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記憶を無くした悪女  作者: 浅海
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 38話 婚約者の両親に会う悪女

ヴィクトリアとルシフェルを乗せたグレイス侯爵の家紋が入った立派な馬車は、王都を離れ段々と田舎の町並みへと景色が変わっていくなか、かれこれ五時間は走っている

悪女ヴィクトリアの時は派手に悪趣味に飾り立てられていた馬車だが「悪趣味だわ」と、現在(イマ)のヴィクトリアの一言で全て取り除かれた


王都の都会の景色から田舎の風景に変わる景色を、馬車の窓から嬉しそうに眺めるヴィクトリア

「田舎の風景って、何となく長閑で好きだわ」

ずっと田舎のあぜ道を走っているので(ヴィクトリアは退屈だろう・・・)そう心配いしていたルシフェルだったが、愛する婚約者は始終嬉しそうに自分に話し掛けながら外の景色を楽しんでいるので、その様子にホッとする


「ヴィクトリアは、田舎の風景は珍しいだろう?」

ルシフェルに尋ねられ、ヴィクトリアは首を傾げ

「そうね・・・記憶を無くしてからは、こういう所には行ってないし、懐かしい気持ちは・・・」

無いけど好きだわっ・・・そう言おうとした時、フワッと気持ちのいい風が吹きヴィクトリアは言葉をつぐむ


どうしてだか、その田舎の懐かしい筈のない温かな、微かに草原の匂いがした風にヴィクトリアは懐かしいと感じたのだ

「ヴィクトリア?」

心配そうに自分の顔を覗き込む婚約者に

「どうしたのかしら?何だか懐かしく感じたわ・・・私、前にもこんな田舎に来た事があるのかしら?」

(帰ったらお父様に聞いてみよう・・・)

ヴィクトリアは記憶を失くす前に、何処かの田舎を訪れていたのかも知れない、それならそれが何処かランドルに尋ねようと思い、外の風景を楽しむがそんな彼女にルシフェルは一抹の不安が過ぎる


ルシフェルの実家に夜遅くに到着するよりは、翌日に着いた方が良いだろうと宿を取る事になっている

「ここから先は本当に何も無い、ド田舎だからな。貴族が泊れるホテルはここ位だ」

田舎のホテルと言っても貴族が泊る事もあるので防犯の設備は整っている立派なホテルで、部屋に案内されヴィクトリアとルシフェルは、八時間近く馬車に揺られて来たので『流石に疲れた』と、ソファーで寛ぎ

「コッコス村は、まだずっと先なんだ」

ウンザリしながらそう伝えると、ヴィクトリアは「本当に遠いのね」と驚き「汽車が通れば早いけど、あんな田舎では開通しないだろうな」ルシフェルは苦笑する


この世界には電気があるので蒸気機関車と電気機関車とが存在し、電気は貴重なのでオルテヴァールでは環境の為に王都では電気機関車が走るが、地方は蒸気機関車が走っている


夕食は御者のドルトンと三人でホテルのレストランで取るので

「あの・・私まで同席して・・・宜しいんでしょうか?」

貴族の席で使用人の自分が同じ食事をする事に、恐れ多いと感じるドルトンだが

「気にしなくて良いのよ、今日はお疲れ様でした。明日もお願いね」

そう彼を労い、ニッコリと笑う美しい主に顔を赤らめる


彼は三十歳の既婚者だが、給料の良いティアノーズで御者として単身住み込みで働いている

それでも休日には家族の待っている家にこまめに帰っているのだが、子供達は父親のドルトンが帰って来るより、ヴィクトリアに頼まれ料理長が用意し持たせてくれる、焼き菓子の方を楽しみにしている


「それにしてもこうして一人じゃない食事を取るの、本当に久しぶりだわ」

ヴィクトリアが嬉しそうに料理を食べるので「それは悪いと思っているよ」ルシフェルは申し訳無さそうな顔をする

「違うの、責めているんじゃないの。忙しいのだから、仕方が無いのは判ってるわ。ただ・・二人の身体が心配なの」

特に父ランドルは、いつも遅く帰って来てそのくせ朝が早い

(いつもいつも忙しい、それしか言わないんだもの・・・)

