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第一話 異世界転生


「はぁ……また今日も終電か……」


ぼんやりと輝く深夜の駅で、私は重いため息をついた。満員電車に揺られ、肩が凝り、足はパンパン。社会人になってもう十数年、目の前にあるのは安定した職と毎日繰り返される退屈な日常。


私は佐倉さくら 陽菜ひな、38歳の会社員。朝から晩まで働き、上司の顔色をうかがい、終電で帰宅。SNSを見れば、独立して好きなことで生きている人たちがキラキラして見える。けれど、私は勇気がなくて何もできないまま、ただ日々をこなしていた。


「こんな人生でいいのかな……」


ふと、そんな思いがよぎった瞬間——


「危ない!!」


耳をつんざくクラクションの音。


視界の隅に、ものすごい勢いで突っ込んでくるトラックが見えた。


「え……?」


ブレーキ音とともに、目の前が真っ白になった。


「おお、目が覚めましたか!」


目を開けると、見知らぬ天井が広がっていた。大理石のような白い天井、煌めくシャンデリア、壁には精巧な彫刻が施されている。まるでRPGの世界に出てくる神殿のようだった。


「ここは……?」


「ここは天界。あなたは異世界に転生することになりました。」


声の方を振り向くと、長い白髭を蓄えた老人が微笑んでいた。白いローブをまとい、全身から神々しいオーラが漂っている。


「わ、私……死んだの?」


「その通り。ですが、新たな人生を与えましょう。」


「えっ!?」


混乱する私をよそに、老人は続けた。


「あなたには、この異世界で特別な力を授けます。」


「特別な力……?」


「スキル【脳科学コーチング】を与えましょう。」


「えぇぇっ!? なんで!?」


「この世界の人々は、魔法やスキルを持っているにもかかわらず、恐怖や不安で行動できない者が多いのです。あなたのスキルを使い、彼らを導いてほしいのです。」


頭の中に情報が流れ込んできた。脳の仕組み、行動心理、モチベーションのコントロール方法——これは、私が会社員時代に興味本位で学んでいた脳科学を応用したコーチングの知識そのものだった。


「……これ、私にできるの?」


「もちろん。あなたなら、この世界の人々を変えられるでしょう。」


そして、私は異世界で『脳科学コーチ』として生きることになった。



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