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記憶を無くした悪女  作者: 浅海
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 27話 愛情と友情と悪女

ヴィクトリアは寝室で一人泣きながら、自分の愚かな言動で愛するルシフェルを傷付けてしまった事を心から悔む

(ルシフェルが、アルフレド様を不安視しているのは判っている・・・でも・・・それでも・・)

アルフレドのあの寂しげな笑顔を見ると、どうしても放っては置けなかった


ヴィクトリアがアルフレドと距離を置かないでいるのは、このままアルフレドと距離を置いたら彼は一人に・・・本当に孤独になってしまうと思ったから

今はルシフェルに愛され、友達も出来きて寂しくは無いが、ヴィクトリアは知っている・・・孤独が、一人ぼっちが、どんなに寂しくて辛いか

それにアルフレドには夜会での時や、カレンの事もそう、何度も助けて貰っているからこそ、余計に放っては置けない・・・例え、愛するルシフェルを傷付け怒らせてしまっても



翌朝、ヴィクトリアはルシフェルの部屋の前で彼が出て来るのを待つ

ルシフェルは朝食を取らず、そのまま王城へと出勤する為に部屋を出て来ると「ルシフェル」ヴィクトリアがしがみ付くように腕を絡め「昨日は本当にごめんなさい。もっときちんと話すべきだったわ」そう謝るが、ルシフェルはヴィクトリアを見ず

「言っただろう?ヴィクトリアの好きにすれば良いんだ。俺の事は・・・気にするな」

冷たくヴィクトリアに掴まれた腕を離し、出て行ってしまう


ランドルと共に登城する馬車の中、ルシフェルは悔しそうに

(・・・ヴィクトリアが例えお前に心奪われようとも・・・俺は絶対に別れるつもりはないぞ、ウェンヴィッツ)

アルフレドに対する憎悪を抱く

そんなルシフェルの様子にランドルは、二人が昨日揉めていた事をドルフェスから聞いて知っている

ヴィクトリアがアルフレドと二人きりで会っていた事も(正確にはカレンも居たが)そのお膳立てをしたのが、アシド・ホルグヴィッツだった事も

アシドは、アルフレドがヴィクトリアに執着している事実に目を付け、三人に不必要な火種を付けたのだ


まず、アルフレドにヴィクトリアと二人きりで会える場所を提供し、後は若い二人が燃え上がれば良し、そうでなくてもアシドはルシフェルに二人が密会していた事を告げ、ルシフェルの嫉妬心を煽る・・・けれど、それはヴィクトリアの口からルシフェルの知る事となる

夜会の帰り、アシドがランドルに耳打ちした言葉は『火種は落とされた、今後の三人に注目だな』だった


赤い目をし、黙ったままのルシフェルにランドルは深い溜息を吐く

「ルシフェル、私が紳士クラブの帰りに言った言葉を覚えているか?」

考え事をしていたルシフェルは、ランドルの問いに

「幹部の連中に、心を見透かされない様気を付けろ。気を許し、舐められるな・・・でしたか?」

思い出しながらそう口にすると、ランドルは頷き

「お前も、アルフレドも、ヴィクトリアも、あの男に心を見透かされ、利用されているに過ぎん。愚かな行動が命取りになるぞ」

そう警告してくるので「それは・・・どういう意味ですか?」尋ねるが、ランドルは答えず黙ったままだった

(何なんだ!?・・・俺は今、ヴィクトリアの事で頭がいっぱいなのに・・!?)

肝心な事を言わないランドルに、苛立つルシフェル



そんな苛立ちを抱きながら王城での勤務中、最悪な事に偶然廊下を歩いているアルフレドを見つけたルシフェル

怒りが込みあがり、思わずアルフレドの後を追うと彼に掴み掛かってしまう

「お前は、どういうつもりでヴィクトリアを呼び出したんだ!?彼女は、俺の婚約者だぞ!!」

怒鳴りながらアルフレドの襟首を掴むが、すかさずアルフレドがルシフェルの腕をギュッと握り返し、その痛みでアルフレドの襟を掴んでいた手を離す

「場所を弁えろ」

アルフレドは冷静にそう冷たく言い放ち、ルシフェルを睨みながら

「彼女に会いたかったから。それだけだ」

「ふざけるなっ!!お前の所為で俺達が・・・」

アルフレドの所為で自分とヴィクトリアの関係に溝が出来たのだと、ルシフェルは今度はアルフレドの胸座を掴み掛かるがアルフレドもルシフェルの腕を掴みぎゅっと握り返して抗戦するので、あわてて傍に居たアルフレドの部下が止めに入る


「おやめ下さい、無礼ですよ!?」

ルシフェルを引き離し注意し、アルフレドは何事も無い様に身形を整え「不敬罪だ、アルガスター。お前を二日の謹慎処分とする」冷たい目を向けそう告げると、その場から去って行き、アルフレドの部下に取り押さえられながら、ルシフェルは憎しみに満ちた目で去って行くアルフレドを睨みつける


