朝中の鬼姫
朝、朝倉中学校の校庭は朝倉中生徒であふれかえっていた。みんな、掲示板に張ってある、クラス表を見ているのだ。そう、今日は入学式なのである。
掲示板を見ている一人の女子生徒が、校門からやって来る生徒に気が付き、叫んだ。
「隼人がきたわよー!!」
そう言うと、一斉に他の女子生徒たちもそっちを向いた。そして、「隼人」という生徒の周りには男女関係なく、たくさん集まった。
そして、「隼人」が教室に向かおうとすると、今度は違う生徒が叫びだした。
「お、鬼姫がきたぞ!」
そう言うと、さっきまでは騒いでた生徒達は一瞬にして静まりかえった。
校門から来る女の姿。その後ろには、4,5人の男たちがいる。
「今日も服が汚れてるぜ。」
「また、喧嘩かよ。」
いろいろな、言葉が聞こえてくる。
鬼姫と言われている、彼女の名前は「本倉美月」今年中学2年。首にト音記号のネックレスを着けていて、髪の毛を後ろでポニーテールにしている。
そしてなぜ、彼女が鬼姫と呼ばれているかというと、
「あいつって、ここ朝中じゃ、一番喧嘩が強くて、他校に呼ばれるとしたら、喧嘩の誘い。朝中最強の女。ほんと、危ね奴だよな。」
美月が掲示板の前に来ると、他の生徒たちは美月を避けるように左右に分かれた。
しかし、その中から一人の男子生徒が美月に飛びついてきた。
「みっづきー遅いから心配したよ。今日はどこと喧嘩?」
彼の名は「高須健」美月達の仲間ではあるが、喧嘩には加わらない男だ。
「今日は、金崎中だよ。それより早く、クラスに行きたいんだけど。」
そう言って、美月が掲示板を見ると、健が
「美月は俺と同じ三組だよ。もう時間だから、早くいこう。」
健が美月の手をひくと
「待って、健のことが本当かどうか見てから行くから、先に行ってて。」
美月はそう言って、健を先に行かせた。
(あいつは何組だろ。)
美月には違う目的があったらしい。
教室の前でドアを開けようとすると、教室からはいろいろな声が聞こえてくる。
「また、同じクラスかよ。」
「これから、よろしくな。」
「やった!あの人と、同じクラス。」
楽しそうな教室をドアの窓から見ていた美月は一度呼吸をした。
(また、あの日々が続くのか。)
そう思いながら美月はドアを開けた。
その瞬間、さっきまで笑いの絶えなかった生徒たちは美月が入ってきた瞬間静かになった。
「今年もあいつと一緒かよー」
「よく学校に来れるよね。」
次々と美月に対する悪口が教室全体から聞こえてくる。
悪口を聞かされている健がその輪から外れてきて、美月の近くへと寄ってきた。
「美月待ってたよぅ。出席番号何番だった?」
「30番」
「黒板にはああ書いてあるから・・・・・・あそこだね。俺とはちょっと席はなれちゃうな。」
ちょっと残念そうになった健だったが、すぐに何かひらめいたように美月をみた。
「・・・・何?」
美月はちょっと困った様子で健に聞いた。
「隣は38番だから・・・・・。」
健が呟いていると、教室のドアがガラッと開き男子が入ってきた。
「わったきー」
「隼人」
ドアの周りにはクラスの3分の2が集まった。
「健、38番だから何なのよ。」
渡木隼人が入ってきたこと気にせず美月は話の続きを聞こうとした。
「あ、別に大したことじゃないんだけどね、そういえば38番って確か隼人だったかなぁって言おうとしただけ。」
(どきっ)
美月の顔が一瞬だけ赤くなった。
「その、隼人って誰?」
「ええええーー美月知らないの!?朝中で一番カッコよくて一番モテる渡木隼人だよ!?あっちなみに俺の親友だもあるんだぜ。ってえ?」
今、「俺の親友」のところがだれかとハモッた。後ろを振り向くと、そこには渡木隼人がニカっと笑って立っていた。
「やっぱうれしいね。お互い親友って言い合えるの。」
「おぅ、隼人いたなら言ってくれよ。ビクッたじゃねぇか。」
「わりーわりー。二人が話してたから、邪魔しないほうがいいと思ってな。」
二人の会話は確かに親友のように見える。
「あっそうだ隼人。おまえの隣の本倉美月だ。知ってるだろ?」
健はそういうと、隼人を美月の前に立たせた。
「えっと、よろしくな、美月。」
そう言うと、隼人は美月に手を出した。握手をしようと思ったのだろう。ふつうだったら、みんなきゃーきゃー言って、隼人と握手するのだが、美月はそうはいかなかった。
「気安く下の名前で呼ばないでもらえる。」
隼人には興味のないような言い方をした美月に対して隼人は
「いいじゃん別に。同じクラスの仲間なんだからさ。あっあと俺のことは隼人でいいから。」
美月の態度などまるで無視。その様子を見ていたクラスの女子達は
「本倉さんにはあまり近づいちゃダメだよ。何されるかわからないよ。今日だって他の中学と喧嘩したらしいし。」
そう言うと女子達は隼人を連れていった。
(別にしたくて喧嘩してるわけじゃないし。自分の身を守ってるだけじゃん。)
美月は心のなかで呟いた。
初めて自分の作った物語をだれかにみてもらうことがとてもうれしく思っています。物語の内容はまとまってなかったり、言葉が間違っていたりするかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。