33話 悪女と公爵の企みの真相
ルシフェルはランドルに渡された書類に目を通しながら、昼休憩になるのを憂鬱は気持ちで待っている
登城する馬車の中で、ランドルにアシドをどうするつもりか尋ねたのだが『自分が話しをつけるので、お前は何もするな』と忠告を受けたルシフェル
『それはホルグヴィッツが、円卓の賢者の一人だからですか?』
婚約者のヴィクトリアが危険な目に遭ったのだ、相手が誰であろうと許さないとルシフェルは意気込むが、ランドルは口出しするなと釘を差しと、ルシフェルの質問には答えず黙り込んでしまう
そんなランドルの態度に、自分を円卓に連れて来て、あの場の怪物達に後継者として紹介しておきながら、肝心な事は蚊帳の外へと追い出されている気がし腹立たしく感じる
昼休憩に入り、ルシフェルはランドルに「用事があるので失礼します」そう告げると執務室を出て、憂鬱と嫌悪の気持ちを抱きながらある場所へと向う
(ヴィクトリアの為だ)
そう何度も言い聞かせ、ルシフェルは二度と来る事はないだろと思っていたアルフレドの執務室のドアを叩く
秘書官に執務室に入れて貰うと、彼は気を利かせてアルフレドとルシフェルを残しそのまま出て行く
アルフレドは冷たい眼差しでルシフェルを見据えて来るので、ルシフェルもまた嫌悪感を露にしながら礼儀としてアルフレドと挨拶を交わす
ルシフェルは(ヴィクトリアの為だ)もう一度そう自分に言い聞かせると、アルフレドに昨日ヴィクトリアに何が遭ったかを話して聞かせ
「以前、ホルグヴィッツ公爵の夜会の時・・・貴方がヴィクトリを呼び出した場所の事ですが、二人で遭う場所を提供したのはアシド・ホルグヴィッツ公爵ですか?」
それしかないだろうが確認の為にルシフェルが尋ねると
「そうだ。あの男に誰にも邪魔をされない場所を提供して貰ったのは、嫉妬深い愚かな婚約者の所為でヴィクトリアに迷惑が掛からない為にだ」
そう答えるアルフレドに、ルシフェルは怒りが込みあがり
「よく言うな?人の婚約者と密会しておいて、迷惑以外何がある!?あの女騎士を使った時点で、ヴィクトリアの事も騙したんだろう!?」
「それについて弁解するつもりはない」
アルフレドはその通りだと認め、その時のヴィクトリアとの事を思い出し
「ヴィクトリアに言われた。隠れて遭うのは悪い事をしているみたいだから、これからは普通に会って話しをしようと」
そして、恨みがましくルシフェルを睨みつけ
「本来なら俺だって、あんな密会の様な会い方はしない。だが、そうでもしないとお前は、俺と会ったヴィクトリアを下らない嫉妬で責めるだろう?違うか!?」
「下らない嫉妬!?自分の大事な婚約者が言い寄られていれば、誰だって不快だろう!?お前だって俺の立場なら、ヴィクトリアに言い寄って来る連中に嫉妬を抱くだろう!?」
「俺なら、誰も寄せ付けさせない」
きっぱりとそう言い切るアルフレドに、この男ならそれが出来る事を判っているルシフェルは悔しそうに口を紡ぐ
「言っておくが、オウガストも居たのだから二人きりで会った訳ではない。俺はほんの僅かな時間でも、ヴィクトリアに会えればそれで良かったんだ・・・だが、ホルグヴィッツ・・・アシドが何かを企んでいる事も気付いていた」
アルフレドは冷たい目をルシフェルに向け
「その企みを知る為に、奴の誘いに乗っただけだ」
「それはヴィクトリアを利用した言う事か?」
アルフレドの言葉に、怒りが込み上げるルシフェル
「ヴィクトリアを利用した訳ではない。あいつの、アシドの誘いに俺が罠に嵌ったフリをしただけだ」
それでアシドがどう出るのかを見たかったのだとアルフレドは言う