ヴィクトリアはずっと父に対して遠慮をし、我慢して来たが本当は寂しくて仕方が無い


食事を終え部屋に戻ると、ルシフェルは馬車での事が気になっていたので「今日、馬車の中で何か思い出したのか?」と尋ねると、ヴィクトリアは首を振り

「違うわ、思い出したのじゃなくてね。風を感じた時に、何故か懐かしいって思ったの。変でしょう?風なんて、何処でも同じなのに・・・でも、こんな田舎に記憶を失くす前、もしかして来た事があるのかもね」

ヴィクトリアのその言葉にルシフェルは(田舎に連れて来るんじゃなかったか?)

何かの拍子、きっかけで記憶が戻ると聞いた事がある彼は、もし田舎に連れて来た事でヴィクトリアの記憶が戻ったら?と不安で堪らない



深夜、ベッドの中ヴィクトリアはルシフェルに抱きしめられながらウトウトと夢を見る

ぼんやりと現れるのは木々の風景の中小さな女の子と女性が手を繋いで歩いている姿なのだが、女性は女の子に何やら言い聞かせている

『我が侭を言ってはいけない。困らせてはいけない。お父様は忙しいの・・・だから、邪魔をしてはいけない・・・判ったわね?ヴィクトリア』

女性に名前を呼ばれ、ドキンッと心臓が飛び跳ねるようにして目が覚めるヴィクトリア

(なに?今のは!?)

心臓がドキドキと早く打ち付けている

「ヴィクトリア?」

ルシフェルは珍しく自分より早く目が覚めた愛する婚約者に「おはよう、今日は早いな」頬にキスをする

ヴィクトリアも笑顔で「おはよう」と挨拶をしてベッドから起き、着替える為に寝室を出る


(ルシフェルを心配させては駄目)

本当は内心とても不安で動揺しているのだが、ヴィクトリアは気持ちを落ち着かせるよう顔を洗い、着替えを済ませるとルシフェルと朝食を取りに行く

(あの夢は何だったんだろう・・・あの言葉、あれはずっと・・・お母様に言われてきた事だったわ)

過去を思い出し、ヴィクトリアはドクンッと心臓が跳ねる

(小さい頃から、お父様は忙しい人だった。お母様はずっと私の傍で、あの言葉を言い聞かせていたんだった・・・)


「ヴィクトリア、大丈夫か?」

心配そうに自分に寄り添って来るルシフェルにヴィクトリアは頷き

「ごめんなさい。今日、御両親に会うと思うと少し緊張して・・・」

不安を隠すように、笑うヴィクトリア

(どうして、今このタイミングでお母様の言った事を思い出すの!?)ヴィクトリアは心の中で叫ぶ

(今日は大事な日なのよ!!もっとリラックスした気分で会いたいのに、どうしてあんな夢を・・・)そう心の中で叫び、ヴィクトリアは首を振る

(あんな夢なんて言い方・・・お母様の夢なのに)


ただ、言い聞かされてきた言葉が辛くて、それだけで最悪な夢にしてしまったとヴィクトリアは反省する

(ルシフェルにあんな事を言ったから、お母様が忠告してくれたのかも・・・夫を困らせてはいけないと)

