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記憶を無くした悪女  作者: 浅海
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  8話 プレゼントと指輪と悪女

ルシフェルとの初デートから四日後、今度は一緒に買い物に出掛ける事になる

二日後にトーマスの誕生パーティーが開かれるので、彼へのプレゼントを買いに行く為だ


「お仕事が忙しいのに、申し訳ありません」

ルシフェルの馬車の中で、ヴィクトリアは我が侭を言ったのでは?と、何も考えず一緒にプレゼントを選びたいと頼んだ事を申し訳なく思う

「ヴィクトリアに会えたおかげで、疲れなんて消えたよ」

ルシフェルは優しく笑ってそう言ってくれるが(疲れている気がする)そう感じ

(・・・今日は急いで用事を終わらせて、早く帰って貰おう)

少しでも早く、彼を休ませてあげたいと考える


「まずは宝飾店に行って、この前約束した指輪を買おう」

ルシフェルがそう言うので、ヴィクトリアは驚いて

「いえ、先にトーマス様のプレゼントを買いに行かないと」

もう二日後には彼の誕生パーティだ、プレゼントを用意しないうちは気が気でない真面目なヴィクトリア

「あいつのはついでだから」

「先にトーマス様のプレゼントを選びましょう?」

ヴィクトリアの懇願する瞳には逆らえないルシフェルは、溜息を吐き「判りました、先に奴のプレゼントを選びましょう」渋々了承する


ヴィクトリアはそんな彼に、嬉しそうに

「やっぱり、ルシフェル様は優しいです」

「・・・優しいですか?」

尋ねるルシフェルにヴィクトリアは頷き「はい、いつも私の我が侭を聞いて下さるので」その言葉にルシフェルは驚く

(我が侭?えっ、何時ヴィクトリアが我が侭を言った?)


「ヴィクトリアが我が侭を言った記憶がないな」

「そんな。トーマス様のプレゼントを一緒に選んで欲しいとか、海に連れて行って欲しいとか、私のお願いなのに、全部ルシフェル様にまかせっきりで・・・夜会でだって、ずっと傍に付いていてくれて、あの時は凄く嬉しかったんです」

恥ずかしそうに顔を赤らめ「何て、優しい人なんだろうって思って、それで・・・・好きになったんです」そう伝える


その言葉にズキンッとまた胸が痛むルシフェルは「嬉しい、ありがとう」堪らずにヴィクトリアを抱きしめる

彼女を愛しく感じる度に、不安で胸が痛む

ルシフェルはこれからずっと、この痛みに苛まれていく


トーマスのプレゼントを買う為、雑貨店の紳士用売り場にやってくる二人

「何にするかは決まっているんですか?」

ヴィクトリアが尋ねると

「あいつはよくカウスボタンや、ネクタイピン等、細々した物を無くすから、そういうので良いんじゃないかな?」

適当過ぎるルシフェルに

「・・・それだと無くされてしまうの前提ですね。悲し過ぎます」

折角プレゼントした物を無くされるのは嫌なので、却下する


(迷うなあ、ハンカチとか櫛とかも無くされそう・・・かといって大きい物だと、持って行くにも大変だし)

頭を悩ましながら(無くされない物を選ぶって、結構難しいのね)ヴィクトリアは真剣に品物を見ながら考える


「因みにティナは、香水と財布を送るそうです」

ルシフェルが思い出した様に伝えてくるので

「香水に、財布ですか・・・」

(それはあまり無くされそうにない、流石ティナ)と感心するヴィクトリアに

「毎年その二つのどっちかなんだが、今年は両方なんだな」

ルシフェルは心底どうでもいい、という感じで話す


(毎年どっちか・・・渡す方は考えなくて済むから良いんだけど、貰う方としてはもうちょっと・・・いや、どんな香水か?とか、財布だろう?とか、楽しみはあるかしら?)

