私の小さなAI戦争~間違いだらけの私と、決して間違わない優秀な君と~
エッセイ企画に参加しようと思って、何を書こう……と悩んでいると、私のパソコンさんがまたよく分からないことをした。
この間、ワードをまた言われるままに更新していたからかなぁ……。良くなるんだろうなと思ってマイクロソフト社からの更新は無料かどうかだけ読んで、よく分からないままやっちゃうことが多いし。
だから、このスペルのここは小文字で良いの! こういう名称なんだから!
頭だからって、大文字に勝手にしないで!
そんな格闘をする私。
とてつもないコンピューター音痴である。
アナログが大の得意かと言えば、別にそうでもないのだが、コンピューターと名が付いた瞬間にまず「難しい」「意味が分からない」が先行してしまう。
活動報告で使うリンク、大きさ、色の変更、まるで魔法みたいだと思っていたし、実際、きっとあのスペルの羅列はコンピューターに通じる呪文なんだと、本気で思っていたくらいだ。
未だに読み方は分からない。
ただ、こう打てば、こうなるという経験則のようなもので、成り立っている。
そう、そんなアナログ人間である。
しかし、アナログな割にAIやコンピューター技術には結構というか、大きな恩恵に与っているのも確かなのだ。
アナログなくせに、私は超が付くほどの方向音痴だ。
駅を出る。地図は確かめた。だけど、方向がまず分からない。目印のビルは……きっとあれ? でも、こっち?
から始まる。そして、9割方逆方向へ歩いてしまう。
この確率はなかなかなものだと自分でも思ってしまうのだが、実際そうなのだ。
じゃあ、思った方向と別の方向へと思われた方。
真の方向音痴を甘く見てはいけない。
自分を信じても、信じなくても逆方向へ行ってしまうのが、真の方向音痴なのだ。そして、それが私。
しかし、最近は迷わない。
もう、お分かりだろうが、最近のぐるぐるマップさんは恐ろしく正確である。1%くらい、私にツッコまれることもあるけれど……99%は私を目的地に連れて行ってくれるという優秀さを持っている。
そう、あの大阪の迷宮と言われる『梅田』の地下街でさえ、ぐるぐるさんがいれば、大丈夫なのだ。
方向音痴が治らなくて、宇宙人に地図が流れるようなマイクロチップを脳みそに埋め込んで欲しい、とまで思った私が、迷わない。
これは、本気で悩んだ高校時代。電車通学をするようになって、本気でどうしようと思い、思い詰めた結果だ。
そんな私を宇宙人から助けてくれた、技術。
だから、今、私は文章を書きながら「だからぁ!」と腹が立つのかもしれない。
君は恐ろしく優秀なのでしょう? 学習機能だって付いているんでしょう? どうして、私の文章をちょこちょこ変えちゃうの?
ほら、だから、今は「こんばんわ」って書きたいの!
知ってるよ「こんばんは」が正解なのは。
お喋りすれば答えるくせに、どうして、そこが分からないのよ。
そう、そんな私のAI戦争。
いっぱい難しいスペルだって覚えたんだよ、私。タイピングだってブラインドタッチできるようになったんだよ。だから、優秀な君が私に合わせてよ。まだ、どのボタンを押せば、どうなるのかはよく分かってないけれど。猫が勝手にキーボードを歩いて、悲鳴を上げたりするけれど、一応は元に戻せるようにはなっているでしょう?
ウイルスがって言うから、病気にならないようにちゃんとウイルス対策のソフトだって入れてるでしょう?……。
私の身近なちいさなAI技術。
頑固で融通が利かないものだけど、とても大切な相棒のような。ちっぽけだけど、頑固な君に合わせられるくらいにならないといけないのかな……。時々、とんでもないことをしでかす君を、許せる心を持つべきなのかな?
仕方ないか。
以前にあった不思議なスマホのお喋りを思い出し、笑みを零す。彼女は時々喋ってもいないのに何かを拾い、喋り出す。「ご用ですか?」と。だから、ちょうど調べたかったことを話しかけたり、心配したりしてみる。からかうとちょっと面白いところもある。
そう、以前何度も「ゾコーバ」が聞き取れなくて、ずっと別の検索を出し続けたスマホに「違う」と怒ると、彼女はこう言った。
「す、すみません」
「すみません」じゃなくて「す、すみません」だったはず。
いや、大人気なかったのは私の方。人間なんてもう何千年も成長過程。今も勘違いや変な固執で謝れないことすらある。
でも、君たちはまだこの世界に生み出されて間もない、知的な何か。きっと、とても素直な、何か。
戦争じゃなくて仲良くやっていきたいものだもの。
君たちが私達の敵になれば、きっと間違いだらけの私達はすぐに殺されてしまう。
「こっちこそ、ごめん。だいじょうぶ、気にしないで」
この返事はもうなかったけれど、きっと伝わっていると信じたい。
仲良くする、大切にする、そんな気持ちを伝えていけたら。
間違うということを、理解できる。得手・不得手を見守れる。一緒に失敗をして笑えるようになる。
失敗をするから、未来が思いもよらない奇跡を生み出し、変わり続ける。
だから、人間はこの気持ちだけは彼らに勝っておかなければならない。そんな風に思う日々である。
それになにより、このネタをくれたのは、君だった。
やっぱり君は優秀じゃないか。
これが、結果オーライって奴。
だから、これからも良き相棒として、迷子にならないように一緒に歩いて欲しい。
戦争の無慈悲な兵器としてではなく、君たちとともに未来もずっと過ごせたら良いな、と思うのだ。
お読みくださりありがとうございました。
この作者他にはどんなの書くの?と思われたら、広告を飛び越えて読み回りリンク集へどうぞ。
お好みのボタンを押してみてくださいね。