けれど、正直腑にも落ちなかった(こんな判り易い罠とも言えない誘いを、あの強かなアシドが仕掛けるか?)と
(思慮深く緻密な計略を得意とするあの男が、自分に警戒される様な罠を持ちかけて来る筈が無い・・・では他に意図があるな)
アルフレドはそう結論を出し、ルシフェルについて来る様にと執務室を出る
「どこへ?」
ルシフェルが警戒しながら尋ねると「直接本人に確認する方が早いだろう?」アシドの執務室へと向う
正直、ランドルにアシドに構うなと釘を差されていたルシフェルはアシドに会うのはまずいだろうか?そう考え
(俺はただ、ホルグヴィッツとウェンヴィッツの関係を知りたかっただけなんだが・・・)
ややこしい事になったか?そう思いながらも当人に会えるなら都合が良いと、ルシフェルも覚悟を決める
アシドは兄であるホルグヴィッツ当主の補佐官を努めているのだが、今は来客中だと告げられ応接間で待たされる
応接間に通され、二人でアシドを待っているとアルフレドが
「ヴィクトリアとの件では悪かった。だが、俺のヴィクトリアに対する気持ちは変わらない」
宣戦布告とも取れるアルフレドの言葉に、ルシフェルは苛立ちながら
「ヴィクトリアは俺を愛してるんだ、おまえ・・・誰かに心変わりしたりしない」
自分に言い聞かせる様にそう断言する
ルシフェルのその言葉にアルフレドは(挑発してやろうか?)と思ったが、ヴィクトリアが困るだろうと「そんな事は判っている」素直に認める事にした
ヴィクトリアがルシフェル以外の男に心変わりするなど無い事を判っていて、アルフレドはそれでもヴィクトリアを想い続けると覚悟しているのだ
「お前は幸運にもヴィクトリアに愛されているんだ。彼女を傷つけて、泣かす様な事はするな」
アルフレドは「それだけは絶対に許さない!!」そうルシフェルを見ずに忠告する
ルシフェルもまた、アルフレドがヴィクトリアに執着している事に内心穏やかではなく
「そんな事は、貴方に言われなくても判っている」
ルシフェルだってヴィクトリアが大事だ・・・でも、感情が抑えられずに傷付けてしまい後悔する事もある
(昨日だって、泣かせてしまった・・・)
その事を後悔しながら、ヴィクトリアがアルフレドに気が向かない様もっと大事にしなければと心掛けるルシフェル
二人が待っている応接間にアシド・ホルグヴィッツがランドルと共に現れ、ルシフェル達を見てニヤリと口元を歪め
「ほら見ろ、険悪な二人がこうして仲良く揃って俺に会いに来てくれている」
ランドルに満足そうにどうだ?と笑うアシドだが、ランドルは憮然と機嫌悪そうにルシフェルに目を遣る
「それで、一体どういうお膳立てですか?ホルグヴィッツ公」
アルフレドは『俺は忙しい、戯れ事も大概にしてくれ』と言う表情で尋ねる
「なに、若者達に刺激を与えてやったまでだ、ウェンヴィッツ。最も、もっと拗れてくれれば面白かったのだが、意外と皆冷静でつまらなかったがな」
アシドのその言葉にルシフェルが怒りを露に「ふざけるな!!ヴィクトリアを危険な目に遭わせておいて、 何がつまらなかっただ!?」ホルグヴィッツに怒鳴りつける
「そうそう、こうやってすぐにムキになるなら可愛気も有るのに、お前は常に冷静で本当につまらん」
アシドはニヤリと薄ら笑いを浮かべルシフェルを見てから、アルフレドに可愛げが無いと目を向ける
「私をこれと一緒にされても不愉快なだけです」
アルフレドは冷めた口調でアシドに淡々と
「貴方が仕組んだ事にしては余りにも稚拙過ぎです。貴方なら自分だと判るような罠など絶対に仕掛けない。本気で人を貶めるならもっと巧妙に、決して自分とは悟られない様、最悪身代りの贄も容易にするでしょう?」