前向きに考えるヴィクトリアだが、ティナはただ単に毎年悩むのが嫌なだけだ


様々な商品を見ながら、ヴィクトリアは溜め息を吐く

「難しいですね、早く決めたいのに・・・」

「そうだな、さっさと決めて指輪を買いに行こう」

ヴィクトリアのその言葉に急にやる気を出すルシフェルだが、ヴィクトリアはルシフェルの身体を気遣い、早く決めて休ませてあげたいとの思いなのだが


「無くされるのが嫌なんだろう?」

ヴィクトリアの手を引いて、食器が置いてあるコーナーへと向い

「コップで良いのでは?木材なら割られる心配もないし、これで十分だ」

そう言うと適当な形の木のコップを手にして「これで良い」とレジに持って行こうとするので

「あ、あのっ!!」

ヴィクトリアは慌ててルシフェルの手を掴み、止める


掴まれたルシフェルは、怪訝そうにヴィクトリアを見るので

「もう、少し・・・その、一緒に選びませんか?」

ルシフェルがさっさと決めてしまったので、これでは一緒に買い物に来た意味がない・・・そう思うヴィクトリア

(早く買い物を済ませたいけど、一緒に選ぶ為にわざわざ忙しい中、付き合って貰ってるのに・・これじゃあまたルシフェル様に任せてしまうだけで終わる)


ルシフェルは申し訳ない様に「すみません、少し焦りました」ヴィクトリアの意見を聞かずに決めようとした事を反省し

「そうですね、二人で決めましょう」

(やっぱり、ルシフェル様は優しい)

ヴィクトリアは彼の優しさにほっこりする


二人でどのコップにするか選びながら

「あの、ルシフェル様は何か欲しい物はないですか?」

ヴィクトリアが尋ねると、聞かれたルシフェルはそうですね、と考え「貴方が欲しいです」と、彼女の耳元囁く

「ひゃっ!!」

耳元で囁かれビクッとするヴィクトリアは、思わず声を上げ、そんな彼女を見て笑うルシフェル


周りの客や、店員は何事?とういう感じで自分達を見てくる

「ルシフェル様、こんな所でからかうの・・・やめて下さい」

耳を押さえ、真っ赤になりながら涙目で見るヴィクトリアに

「結構本気なんだが、まあ場所は考えるよ」

笑いながらサラッとそう言うと、二人で決めたコップをレジに持って行こうとする


「あ、あの」

ヴィクトリアは慌てて

「その、ルシフェル様に貰ったこのネックレスのお礼がしたいので・・・何か欲しい物があればプレゼントさせて下さい」

顔を赤くしながら、いつも身につけている木彫りのネックレスのお礼をしたいと告げると

「ヴィクトリアがくれる物なら何でも嬉しいので、ヴィクトリアが選んで下さい」

そう言うと彼女を抱きしめ「俺の為に選んでくれた、それが嬉しいので」嬉しそうに笑う彼に、ヴィクトリアはまた顔を赤らめる


一番の目的だったトーマスへのプレゼントを買えて、ヴィクトリアはホッとする

ルシフェルが次は宝飾店へと向かおうと言うので

「あの、ルシフェル様はお疲れじゃないですか?指輪は別に急ぎませんから、今日はもう帰りませんか?」

おずおずと窺う様にそう言うと

「疲れてませんよ、そんな風に見えますか?そう見えるなら、気を付けます」

そう言って苦笑いをするので

(確かに疲れていない様に見せているけど、無理している気もする)


ヴィクトリアは、そっとルシフェルの腰辺りに腕を回し抱きしめ

「私には無理をしないで欲しいです。辛い時、しんどい時は時はそう言って下さい。無理をされる方が辛いので」

「!!」

その言葉に、一瞬自分の胸の内を見透かされたかと思ったルシフェル

(貴方を失うのが恐いんです!!そう叫んだ所でどうなる?そんな事を言えばで、ヴィクトリアを困らせるだけだ)


