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記憶を無くした悪女  作者: 浅海
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  3話 悪女の婚約者は冷徹?

アメニの実家から帰って来たヴィクトリアは、夕食を父ランドルと共に取っている

美味しそうに食べている娘に「今日は何をして過ごしたんだ?」と父親らしく尋ねる

なるべく娘と会話をして、少しでも記憶が戻ればという要らないお節介だ


「あら、昨日、今日はお医者様と一緒にアメニの家に行かせてとお願いしたじゃありませんか」

クスクス笑う娘に、ランドルは凍りつく

「・・・・なんだと?」

声が震えているランドルに、周りの使用人達も凍りつく・・・特にアメニはまた叱責を受けるのでは?と身を縮める


「アメニのお母様の容態は過労だったそうです。安静にしていれば大丈夫だとお医者様が仰っていました。本当に良かったです」

「・・・お前は医者と一緒に、そのメイドの家に行ったと言うのか?」

信じられないという顔でヴィクトリアを見てから、ランドルはアメニを睨みつける

「ずっと自室に籠もるのは身体に良くありませんから、良い気晴らしが出来ました。それに、アメニのお母様にも会えましたし」

「・・・・・」

喜んでいる娘にランドルは無言なり、そんな主人に傍に仕えている使用人達はこれ以上主人の機嫌を損ねない様にと不手際が無い様料理を運ぶ


食事が終わると、そこへ料理長のサージスが現れヴィクトリアのデザート皿を自ら下げ

「・・・いかがでしたか?今日の料理は」

そう尋ねるので、その場に居た使用人は(何を聞いているんだ?この人は)怪訝そうに彼を見ながらテーブルの皿を下げていく

ヴィクトリアは嬉しそうにサージスに

「どれもとても美味しかったわ。とくにデザートのムースにかけてあったチョコレートソースがほろ苦くて、それがムースと良く合っていて美味しかったわ」


そう答えながら彼に確認する様に「あれも私の好物だったのかしら?」尋ねるとサージスは笑顔で頷き

「本日のメニューは、全てヴィクトリア様が特に気に入っておられた料理をお出し致しました」

彼のその表情を見て(えっ!?笑ってる?)今まで仕えていた使用人達は、この料理長が笑う所など滅多にお目に掛かった事が無かったので驚く

ランドルですら(こいつ何しに現れたんだ?)と思いながら、二人の遣り取りを冷ややかに見ている


「嬉しいわ。手土産のお菓子も沢山用意してくれた事もだけど、サージスも他の料理人の方達も、皆の優しい気持ちが本当に嬉しい」

にっこりと微笑むヴィクトリアの美しさに、その場の使用人達は(サージスとアメニは除く)一斉に(この女性ヒトは誰!?)と息を呑む

(悪女の新手の嫌がらせなのか?)そんな事を考える使用人達


「ヴィクトリア」

妙な雰囲気を打ち消したのはランドルだった

サージスは満足そうに厨房に戻って行き、使用人達も急ぎ片付けを終らせアメニとモナ、執事の三人だけが待機していた

「・・・明日、ルシフェルがお前の見舞いに伺うと言ってきている。昼頃に着くそうだ、支度をしておく様に」

唐突に命じられ、ヴィクトリアは首を傾げる

「ルシフェルって、誰ですか?」

(男の人の名前だけど)

するとランドルは「お前の婚約者だ」とんでもない事をサラッと言う


(こんやくしゃ・・・えっ?)


「婚約者!?わ、私に婚約者がいるのですか!?」

驚くヴィクトリアにランドルは

「気乗りはしないだろうが、せっかく来るんだ。そう邪険にしないようにな」

意味深な事を言って、ランドルは席を立ち行ってしまう

(いや、私、記憶無いんですけど・・・)

食堂から出て行く父を見送りながら不安になるヴィクトリアに、アメニは「大丈夫ですか?」と声を掛ける

「私に婚約者がいるなんて・・・その人が明日来るって・・」


部屋に戻りヴィクトリアは戸惑いながら考える

(私が事故に遭って4日経つ。その私のお見舞いに、明日来てくれるというけど・・・それもお父様宛の手紙で。私に手紙が来た訳じゃない・・・一体どういう人?)


