第1戀 九 龍(カウロン)
第1戀
ー 九 龍 ー
果てしなき大陸の奥深く。
山河に囲まれし奥間の、四川の更に奥深い、人里離れた社を守りしひとりの巫女。
食するものは、緑あふれた山で採れる山菜を。
飲むものは、豊かに流れし河を。
社に奉られる民からの贈りものは、村を守りし龍神にと。
与えられたるは全て天地の恵み、龍神が与えたもうもの。
民の中に生まれ、いつしか龍神の為に全てを捧げていた巫女。
龍神もまた、巫女が側に居るからこそ、恵みの雨を降らせ、温かき太陽の光を照ら
し続けていた。
平穏な日々に育まれ幾年と月日が満ちた頃、いつしか民は巫女のことも忘れ、社に
足を運ぶ事すら忘れてしまっていた。
巫女はひたすら待ち続けた…民の心が龍神に戻る事を。
巫女はただひたすらに待ち続けいた……龍神が怒りを表さぬようにと…
…しかし、その想いは絶たれた。
雷鳴轟き、山河に嵐が吹き荒れ、あらゆるものが生命の意気を絶たれた。
空は曇り、河は波打ち、作物は実を成らさず……
民の幼子は次から次へと命を落とし、女子供は飢えを堪え、男達は今までの豊かな
生活を取り戻そうと懸命に働いていた。
だが、1年…2年と……状況は改善するまでも無く、むしろ村は壊滅に貧していた
……民は龍神の怒りだと、人柱を立て、龍神への捧げものへとした。
・・・・・・
巫女がいたその社から、龍神が住む『虎龍湖』を渡るその橋に……
……雷鳴は鳴りやまなかった…
むしろ、更にその勢いを増し、やがて村は荒れた河に呑み込まれた。
民は必死の体で丘へ登り、空が晴れる事を祈った。
幾晩、幾日が過ぎ、嵐がほんの少し静まった頃…民は生き残った者の中から、巫女
の代わりに新たな御子を選び社へ捧げた。
御子は己の命を顧みず、未だ尚荒れ狂う河へその身を投じた。
沈んだ社へ辿り着く頃、御子は先代の巫女に出遭った。
沈み来る御子。
迎える巫女…
河の流れは穏やかに、2人の遭遇を包み込む。
『額に封じられし風神の、能力を解くは龍神なり。
龍神の能力を沈めし封印は、鳳凰が持つ。
鳳凰を探せし能力を持つ御子は、
雷神の能力をも封じせし者。』
巫女の額から眩い光が溢れ、天高く延び上がって行った。
荒れ狂う河面一面が光に満ち、天空高く一筋の線を描いて延び上がって行った。
龍神の怒りが静まったと、民は喜びのうちに歓喜し、御子の帰りを待った。
しかし…幾度と待てど、御子は帰って来なかった……
…幾日、幾月、幾年、と……………
その身を社におく事で…龍神の語り手となる為に…………
幾度となく民は天地の恵みを忘れ、その度に人柱を立て龍神の怒りを静めようとし
てきた。だが龍神は、村に恵みの光を与えるはずもなく、天地の恵みを忘れ、傲慢
になった民達の心を清貧に戻す為、龍神は幾日、幾月、幾年と待ち続けたのだ。
だが、民の心は清貧さを取り戻すこのとはなかった……
時代が流れ、村が消えてしまう頃、龍神は再び天地を荒らし、天空高く舞上
がって行った。
民は恐れおののき震え上がったが、龍神は天空へ登ったまま、二度と『虎龍湖』に
戻ることはなかった。
その日以来、四川に青空が見える事はなくなった。
『御子は…御子はどこに…?
あの美しき巫女も………………』
第1戀:成 就
第1戀。。。書き終わりましたfu〜〜@@);
はじめまして。李と申します。知人に教えてもらって早速書いてみました……物語を書くのはもう随分前から書いてはいたのですが、なかなか表に出すことがなく今に至っておりました…(涙)と…とにかく…!!
無事書けましたので、感想〜いっぱいお聞かせ下さい
ちょっとの事でも。。。お願いします^^))では次で^^