「そうですね。その時は辛いと言って、貴方に甘えるとします」

ギュッとヴィクトリアを抱きしめ返す

「はい、そうして下さい」

その言葉にヴィクトリアは安心した様に嬉しそうに笑い、結局そのまま宝飾店へと指輪を買いに向かう

宝飾店に向う馬車の中、ヴィクトリアはルシフェルに抱きしめられながら

「本当に良いんですか?」

「もちろん、俺も早く欲しいので」

ルシフェルは嬉しそうに頷く


ヴィクトリアは婚約指輪をしていない・・・悪女ヴィクトリアが不要と断ったから

まるで誰とも婚約していない、そういう態度と受け取れるし、実際言い寄って来る男達が後を立たなかった

(だから今のヴィクトリアには、早く指輪をして欲しい)

独占欲に芽生えた、ルシフェルの強い思いだ



来店した高級宝飾店に入ると、店員の女性の一人が応対する

「婚約指輪はゴールドリング、結婚指輪はプラチナリングにされる方が多いですが、如何致しましょう?」

店員が尋ね、ヴィクトリアは

「ゴールドも素敵だけど、ずっと付けていたいのでプラチナにするわ」

この前会った時にティナがはめていたプラチナの婚約指輪に、ずっと憧れていたヴィクトリア


本当は婚約指輪の事はずっと気になっていたのだが、ルシフェルに遠慮して自分からどうして無いのか聞けずにいた

ヴィクトリアもまた指輪がずっと欲しかったのだけど、自分から言い出すのは気が引けていたし、その理由が悪女ヴィクトリアにあったと知った時は泣きそうになった

だから、ルシフェルが自分の為に買いに行こうと言ってくれ、その優しさにどれ程嬉しかったか知れない


「・・・ずっとですか?そうですね、普段も身につけられるのでしたらプラチナの方が宜しいですね」

一瞬驚いた店員はすぐに頷き

「お望みの宝石がありましたら、お出し致しますが?」

ヴィクトリアは考えて、ルシフェルをチラッと見てから

「あの、青い石が良いのですが」

「青の石ですね。色々ございますが」

そう言いながら、宝石のカタログを見せてくれる

「わあ、沢山あるのね・・・」

タンザナイトにサファイアにアクアマリン、ブルーダイヤモンド等、薄い青に、濃い藍色、水色と様々である


「このアオイナイトと言う石は?」

気になったが、聞いた事がない宝石だ

「その石は、ヴァキスタル皇国のみ採れる石でございます。滅多に流通されませんので、あまり認知されておりませんね」

「・・・高いのかしら?」

その国でしか摂れないとなると高そうだが「構わないよ、それが良い?」ルシフェルが聞いてくる


「希少価値はありますが、最高級の宝石程では。ヴィクトリア様でしたら、ブルーダイアが相応しいかと」

最高級の宝石を薦める店員に、名前を呼ばれ驚くヴィクトリア

「私の事を知ってるんですか!?」

「勿論でございます。よく当店で買い物をして頂いておりますもの、いつもありがとうございます」

そう言ってにこやかにお礼を言う

(物凄く大柄な態度で、意地の悪い、嫌な女だものね)


チラッとルシフェルを見て

(今日は一段と良い男を連れてのご来店。まあ、こっちは高価な宝石を買ってくれれば幾らでも頭を下げるわよ)

悪女ヴィクトリアはいつも違う男性を連れて来店して、そして当然の様に高価な宝石を買って貰っていた

「そう、私よくこのお店に来ていたの・・・」

ヴィクトリアが何か思い出そうとする様子を見て、不安に駆られるルシフェル


「ヴィクトリア、何も無理に思い出さなくても良いだろう?それよりその石にするの?」

「ええ、そうね。これが良いわ」

二人の態度に(?)疑問を抱きながら店員はそのアオイナイトの石を出してくれる

(この男、顔は良くてもお金が無いのかしら?彼女のネックレスって、それ木じゃないの!?よくこの傲慢な女がそんなのつけてるわね・・・というか、なんかいつもと雰囲気が違うけど?)