ヴィクトリアはルシフェルの両親に少しでも良い印象を与えたい・・・その為にはルシフェルに愛されていると、妻として相応しいと思って貰わなければいけないのだから



馬車に乗り、再びコッコス村へと向う一行だが、昨日とは違って大人しいヴィクトリアを「緊張してる?」抱きしめてくるルシフェル

「ええ、ドキドキしてきた」

ヴィクトリアもルシフェルに安心を貰う様に彼に寄り添い温もりを感じる


馬車がコッコス村に入り、ルシフェルの両親の屋敷に着いたのは昼前だった

村では目敏い村人達が立派な貴族の馬車が通った事が噂になり、一体何の用で?と大騒ぎになる

ルシフェルの両親が貴族なのは当然村の人達は皆知っているが、こんな田舎の村に住み着いているのでよっぽど風変わりだと思われていた


アルガスターの屋敷近くに、好奇心旺盛な村人達が集まる

「あんな立派な馬車に乗ってこんな辺鄙な田舎に・・・きっとまた、風変わりな貴族が来たな」

「そうだな。わざわざこんな所に来るとは、あの貴族様の知り合いならやっぱり変わった御貴族様だ」

村の男達は笑いながら、その風変わりな貴族を一目見ようと興味津々で待ち構える


ところが馬車から降りて来たのが、スラットした長身のかっこいい男性だったので

「きゃあっ!!」

野次馬の中には女性も居りルシフェルのあまりのかっこよさに悲鳴を上げ大はしゃぎするので、男達は面白くないという様な表情になる

そして、その彼に手を貸して貰いながらヴィクトリアが降りて来る

「なんだ?ありゃ・・・」

「すげぇ・・・美人・・」

どよめきが起こり、その騒ぎにヴィクトリアは自分達を見学に来た村人達の方に目を向ける


「あ、あの人達は、私達を見に来たんでしょうね・・・」

恥ずかしそうに顔を赤くして、ルシフェルにエスコートされ急いで屋敷へと入って行くので、そんな彼女の仕草に男達が興奮してざわめく

「あ・・あれが貴族様!?なんて綺麗な・・・」

「肌が白い・・羨ましい・・・」

村人達は思いも寄らない美男美女の二人に、あの屋敷の貴族を見直した

「やっぱり、貴族様は貴族様なんだなあ。こんな辺鄙な村にまであんな別嬪が来るとわなぁ」

村ではとんでもなく美しい貴族令嬢が現れたと噂が広まり、一目見ようと村の人々が屋敷に集まって来る様になる



ルシフェルの両親は家督を長男に譲り既に隠居の身だが、それでも伯爵の身分が無くなる訳ではない

手入れされた広い庭付きの三階建ての立派な屋敷で門もきちんを整備されていて、田舎暮らしだがそれ程質素と言う訳ではなく、不便は無さそうだ

ルシフェルの両親が出迎えてくれ、後ろに執事とメイドが二人控えている

屋敷の中に入ると微かに木の香りがするのは、レンガやコンクリートも使われているが、殆ど木材で建てられているから


「わあ、素敵なお屋敷ですね」

ヴィクトリアが家の中を興味津々に見回しそう感想を伝えると、父親のマイルが嬉しそうに「気に入ってくれたかい?」と笑って聞いてくるので、ヴィクトリアも嬉しそうに「はい」と答える

「ヴィクトリア、父のマイルと母のソフィー、執事のアルバーとメイドのケリーに、リースだ」

ルシフェルが、屋敷の五人を紹介する

マイルは58歳の茶色い髪に茶色の瞳の初老の男性で、ソフィーは50歳の金髪に茶色掛かった髪に青い瞳の女性

アルバーは52歳、マイルがここに来る時に採用した執事で、ケリーは65歳の年輩のメイドで、ずっとアルガスターでと言うか、ソフィーの専属メイド。リースは32歳の女性でこの村の出身だが、住み込みのメイド


(ルシフェルは、お母様似なのね)

