第六話 村に到着——「閉ざされた心を開け!」
旅を始めて数日。
勇者レオンと私は、小さな村にたどり着いた。
「ここが、エルム村か……。」
レオンが地図を片手に、村を見渡す。
静かで落ち着いた雰囲気の村。
木造の家々が並び、畑では農民たちが黙々と作業をしている。
「のどかでいい村ね。」
私は微笑みながら、村の広場を歩いた。
しかし——
(……なんか、変。)
村の人たちは、私たちを見ても話しかけてこない。
むしろ、こちらを避けるように足早に立ち去っていく。
レオンも気づいたようで、小さく眉をひそめた。
「なんだか、村の雰囲気が重いな。」
「ええ。まるで、何かを恐れているみたい。」
(何か問題が起きてる?)
私は、村の様子をじっくりと観察した。
すると、端の方で農具を抱えた少年が立ち尽くしているのが目に入った。
少年との出会い——「この村はもう終わりだ……」
「ねえ、ちょっといい?」
私は、少年に声をかけた。
少年は驚いたように顔を上げ、私たちを見た。
「……旅の人?」
「ええ。あなたの村、何かあったの?」
すると、少年は悲しげに視線を落とし、小さな声で呟いた。
「……この村は、もう終わりなんだ。」
「え?」
「作物が育たなくなって、人々はどんどん村を出ていってる。」
「なぜ作物が育たなくなったの?」
「“呪い”のせいだって、大人たちは言ってる……。」
「呪い……?」
レオンが眉をひそめた。
少年は続ける。
「村の近くに“呪われた森”があるんだ。そこに近づくと、作物が枯れるって言われてる。でも、誰も確かめに行こうとしない……。」
「本当に呪いなのかしら?」
「わからない……でも、村の人たちは“どうせ何をしても無駄”って言ってる。」
(……なるほどね。)
私は、少年の言葉を聞いて確信した。
この村の問題は、“呪い”じゃない。
“人々の思考”が、この村を衰退させている。
「思考の呪い」——人は簡単に諦める
村の人々は、作物が育たない理由を「呪い」だと決めつけ、何もせずにただ諦めていた。
これは、よくあること。
「どうせ無理だ」と思った瞬間、人は考えることをやめてしまう。
「どうせ努力しても意味がない」と思えば、行動しなくなる。
でも、それって**「脳が勝手に決めた思い込み」**でしかない。
「ねえ、君はこの村を諦めたい?」
私がそう聞くと、少年はギュッと拳を握った。
「……諦めたくない。でも、僕に何ができるかわからない……。」
私は少年の肩に手を置いた。
「大丈夫よ。まずは、“本当に呪いなのか”確かめに行こう。」
「え?」
「レオン、呪われた森に行くわよ。」
「……そうくると思ってました。」
レオンは苦笑しながら剣を構えた。
「じゃあ、行きますか。真実を確かめに!」
こうして、私たちは“呪われた森”の謎を解きに向かうことになった——。