ウーン・・・と考え、ハッとし机に山済みにされいる手紙の束に目を向けアメニとモナに「ルシフェル様からの手紙を探して頂戴」と頼む

三人で山積みにされた手紙から彼の手紙を探すが、これだけある手紙の量なのに彼からの手紙はたったの二通だけだった

恐る恐る手紙を読むと、婚約した時のだろう社交辞令の様な内容のと、夜会の誘いの手紙だった

しかもその夜会の誘いは随分前の物だ

「・・・・これだけなの?」

たった二通しかない手紙に、不安が募る


(普通、幾ら政略結婚だったとしても、もう少しこう、お互いに気を遣うものじゃないかしら・・・?)

あり得る事はただ一つ

「私、嫌われているのかしら?」

それは大いに有り得る、何せ自分は皆から嫌われているみたいなのだから

「ねえ、ルシフェル様ってどんな方?」

思い切って二人に尋ねると、メイド達はお互いを見て首を傾げる


「申し訳ありませんが、私はよく存じ上げません」

モナは緊張しながら頭を下げ、アメニも申し訳なさそうに

「ルシフェル様は、滅多にこの屋敷に来られていないように思います。その、私達メイドはご主人様達の交流関係について詳しくないのです。詳しいのは、執事のドルフェス様だけだと思います」

「そう・・・」

(私の婚約者は、会うまで謎のままって事ね)

二通の手紙を見つめるヴィクトリア


(手紙の内容は簡潔なものだけど、とても丁寧に書かれている)

再びハッとするヴィクトリア

(もしかしたら彼からの手紙は、どこか大事に保管してあるのかもしれない。後でどこかにないか探してみよう)

前向きに捉えるヴィクトリアだが、残念ながら保管されている手紙は無い

二人にもう下がっても良いと伝えると、モナはホッとした様に頭を下げ自分の部屋へと戻る

アメニも行きかけたが、決心した様にヴィクトリアの部屋のドアを叩く


ドアを開けると、アメニだったので部屋に入れると

「あ、あの」

おずおずとアメニは、少し戸惑いながらも勇気を出し、スカートを手でギュッと掴み(それが彼女の癖なのだが)

「わ、私をヴィクトリア様の、専属のメイドに・・・して貰えませんでしょうか?」

最後の方は少し声が小さくなるアメニに、ヴィクトリアは驚き「・・・良いの?無理しなくても良いのよ?」優しく笑う彼女に

「「はい。私、その、い・・今のヴィクトリア様には、その・・心から感謝しているので・・母の事、凄く嬉しかったんです。だから、どうか、ヴィクトリア様の傍に仕えさせて下さい」


顔を赤くしドキドキしながら自分の気持ちを伝えるアメニを、思わずヴィクトリアは抱きしめる

「ありがとう、ありがとう!!」

自分がした仕打ちを、彼女は許してくれた

とても酷い事をしただろうに、彼女の優しさがヴィクトリアには嬉しかった



翌日、ヴィクトリアは落ち着きが無かった

クローゼットいっぱいにドレスが並んでいるが、どれも派手で戸惑う

「どれも、お似合いになられますよ」

アメニが言うと「そうね・・・確かに似合う、けど・・・・派手過ぎるのはちょっと」彼女は内心

(これはルシフェル様の好みなの?それなら思い切って、彼好みのドレスにしようか?)