ヴィクトリアは緊張しながらもニッコリと笑顔で

「初めまして、ヴィクトリアです。お会い出来て嬉しいです、どうぞよろしくお願いします」

ドキドキと挨拶して頭を下げるので、そんな彼女を見てルシフェルは(悪女だった時なら、絶対にしないな)今まで両親との顔合わせが無かった理由を思い出す

悪女ヴィクトリアを両親に会わせなかったのは当人が拒否したのもあるし、ルシフェル自身も会わせるつもりが無かったから


「こちらこそ、侯爵の令嬢様にこんな所に来て貰って申し訳なかったね。部屋を用意してあるから、昼食までゆっくりして下さい」

ヴィクトリアに気を遣い二階の部屋へと案内するマイルにルシフェルが父親に付いて行くので、ヴィクトリアはソフィーとケリー達に頭を下げその後を付いて行く

アルバーとドルトンが二人の荷物を持ち、後に続いて二階へと移動するのを見届けてから


「・・・随分お綺麗な方ですね。流石は四大美女と言われているだけありますよ」

ケリーはルシフェルが悪女ヴィクトリアの美しさに絆されていると思っている

「まあ、政略結婚で決めた事だから」

ソフィーはそう言うと「応接間にお茶をお願い」と、応接間で一人で待つ事にする

ティアノーズ家とアルガスター家の政略結婚は、実はランドルとマイルとルシフェルが勝手に決めた事で、ソフィーは寝耳に水だった


二階には三つの部屋があり

「奥が私達の寝室でな、お前はこの真ん中を、ヴィクトリアはこの部屋を使いなさい」

マイルは部屋のドアを開けてあげヴィクトリアが部屋に入ると、シンプルなベッドとテーブルだけが置かれテラスも有り、後は衣装を入れる為の小さなクローゼットのみだった

「急だったのでな、これだけしか用意出来ていないんだが何か必要な物があれば言ってくれ」

「いえ、これで十分です。気を遣わせてしまって・・・ありがとうございます」

ニッコリと笑うヴィクトリアに、マイルはホッとした様に頷き「それじゃあ、荷物を整理したら下に降りておいで」自分はさっさと下へと降りて行こうとするので「あ、あの・・・」ヴィクトリアが呼び止め振り向くマイルに「ドルトンの部屋は?・・・用意されていないのでしょうか?」心配そうに御者を見ながら尋ねる