それが貴方だと告げる
「何が目的ですか?ただ、俺達を拗れさせる為だけでは無いのでしょう?それとも、本当にただの嫌がらせですか?」
アルフレドはウンザリした感じで聞き返すと
「まあ、第一の目的は・・・火種を落としたらお前達三人はどこまで拗れるのか、愛憎劇を見たかった」
「お前!!」
アシドの言葉に怒りを露にルシフェルが掴みかかろうとするのを、アルフレドが止める
「それは意外にもあの娘が賢明な行動と取った事で、深く拗れずに済んだがな」
ヴィクトリアがアルフレドと会った事をルシフェルに隠さずに話した事
最もその後二人は少し拗れたが、それもアルフレドの機転でルシフェルを謹慎させヴィクトリアの頑張りで何とか仲直り出来た
「第二の目的は、自分が男に言い寄られ己の身に危険が迫ったら・・・あの娘はどうするか?そして」
アシドは「お前達がどう反応し、どういう行動に出るかを見定める為」そうニヤッと笑い伝える
ルシフェルは苛立ちながら
「だから、何故そんな下らない事をしたんだ!?ヴィクトリアがどれだけ怖い思いをしたと思ってるんだ!?」
アシドにそう怒鳴ると彼はルシフェルに諭すよう
「イヴェラノーズ当主の倅がまだ大人しい、理性がある男だから良かったがな。世の中には、力尽くで女を自分の物にしようとする屑も居る。振られて逆上する馬鹿も居る」
その言葉に凍りつくルシフェルとアルフレド
「あれだけの美貌と色気のある娘だ。邪な感情を抱き、虎視眈々と自分のモノにしようと狙っている輩は居るだろう」
ホルグヴィッツの言葉に、ルシフェルは貴族にあるまじき行為だと驚愕し
(そんな事・・・確かに言い寄ってくる連中は居るが、そんな力尽くでなんて、そんな・・・)
だが有り得ない事では無いと恐怖を感じるが、アルフレドはアシドに
「それは、我々にヴィクトリアの周辺にもっと警戒しろという事ですか?」
そう尋ねるとアシドは「いいや」と首を振って笑う
「あの美貌に、男を惑わす色気のある身体だ。常に危険と隣り合わせだろう?よくまあ、今まで無事で居られたものだ。だから恐怖を教えてやったのだ」
あっさりととんでもない事を言い、ルシフェルとアルフレドをイラつかせる
「セインの事で懲りて、少しは自重するなら良し。それでも己の身に警戒しないなら、自業自得だ」
そうだろう?と二人を見るアシドに、ルシフェルは不安を抱く
(ヴィクトリアには何度も言っているんだ。自分の魅力に無頓着過ぎる、もっと自覚して気を付けてくれ!!)と
それでも愛する婚約者は、自分の美貌に無関心で無防備なのだ
「・・・ヴィクトリアは相手が誰であれ、常に優しく誠実に接しているだけだ。イヴェラノーズ子息の取った行動も、お前に騙されたのだからと奴を責めずに心配までして・・・お前があの男の、ヴィクトリアを想う気持ちを利用した事をとても怒っていたそうだ」
アルフレドは静かに、しかし怒りを抱きながらルシフェルから聞いた事をアシドに伝えると「ほうっ」っと、彼も興味深そうに目を細める
「確かに今の彼女は、誰をも魅了する。だが、それは彼女の持つ、純粋に相手を思い遣る優しさに惹かれるからだ。それを・・・恐怖を教えてやっただと?自重しないなら、自業自得?・・・ふざけるな!!」
アルフレドは本気でアシド・ホルグヴィッツに対して憎しみを抱き、彼の言葉にルシフェルは愕然とする
(その通りかもしれない。ヴィクトリアの魅力は、誰に対しても優しく、誠実だから・・・)ズキンッと胸が痛む