そう考えたが、しかし自分にとっては初対面の相手である

なるべくなら自分を偽って、無理はしたくない


「この、ワイン色のシックなデザインのドレスにするわ」

少し胸が開いているのが気になる所だが、ストールで隠せば良いと考えた

髪はアップにして大人ぶるより、清楚におろしてエメラルドの髪止めを付ける

「爪はどうしましょう?宝石の粉を散りばめますか?」

アメニが聞いてくるので「宝石の粉って何?」ヴィクトリアは逆に尋ねる

「はい。宝石を粉々にして、それを爪に付けるのです」

サラッと答えるアメニに、ヴィクトリアは驚愕する


「えっ!?ほ、宝石って粉々に出来るの!?っていうか、なんて事をするの!!」

「以前、ヴィクトリア様が考えたお洒落で。ダイアモンドを使って宝石を粉々にするんです。私もさせられましたが、とても硬くて、とても力が要る作業で、大変でした」

そう告げると、彼女の宝石箱の一つを持って来て

「これに、それぞれの宝石の粉が入った瓶が有ります。どうされますか?」

アメニが箱を開けて見せるので覗いてみるとその中には一つ、大きな卵くらいあるダイアモンドが仕舞ってあった

(これで叩くのかしら?)

そう思い「・・・遠慮します、ごめんなさい・苦労かけました・・・」とヴィクトリアは謝る


昼近くになると益々緊張と不安でドキドキするヴィクトリアは、ルシフェルを客間に通す事になっているので覗いて見る

きれいに飾った花とすでにカップとケーキ皿が用意されていて、きちんと持て成す準備が出来ている

「うー、緊張するわ」

何せ相手は自分の婚約者だが、第一印象は記憶に無い・・・あまり交流も無さそうだ

(出来れば、これから歩み寄って行けたら良いんだけど)

ヴィクトリアはそう思うが、こればかりは相手次第なのだ


自室でドキドキしながらルシフェルが来るのを待っていると、執事のドルフェスが彼の馬車が到着したと知らせに来る

急ぎ玄関ホールに向かい、執事の隣に立つヴィクトリアの心臓は物凄い速さで打ち付けられている

(顔が強張ってしまう、最初が肝心なのに・・・)

実際には初対面では無いだろうが、記憶が無いヴィクトリアにとっては初対面に等しい

呼び鈴が鳴り、執事が扉を開ける

(うわー、いよいよだわ)心臓が高鳴るのを感じながら、笑顔を心掛けるヴィクトリア


扉から姿を見せたのは、金色に茶色かかった髪に青い瞳をした整った顔立ちをした青年だった

穏やかな笑顔を見せ、執事であるドルフェスに挨拶をするとヴィクトリアと目が合う

ドキンッと心臓が飛び跳ねるヴィクトリアと、驚いた表情をするルシフェル


しかしすぐに笑顔になり、優しい穏やかな声で

「・・・ヴィクトリア、出迎えてくれてありがとう。身体の方は大丈夫ですか?」

社交辞令的な言葉を掛けてくる

彼の優しそうな笑顔に、ヴィクトリアは少し安心して

「はい、その身体の方は大分良くなったのですが、その・・記憶の方が」

戸惑いながら言うヴィクトリアに「記憶?」怪訝そうにするルシフェル

(あれ?聞いてないのかしら)

ヴィクトリアは執事を見ると、ドルフェスはそのまま案内する様に二人の前を歩き客間へ向かう


彼の後について行きながらヴィクトリアはチラッとルシフェルを見るが、ルシフェルはまっすぐドルフェスの方を見ながら涼しい顔で歩いている

(笑顔が素敵な、優しそうな人みたいだけど・・・)

客間に向かう間、彼は自分に全く話し掛けて来ない

(本当に私を心配してくれているのかしら?)