去りながら、アルフレドは内心穏やかではなかった

ルシフェルが自分に掴み掛かって来た時に(ヴィクトリアと会っていたのを知っている・・・ヴィクトリアが話したのか?)瞬時にそう確信し、隠している方がややこしくなる事もあるからと考え『会いたかったから』そう挑発した


(お前の所為で俺達が・・・あいつはそう叫んだ)

ルシフェルのその言葉に一瞬心がざわついたアルフレドは、顔を顰め

(・・・まさかその事でこいつは、ヴィクトリアを責めたのか?彼女を傷付けたか?)

この愚かな男の事だ、逆上してヴィクトリアを責める事も有り得ると思わず怒りでルシフェルを掴んだ手に力が入るが、ルシフェルもアルフレドへの怒りで手に力を入れ握り返してきた


アルフレドは部下が止めに入った時に思った(こいつとヴィクトリアには、話す時間が必要か・・・)だから二日の謹慎を言い渡した

その二日で二人の関係が仲直り出来れば良いが、修復出来ないのならそれまでだろう・・・そう考える

(ヴィクトリアを傷付けたままなら、俺が本気で奪うまでだ)

そう、心の中で呟くアルフレドはヴィクトリアを想う

(今・・・彼女はどうしているんだ?泣いているだろうか?)

自分の取った行動の所為で、ヴィクトリアに迷惑を掛け、辛い思いをさせてしまった事は申し訳ないと思う

出来ればあの愚か者の変わりに、自分が慰めたいと思うが

(ヴィクトリアが望んでいるのは俺ではなく、あいつなのは判っている・・・判っていないのはあの馬鹿だけだ)

ギリッと悔しそうに歯をかみ締め、ルシフェルに対し腹立たしさと嫉妬と怒りを抱くアルフレド



謹慎処分を食らったルシフェルは、昼過ぎにティアノーズ邸へと帰って来る

本当は自分の方の屋敷に戻るか迷ったが、暫く放置しているのでヴィクトリアとの事もありティアノーズへと戻る事にした

ルシフェルが早々に帰宅したので、ヴィクトリアは驚きながら慌てて出迎える

「ルシフェル!?どうしたの?どこか・・・具合でも悪いの?」

心配しながら自分について来る婚約者に「謹慎処分を受けたんだ・・・二日間の」ルシフェルはそう答えると自室に入るので、ヴィクトリアは驚き「謹慎って・・・どうして!?」腕にしがみ付き尋ねる


「ウェンヴィッツに掴み掛かったから」

そのルシフェルの言葉にズキッと胸を痛めるヴィクトリアは、ルシフェルを抱きしめ「ごめんなさい・・・」そう謝るが、ルシフェルは自分を抱きしめるヴィクトリアを離し

「ヴィクトリアが謝る必要は無いよ。謹慎の反省をしたいんだ、一人にしてくれる?」

ヴィクトリアに出て行ってと促す

そんなルシフェルの態度に、ヴィクトリアは胸を痛めながら首を振って「傍に居たい・・・お願い」ギュッともう一度ルシフェルに抱きつく


けれどルシフェルはヴィクトリアを離し「そんな事しなくていいんだ、俺の事は気にしなくていい」自分に縋って来る彼女を部屋から追い出そうとする

「ルシフェルはどうしたら許してくるの?アルフレド様とは話さないって言えば良いの?それで納得してくれるの?」

頑なに自分を拒絶するルシフェルにヴィクトリアがそう尋ねると、ルシフェルは真っ直ぐにヴィクトリアを見て

「でも、無理なんだろう?あいつと会って、話しをしたいんだろう?」

ルシフェルが苛立ちを抑えながら問い掛けると「放っては置けないもの・・・」そう訴え

「彼は私と同じ、ずっと孤独を抱えてるの。私は、ルシフェルに愛して貰って、友達も出来たけど・・・彼はずっと孤独のままなのよ!!」

一人ぼっちで孤独だったヴィクトリアだからこそ、彼の孤独が生み出す虚無感に気付いた

(もし、私まで彼と距離を置いてしまったら、彼は孤独の殻に閉じ篭ってしまうかもしれない)

それはあまりにも悲し過ぎる


「・・・以前、アルフレド様に愛してると言われた時、私はルシフェルが好きなのでその気持ちに答えられないと言ったわ」

ヴィクトリアのその話しに、ズキッと心が痛むルシフェル

(確かに、あいつも同じ事を言っていた・・・)