マイルが応接間に入ると、すでにソフィーが紅茶を飲んで寛いでいる

「・・・あの娘は、噂とは随分違うな」

マイルがボソッと呟き、ソフィーが訝る

「あの質素な部屋も、不愉快に思うのでは?と心配したが、嫌そうではなかった」

使用人対しても気に掛けており、ドルトンには三階の空いている部屋を宛がった


本当はマイル達も噂で聞いた悪女ヴィクトリアに対して良い感情は無かったが、息子がそれで良いと言うから認めた婚約だ

ティアノーズ侯爵令嬢との婚約はアルガスター伯爵家にとっては願っても無い良縁・・・だが、相手は悪女と名高い令嬢

ルシフェルは、アルガスター家の為に犠牲になったも同然だった


荷物を整理してヴィクトリアとルシフェルが仲睦まじく一緒に降りて来る

「お茶を用意したから、寛いでいてくれ」

マイルがそう薦めてくれ、ヴィクトリアはお礼を言い二人に用意していたお土産を渡す

「これは・・・えっ?オルメイガ!?信じられん・・・こんな高価な物!!」

驚きと歓喜とが入り混じった声でマイルが喜ぶと

「それは父からです。今度ともよろしくお願いしますと、申しておりました」

ヴィクトリアはマイルの表情から、心から喜んでくれているとホッとする


「へえ、そんなに高価な物なの?折角だから今晩飲もうよ」

ルシフェルも興味を持つと、マイルは怒りながら

「馬鹿者!!お前にはまだ早い!!これはな、ブランデーを知り尽くしてから飲むものなんだ。このブランデーの価値が判らないお前にはまだ早い」

大事そうにコレクションの酒が置かれている棚の奥に仕舞おうとするので「ええっ?飲まないの?」残念がるルシフェル

「当たり前だ!!これはそんな無闇に飲むものじゃないと言ってるだろう!?これだから物の価値の判らん未熟者は・・・これがどれ程貴重なものか!!」


大事そうに父親がブランデーを仕舞うのを見て、二度も価値の判らない人間扱いされたルシフェルはヴィクトリアに

「父さんが死んだ時にあのブランデーが見つかって、一滴も飲んでなかったら大笑いしてやる」

そう断言するのでヴィクトリアは「何て事を!!」と驚愕し、マイルもルシフェルを睨みつける

「飲んでいなかったらの話しだから」

ルシフェルは涼しい顔で、フンッと紅茶を飲む


ヴィクトリアは(現実にあり得そうかも・・・)と心配になり

「あの・・・今度来る時にもまたオルメイガを持参しますので・・・その、大事に仕舞っておかずに、飲んで下さいね」

もしルシフェルの言った事が現実になったら悲し過ぎると思い、ヴィクトリアがそうお願いすると

「折角だからルシフェルの言うように、今晩皆で飲みましょうか」

ヴィクトリアが本気で心配している様に思えソフィーがマイルを窘め口沿いすると、その言葉にルシフェルも

「流石に母さんはよく判っているな。じゃあ、そう言う事で」

不満そうにしている父親を見て、嬉しそうに子供の様に笑う


ソフィーは高価なオルゴールを受け取り、曲を聴いて「まあ、懐かしい。この曲、十年以上前に流行った曲よ」と喜んでくれた

他にも化粧水と、お菓子のレシピ本、それと立派な裁縫箱

「まあ、こんなに・・・気を遣わせてしまったわね」

ソフィーが嬉しそうにお礼を言ってくれ、ヴィクトリアはホッとし「喜んで貰えたら良かったです」笑顔を向けるので

(これは随分考えて、贈ってくれたのかしら?)

裁縫箱など、田舎暮らしだからこそ必要なのでは?と考えてくれたのだろうとソフィーは思う



昼食はトマトのパスタと、サラダ。茹でたジャガイモとナスにチーズを掛けてオーブンで焼いたもの

四人でテーブルを囲み食事を取りながら「どれもとても美味しいです」美味しそうに食べるヴィクトリアに、ソフィーは

「お口に合って良かったわ。ここではいつもこういう食事なので」

伯爵家の食事にしてはかなり質素だ

「食事はメイドの二人が用意するのですか?」

「ええそうよ。身の周りの事は全部ね」

ソフィーがそう答えると、ヴィクトリアは「執事と三人でこのお屋敷内を、任せられているんですね」感心しながら、美味しそうにジャガイモを口に入れる


食事を終え、ヴィクトリアとルシフェルは外に出て村を散歩する事にし、護衛としてドルトンが少し離れて付いて来る

「二人でこうして出掛けるの、本当に久しぶり」

嬉しそうにルシフェルと手を繋いで歩くヴィクトリア

「ずっと忙しいからな。寂しい思いをさせてごめん」

「これからもずっと忙しいままなの?もう、早くは帰って来れないの?」

思い切って、ずっと不安に思っていた事を尋ねる

(もしそうなら、期待しないでその覚悟でいるだけだから。困らせたり、無理をさせるつもりなんてないから)

自分に言い聞かせながら、ヴィクトリアはルシフェルを見る


「その事なんだが、俺もそろそろ秘書を付けて貰おうかと思っているんだ」

安心させる様にヴィクトリアを抱きしめ

「そうしたら、早く帰って来れるから。それまでもう少し待ってて」

そう伝えると愛する婚約者にキスをする

キスをされたヴィクトリアは、ルシフェルに縋るような眼差しを向け「本当?秘書の人が来たら早く帰って来てくれるの?」確認するとルシフェルは笑って頷く


ルシフェルもヴィクトリアが寂しがっているのは判っているが、自分も王都勤務になって間が無い

何とか仕事を早く覚える為に必死だったが、いずれは秘書を雇い仕事をセーブするつもりだった

早く帰って来れると聞き、嬉しそうに自分の腕にしがみ付き、甘えてくるヴィクトリアにルシフェルはより一層愛しさを感じる

そんな仲睦まじい恋人達を羨ましく、妬ましく見ている村人達は

『馬鹿らしい』と去って行く者と『これからもっと仲良くなるのか?』と好奇心で見る者とで分かれ、ドルトンは自分はきっと存在を忘れられている・・・そう感じながら田舎の風景に溶け込む努力をする

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