不安が込み上げて来る


部屋の中に入ると、すでに紅茶と焼き菓子類が用意されていた

二人はテーブルを挟んで、向かい合わせに席に着く

ドルフェスはそのまま一礼して出て行き、部屋には専属のアメニともう一人メイドが扉の隅に待機している

「・・・先程、記憶がどうと言っていましたが、何か問題でもあったのですか?」

ルシフェルに尋ねられ、その優しい気遣いの声にドキッとしながら

「あ、あの、聞いてませんか?私、事故の所為で以前の記憶を無くしてしまいまして」

その言葉にルシフェルは驚く

「ですからその、自分の事も、この屋敷の皆の事も、そしてその・・・ルシフェル様の事も覚えてなくて・・・申し訳ありません」

謝るヴィクトリアに益々驚いた顔をするルシフェルだが、すぐに

「謝る事はありませんよ。それは・・・お辛いですね」

そう言いながら、ヴィクトリアをジッと見つめるルシフェル


かっこいい青年の透き通る様な青い眼で見つめられ、ヴィクトリアは恥ずかしさを隠すよう紅茶を飲む

「・・・本当に感じが違いますね。記憶を無くすと性格まで変わるのかな?」

不思議そうに首を傾げるルシフェルに「えっ?」と驚くヴィクトリア

確かに以前のヴィクトリアは、悪名高い悪女だったみたいだ

だからルシフェルは悪女であるヴィクトリアと、今の自分を比較しているのだろう


心臓がドキドキと激しく打ち付ける中、決心する様に彼に聞いてみた

「・・・以前の私は、あまり評判が良くないのですが・・・ルシフェル様も同じですか?」

「同じですか?と言うのは、私が貴方に対して、悪い印象を持っているかを聞いているのですか?」

優しそうな穏やかな声で逆に質問され、ヴィクトリアは不安そうに「はい、そうです」と頷く

するとルシフェルは、優しい笑顔を向けながら

「記憶の無い貴方に嘘を言っても意味が無いので、はっきりと本当の事を言います」

優しげな声なのにどこか突き放すような口調に、ヴィクトリアはズキッと胸に痛みを感じる

「悪い印象と言うよりは、悪女そのものだと思っていますよ。まあ、私達は政略結婚ですので、愛情は二の次。お互いに干渉しないで上手くいくのなら、貴方の好きにして貰って構いませんよ」

ルシフェルの言葉に(優しく突き放す)そんな言葉がぴったりだとヴィクトリアは感じた


「・・・そう、ですか」

政略結婚だ、貴方との間には愛情等無い・・・そうはっきりと言われたのだ

長い沈黙が流れ、ヴィクトリアは居た堪れない気持ちになってきた

(本当にこの人は、私との結婚など望んでないのね。政略結婚だもの・・・)

ふと、昨日父親であるランドルの言葉を思い出す

『気乗りしないだろうが、そう邪険にするな』

(以前の私は、彼を邪険にしていたのかしら?)

そう考え、ある事を思い出しズキリと心臓を刺した痛みを感じた

(浮気だ・・・・彼女達の手紙には、私が恋人や婚約者を奪った事が書かれていた)

ヴィクトリアがルシフェルを見ると、ルシフェルも涼しい眼差しでヴィクトリアを見ている


(この人は知っているのだろうか?私が浮気をしている事を・・・いや、もしかしたら婚約する前かもしれない・・でも、それを聞く事なんて出来ない)

けれど、知っているだろうと思う・・・(だって私の事を、はっきりと悪女だと言っていた)

ゴクリと氷のような、冷たいものを飲み込む感じで唾を飲む

(嫌われている、間違いなく物凄く嫌われているんだわ・・・)

穏やかな笑みを崩さないルシフェル


(それでその笑顔が出来るって、逆に怖いんですけど・・・)

ヴィクトリアは決心する様に、目の前の婚約者に提案する

「あの、もしルシフェル様が私との婚約を望んでいないのであれば、その、私の記憶喪失を理由にしてでも、婚約を解消して貰っても構いません」

唐突なその言葉に、ルシフェルは(何を言っているんだ?)と眉を顰め「そんな事、出来ませんよ」そう答えると

「ルシフェル様の方から断れないなら、私の方でお父様にお願いしす。慰謝料等はこちらが支払いますし、それでルシフェル様が自由になられるなら、その方が良いかと」

ヴィクトリアとしては精一杯の提案だったが、ルシフェルは深い溜息を吐く


「先程も言いましたが、これは政略結婚です。ティアノーズ家とアルガスター家の利益の為、私達は結婚するんです。貴方の記憶喪失位で婚約破棄なんてありえませんよ・・・・お互いに望んでいなくても、この婚約は解消されません」

彼がそう言い切ると、ヴィクトリアは残念そうに

「気持ちとは関係なく、儘ならないのですね。気の毒です」と呟く


(気の毒?)