店員が出してくれた石を見ながら

「同じ石でも、形や色が違うのね」

どのアオイナイトにするか選びながらヴィクトリアは、際立って綺麗に輝く青い色のアオイナイトを見つける

「これにするわ!!」

嬉しそうにルシフェルに伝えると

「それで良いの?ブルーダイヤやサファイアでも構わないよ?」

ルシフェルは、ヴィクトリアが遠慮していると思いそう言うが

「これが良いんです・・・その、ルシフェル様と同じ瞳の石なので」

顔を赤くし、恥ずかしそうに笑うヴィクトリア


「!!」

その綺麗で愛らしい表情に釘付けになるルシフェルと店員

「そう、それなら良いんだが」

ルシフェルも顔を赤くする

(この女性ヒト誰?)

ヴィクトリアを見て、店員も一瞬キュンッとなってしまった


「それじゃあ、この石で婚約指輪を作って下さい」

ルシフェルがそう頼むと

「承知いたしました。あの、指輪の裏に、婚約日とお互いのイニシャルを彫るサービスを致しておりますが、如何なさいますか?」

「お願いします」

にっこりと爽やかに笑うルシフェルに、店員は少し顔を赤らめ「請け賜りました」と日付とイニシャルのメモを取る


「・・・あの」

ルシフェルは思い切って店員に

「・・・紫の石を見せてくれるかな?」

「ルシフェル様?」

ヴィクトリアがどうして?と彼を見ると「俺も、ヴィクトリアと同じ瞳の石を付けたいので」嬉しそうに答える


そんな二人を見て店員の女性は

「もし良ければ、リングの裏に宝石を埋め込むのはどうでしょう?」

もちろんリングの裏に埋めるので石は極小になるが、オルテヴァールでは男性はシンプルにリングだけの指輪しかしないので、宝石の付いた指輪など余程のナルシストぐらいなので、その為の気遣いだった


その提案にルシフェルは「そうして貰えるかな?」少しホッとする

別に石自体付けていてもいい、自分はそれで満足なのだから

ただ、トーマスにからかわれるのが心底うんざりだと思っていた


後日談として、この二人の指輪が貴族の間で話題になり、女性は恋人の瞳の色の石を付け、男性は恋人の瞳の色の石をリングの裏に埋めるのが流行る

トーマスもティナにそうしようか?と尋ねるが『すでに指輪があるのだから要らないし、恥ずかしいからしない』と断る

でも結局二人は互いの瞳の色の石を付けたリングを買うが、それは二人だけの秘密である

もっとも、トーマスが黙っていられるまでの話しだが



店を出た二人は馬車に乗り、食事をする為にレストランへと向かう

「二日後か・・・ギリギリだな」

指輪の加工が仕上がるのは早くて二日掛かると言われ、出来るだけ急いで欲しいと頼んだルシフェル

「そんなに指輪がしたいのですか?」

ヴィクトリアは不思議そうに尋ねる


するとルシフェルは彼女の指を掴み「早くヴィクトリアにして欲しいから」その手にキスをする

(そう、他の男が寄って来ない様に)

ルシフェルの真意など判る筈もなく、嬉しそうに笑う

「はい、楽しみです」


しかしルシフェルは本当に心配している

以前の悪女ヴィクトリアでさえ、男が寄ってくるのだ・・・今のヴィクトリアなら、どれ程の男達を魅了するか

それを考えただけで、激しい嫉妬心に駆られる


二人は食事をする為、高級レストランに入る

侯爵令嬢のヴィクトリアが来店した事もあり、支配人自ら二階の景色の一番良い席へと案内してくれる

二階は貴族のみのフロアで、そこには当然他の貴族達も食事を楽しんでいたのだが、ヴィクトリア達が入って来た瞬間、皆一斉に二人に視線を向ける


「!?あれ、ヴィクトリアじゃないの?」

「えっ?あのお連れの方、もしかして婚約者じゃないの?」

「どうして二人一緒に居るの?仲が悪かった筈なのに」

自分達に視線を向けヒソヒソと噂する貴族達に、ヴィクトリアはドキドキと緊張する

(・・・凄い視線を感じる・・・きっと嫌な噂、されてるわよね・・)