(俺は昨日・・・ヴィクトリアに何て言った?とんでもなく酷い事を言ったのか?それで、彼女を泣かした・・・)
ルシフェルはヴィクトリアに、他人に対しもっと警戒心を持って欲しいと言った・・・けれどアルフレドはヴィクトリアは優しいままで良い、それが魅力なのだと言っているのだ
(ウェンヴィッツの方が、ヴィクトリアの事を判っているって言うのか・・・)悔しさで、震えるルシフェル
けれどアシドを含む円卓の賢者達の様な魑魅魍魎が蠢く貴族社会では、その優しさが命取りになるとルシフェルには判っているからこそ心配している
けれどもしヴィクトリアを護るのがアルフレドなら、その魑魅魍魎など蹴散らせるのだろう・・・
アルフレドはアシドを見据え
「ヴィクトリアを怖がらせ、傷付けた事は許さない。今後、二度とヴィクトリアに近づくな。もしまた彼女に何かしたら、その時は・・・オルテヴァールからホルグヴィッツの名が消える事になる」
目を鋭く光らせ『俺は本気だ』と、アルフレドはアシドに警告する
アシドはアルフレドに睨まれながら「成るほど、あの娘はお前にとっての逆鱗か?いいだろう、よおく肝に銘じておこう」全く気にした様子もなく笑みを浮かべる
ルシフェルは、アルフレドがアシドに警告する遣り取りに激しい嫉妬を抱く
(本当は、俺がホルグヴィッツからヴィクトリアを護りたかった。でも・・・ヴィクトリアを奴から護ったのは、ウェンヴィッツだ・・・俺じゃない)
嫉妬というより、己の不甲斐無さに悔しい思いをするルシフェルは(ウェンヴィッツに、何もかも負けている)そう思わずにはいられなかった
アルフレドは笑うアシドを見据え
「・・・ヴィクトリアを使って、下らないお膳立てを企てたのは俺達二人を呼び出す為か?それとも本来の目的は、俺か?」
アルフレドの質問にルシフェルは意味が判らなかったが、アシドはつまらなそうに
「本当にお前は可愛くない。どこまで見抜いているのか知らんが、ここにお前達が来た時点で私の計略は成功しているんだ」
(アルガスターも入っているのか。俺だけかと思ったのだが、違うんだな)
アルフレドは、ランドルが居る事にも気になっていた
(ヴィクトリアを姦計に使った事への抗議に、わざわざホルグヴィッツの執務室に出向くか?)
違うな、とアルフレドは警戒し
「成功?俺が一人でここへ来ても、同じ事を言うんだろう?」
馬鹿か?という様にアルフレドはアシドに冷やかな目を向ける
「何とでも言え。こっちは仲が悪いお前達が、二人仲良く現れた時点で満足だ」
アシドのその言葉にルシフェルとアルフレドはお互い眉間に皴を寄せ『誰が、仲が良いものか!!』と二人同時に心の中で拒絶する
「ウェンヴィッツ公爵。今回の悪趣味な計略は水に流して、我等が誘いに応じてくれ無いか?」
ランドルが口を挟み、アルフレドは彼に目を向ける
同じ公爵のアシドより、まだこの侯爵の方が話しが纏まりそうだとアルフレドは考え「誘いとは?」尋ねると、ランドルは不本意そうに
「アルゲイド様が、何としてもアルフレドを円卓に参加させろと仰るのだ。今の円卓に、若者を取り入れたいと申されてな」
「そこで私が一計を案じ、作戦を立てたのだ。お前達が仲良くここへ来るように」
アシドは得意気にランドルを見て
「大事な娘を使うなと言うが、あれ程の効果覿面は無いだろう?こうして二人揃ったんだ、文句を言うな」
満足そうな彼に、ランドルは「ウェンヴィッツ公の逆鱗に触れてか?」冷やかに「お前は黙っていてくれ」とアルフレド目を向け尋ねる
「どうする?ウェンヴィッツ公。アルゲイド様の申し入れだ、おいそれとは断れないぞ?」