ルシフェルは首を傾げる

(大体、俺が自由になれるとはどういう事だ?自分が自由になりたいからだろう?)

紅茶を飲みながら、チラッと時計を見やる

「そろそろこれで失礼します。長居をしては身体に障るでしょうから」

笑顔を向け立ち上がりヴィクトリアに気を遣った言い方だが、彼としては十分見舞っただろうと時間を計ったに過ぎない

「あ、はい」

ヴィクトリアも慌てて立ち上がる


結局の所、自分が婚約者に嫌われていた・・・けれど婚約破棄は出来ない

そんな悲しい事実だけ知る事になったが、これではとてもルシフェルとの距離など縮む筈が無い

(それでも・・・・)

ヴィクトリアは涼しい顔で廊下を歩いている婚約者に目を向ける


玄関まで見送るヴィクトリアに「それでは、お身体に気を付けて下さい」笑顔で社交辞令を述べるルシフェルに

「・・・あの、ルシフェル様」

ヴィクトリアは、彼に自分の気持ちを正直に伝えようと決心する


「今まできっと私は貴方に嫌な思いをさせて来て、今更何をと思うかも知れませんが・・・婚約破棄が出来ないのであれば、私は出来れば・・・ルシフェル様に、少しでも好意を持って貰いたいです。ですから、その・・・」

こういう事を言うのは恥ずかしいと思いながら、顔を赤くし

「これからは少しでも愛して貰える様、努力しますので・・・よろしくお願いします」

ルシフェルを見つめ、そう伝えるヴィクトリア

「!!」

その言葉に流石のルシフェルも僅かに動揺し、少し考えた後

「・・・それなら、十日後に親しくしている友人の夜会に招かれているのですが、ご一緒しますか?」

と尋ねる


どうせ断るだろうと思って聞いたのだが、顔を赤らめていたヴィクトリアは嬉しそうに

「はい、ぜひ!!その、楽しみにしています」

満面の笑顔で答え、その笑顔にドキッとするルシフェルは「それではまた、十日後に」顔を赤らめティアノーズ家を後にする

ルシフェルが帰った後、ヴィクトリアは凄く幸せな気分だった

『十日後に』

そう言って、優しく笑う彼の顔が忘れられない

(少しだけでも、あの笑顔が私に対して好意を持ってくれたのだと良いのだけど)

夜会に誘って貰い、嬉しそうに自室に向かう彼女を見てアメニはある事を思い出した


悪女ヴィクトリアの事だ

確か彼女はルシフェルとの婚約が決まった時、烈火の如く怒ったのだ・・・それこそメイド達が怯える程に

なぜ自分の結婚相手が、格下の伯爵子息なのか!?自分の美貌なら同格の侯爵か、その上の公爵家に嫁げる筈だと

もっと言えば、王族の誰かとだって婚約出来る筈なのに!!と


けれど王族に適齢期の男子は居らず、公爵ではアルフレドが居るが残念ながら彼はヴィクトリアを毛嫌いしている

他にも高位貴族の子息は居るのだが、皆アルフレドの顔色を伺う者ばかりで、遊び相手には良いが誰もヴィクトリアとの婚約を決めたがらなかった

そして、どんなに嫌がっても所詮は侯爵令嬢、親の意向が全てなのだ

ランドルは、婚約が決まればヴィクトリアも大人しくなり、スキャンダルになる行動は控えるかと思ったが、彼女は憂さを晴らすように、男達を侍らして楽しんでいた


当然その事はルシフェルだって知っている

なぜなら彼は、貴族達から嘲笑の的だったのだから

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