ここに居る人達は悪女だった自分を嫌っているだろうと思うと、身体が強張るのが判る


「ここからの夜景の景色は綺麗で人気が高いんだ。折角だから周りの視線や噂など気にせず、ただ夜景を見て楽しんでいれば良いよ」

優しくルシフェルがそう気遣ってくれるので「は、はい」緊張しているヴィクトリアは、彼の笑顔に救われる気持ちになる

(ルシフェル様の笑顔は、本当に安心させてくれる)

ドキドキしながら、優しい笑顔と安心をくれる彼に益々ときめくヴィクトリア


二人が仲睦まじく、楽しそうに食事をしている姿を見て、噂好きの貴族達は大いに盛り上がった

「あのヴィクトリアが、ルシフェル様の魅力に落ちた?」

「ルシフェル様の魅力にほだされた悪女」

「記憶を失ってるらしいけど、好みが変わったとか?」

まさに言いたい放題だ


貴族達の噂の格好の的となっていた二人は、そんな事など気にせずに食事を楽しんでレストランを出る

席を立つ時ルシフェルはわざとヴィクトリアの腰に手を当て、ピッタリと寄り添い親密度をアピールする

いつもよりくっついてくる彼に、恥ずかしそうにするヴィクトリア

そんな二人の姿に貴族達は釘付けになり、二人の親密なデートの噂は瞬く間に社交を通して広がっていく



ティアノーズ邸へと向う馬車の中、ヴィクトリアが

「今日は忙しいのに、買い物に付き合ってくれてありがとうございました」

嬉しそうにお礼を言うと、ルシフェルは彼女を抱きしめながら「俺も、ヴィクトリアに会えて癒された。ありがとう」額にキスをする


「・・・癒し、ですか?」

(私の方が安心を貰っているのに・・・)

でも、そう言ってくれて素直に嬉しいと思い「・・・お仕事、大変なんですか?」ルシフェルを気遣い、心配そうに聞くと

「そうだな。王城への移動の手続きと、引継ぎ、それぞれの挨拶回りなどの雑務が少しね。まあ、それが終わればゆっくり出来る筈だから、その時にまた何処か出掛けようか?」

「・・・はい、楽しみにしています」

嬉しそうに笑ってみせるが、しかし内心は彼の身体を心配する


ティアノーズの屋敷の門に着き馬車が止まり「ヴィクトリア」覆い被さって来る様にルシフェルがキスをしてくる

「んっ」

今回は少し激しくされた事で、ヴィクトリアは荒い息を漏らす

「・・・本当はこのまま、ヴィクトリアを連れて帰りたい」

愛おしそうに自分を見つめてくるルシフェルに、ヴィクトリアはドキンッと鼓動が跳ねる


ルシフェルはヴィクトリアから離れると、馬車を降りて愛する婚約者に手を差し出す

ヴィクトリアはルシフェルに言われた事、今、こうして手を繋いでくれている彼は、どういう気持ちでそう言ったのか?ドキドキしながら考える

屋敷門から玄関までの道のりを、ギュッと手を繋ぎ黙ったまま歩く二人


屋敷の玄関まで来るとルシフェルが呼び鈴を鳴らそうとして「ルシフェル様」ヴィクトリアに呼ばれ、手を止めるルシフェルは、なに?と彼女を伺う

ヴィクトリアは、自分からルシフェルにキスをして

「・・・私はずっと、ルシフェル様を愛していますから」

そう自分の気持ちを伝えると、顔を赤くしながらギュッと彼に抱きつく

(不安にさせているのは判ってる。いつ記憶が戻るか判らない、そんな私と一緒に居るんだもの・・・私自身、凄く怖くて不安だもの)


「こんな事をしたら、本当に連れて帰りますよ?」

困ったような嬉しい様な顔で、ルシフェルは笑うと「良いですよ、ルシフェル様が望んでくれるなら」ヴィクトリアもまた、覚悟を決めた様にそう言葉にする

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