「興味が無いので」
下らない、その事かとランドルとアシドに頭を下げ「失礼する」と応接間から出て行ってしまう
「やれやれ、我が侭な若造だ」
アシドは駄目でしたっ・・・という感じで、気にも留めずに応接間の座り心地のいいソファーにどっかりと座り込み
「・・・興味が無いなら、その興味を用意してやろうか?」
また禄でもない事を考え付いた様に、ランドルを見て
「紳士クラブに有るまじき、ヴィクトリアを円卓に呼び寄せるか?あの娘が居れば、ホイホイ尻尾を振ってついて来るだろうよ、この犬共は」
そう提案し大笑いする
犬扱いされムッとするルシフェルだが、ヴィクトリアが円卓に参加など有り得ないと判っている
「いつか近い未来、ホルグヴィッツの名がオルティヴァールから消えるな」
ランドルはルシフェルを連れて、執務室を後にする
こうして、アシド・ホルグヴィッツ公爵による気味の悪い計略は一応、成功?したようだが、彼はアルフレド・ウェンヴィッツ公爵当主の逆鱗に触れてしまった
が、当の本人はその事をよおく肝に銘じているのかどうかは、定かではない
何故なら肝心のアルフレドの円卓への勧誘は上手く行かなかったのだから・・・
夜にルシフェルが帰って来ると、ヴィクトリアは「おかえりなさい」と出迎える
「ただいま」
ルシフェルは愛する婚約者の頬をにキスをして自室に向い、鞄を机に置くとヴィクトリアが心配そうに彼を見ている
「ホルグヴィッツ公爵と、話しをしたよ」
ルシフェルが安心させる様に優しく笑い掛け「もう、ヴィクトリアに関わる事はない。だから安心して良いよ」(そう・・・ウェンヴィッツがそうしてくれた)そのままヴィクトリアを抱きしめる
「・・・ルシフェルには?貴方にも何もしない?」
不安そうに聞いてくるヴィクトリアに、ルシフェルは頷き「ああ、俺も大丈夫だ」そう答え、大丈夫だと聞いてヴィクトリアはホッと安心する
「・・・昨日の事、俺が言った事は本当にごめん。ヴィクトリアが誰にでも優しくするから、俺が嫉妬してただけだ」
そう謝ると愛する婚約者の顔を見て「ヴィクトリアは優しいから魅力的なのにな・・・俺は判ってなかった」彼女の唇に自分の唇を深く重ねる
(なのにあいつは、当たり前の様にその事をホルグヴィッツに伝えた。ヴィクトリアを理解しているかの様に)
アルフレドに対する嫉妬を抱く
「ルシフェル?」
漸く唇が離れ、心配そうにヴィクトリアはルシフェルを見る・・・彼がこんな風に自分を求めてくるのは、不安があるからだと判っているから
「ごめん・・・つくづく自分が情けなくなるな」
(俺は、あいつみたいに完璧じゃない・・・)
そう心の中で自分を責めるルシフェルは、笑って「それでも、俺がヴィクトリアを護るよ」心から大事に想っている、愛する婚約者を抱きしめる
「・・・ルシフェルは、いつも私を護ってくれているわ。今までも、ずっと傍に居て大事にしてくれているもの。私の未来の旦那様は、とても頼りになりますから。情けなくなんて無いですよ」
そう、嬉しそうに訴えると「大好きです」ギュッとルシフェルを抱きしめ返す
そんなヴィクトリアに、ルシフェルは泣きそうになりながら
(俺は昨日、ヴィクトリアに酷い事を言って泣かせたばかりなのに・・・)
昨日の事を思い出し自己嫌悪に陥るが、だからこそ余計に彼女の優しさが嬉しく思いより一層愛しく感じる
「俺も愛してる。ヴィクトリアは俺の全てだ」
(だから、絶対にウェンヴィッツに奪われたりしない)
ルシフェルはヴィクトリを抱きしめる腕に力を込め、この温もりを失わないよう自分に何度も言い聞かせる




