その悪役が、告白を断られたデリケートで人気者な彼女に、脅迫じみた言葉を投げつけたのだ。その視線には当然、敵意や警戒の意が含まれている。特に彼女と最も仲がいいと思われる者(名前は覚えていない。)や、この前の爽やか陸上部員なんて、僕を殺さんばかりだ。
まあ誰とて、僕を殺すことはできないのだろうけれど。殺せてくれないのだけれど。
そしてその殺さんばかりの視線を投げかけてきた彼女はこう言う。
「どういうつもり?」と。
余程彼女と仲がいいのだろう。それが虚構だろうが真だろうが、大したモノである。
しかし彼女は、黒羽四葉は、僕から見て盾になっている少女を押しのけ、僕に言う。
「―――放課後、付き合ってください。」と。
まあ、こんな人の聞いている場所でする話でも無いし、僕も放課後に、彼女を家に呼んで話をするつもりだった。従って、僕は素直に頷く。
「分かった。」
長い長い8時間を告げる、鐘が鳴った。