「だから、彼が私の事を愛してくれているのは知ってる・・・ルシフェルも、その事を知ってるの?」

確認するように尋ねるヴィクトリアに、ルシフェルは頷き「以前・・・ウェンヴィッツに問い質した」そう答える彼にヴィクトリア「そう、やっぱり・・・」と深い溜息を吐き

「ルシフェルを不安にさせるのは、本当に申し訳ないの。それでも・・・」


ヴィクトリアはルシフェルを抱きしめながら「それでも彼を突き放して、冷たくする事は出来ないの。ごめんなさい」そう訴える

それはヴィクトリアの優しさで、彼に対しての思い遣りだけで、愛情では無い

「ルシフェルを不安にさせない様に、もっと気に掛けて、大切にする。私が愛してるのは貴方だもの」

ヴィクトリアがそう訴えるとルシフェルはヴィクトリアを離し、額に軽くキスをすると「判った」辛そうに微笑み、ヴィクトリアを部屋から追い出す


ヴィクトリアを追い出したルシフェルは、ベッドに座り頭を抱える

(突き放したり、冷たく出来ないのは愛情があるからだ!!ヴィクトリアはそれに気づいていない・・・それだけだ!!)

ルシフェルはベッドに横になりながら、アルフレドに対する怒りが沸き起こってくる

「何が不敬罪だ!!お前は人の婚約者に横恋慕してるくせにっ、ふざけるな!!」

(ヴィクトリアもだ!!)とルシフェルは心の中で叫ぶ

(俺を不安にさせない様にもっと気を遣う?大切にする?それでどうしてあの男の事を気に掛ける!?結局、俺よりもあいつの方が大事なんだろう!?)

そう心の中で叫びながら、ルシフェルの頬に涙が伝う


(自分が馬鹿にしか思えない・・・自分でも嫌になる)

あんなにもヴィクトリアが自分を心配しているのに・・・どうしても拒絶してしまう。そうしないと自分が壊れそうになるから

(違うな・・・逃げているんだ。ヴィクトリアの優しさから・・・ウェンヴィッツに向ける、あの優しさから・・・結局、ヴィクトリアは誰にでも優しいから、俺だけに向けられる愛情では無いんだ)

段々とルシフェルはヴィクトリアが自分に向けてくれる愛情は、愛していると錯覚しているのでは?と思う様になってくる



夕食の時間になり、ヴィクトリアはルシフェルの部屋を訪ね食事に誘うが、ルシフェルは要らないと部屋から出て来ない

仕方なくサージスに軽食を作って貰い、それを持って彼の部屋を再び訪れ「少しでも食べた方がいいから」そう何度も訴え、渋々ルシフェルに部屋に入れて貰い机に軽食を置くと、ベッドに座ってうな垂れているルシフェルの隣に座る

少しでもルシフェルの傍に居たいヴィクトリアは、黙ったまま暫くそうやって二人でベッドに座っている


ヴィクトリアは全く食事を取らないルシフェルを心配し、ルシフェルはただジッと考え事をしてるように下を向いている

「・・・今日も、寝室には来てくれないの?」

不安そうにヴィクトリアが尋ねると、ルシフェルは

「俺達はただの婚約者だ。同じベッドで寝る方が間違ってたな」

顔を上げ、申し訳無いとヴィクトリアに「ごめんな、俺の我が侭に付き合わせて」そう辛そうに少し笑うと「もういいから、出て行って」そう告げると、頭を抱える様にして黙り込む


(どうしよう・・・こんな・・・)

ヴィクトリアはルシフェルの言葉に、ここまでルシフェルを追い詰めているのだとショックを受ける

(ただ・・・ただ、アルフレド様と会って、話しをしたい。それだけでここまで追い詰めてしまうの?どうして!?)

ルシフェルの気持ちが判らず、困惑するヴィクトリアだが(私は、そこまでルシフェルを傷付けているのね・・・)苦しんでいる彼を見て、ヴィクトリアはただ抱きしめるしか出来ない


ルシフェルは自分を抱きしめてくれているヴィクトリアに「一人にして」彼女から離れ、拒絶する様にベッドに入り潜り込もうとする

そんなルシフェルを見て、ヴィクトリは決心する様に「わたしも、今日はここで寝ます」と断言しるので、ルシフェルは「はあ?」と一瞬驚いた顔をしたが

「いや・・・二人は流石に狭い。それに、そんなに気を遣わなくていい。一人になりたいから出て行ってくれ」


ルシフェルの自室のベットは、どうせ使う事が無いからと部屋に置かれていた少し大きめのシングルベッドで、そもそも彼の部屋が侍女用の小部屋なのだ

ルシフェルがなるべくヴィクトリアの部屋の近くに自室をと望んだのでその部屋を使う事になり、寝室も少し離れた部屋を宛がっている


ルシフェルは何を言い出すんだと毛布を捲ると「私はルシフェルと一緒に寝たいの。だからここで寝ます」無理矢理そのままルシフェルと一緒にベッドの中に入る

「ヴィクトリア!!」

拒絶するルシフェルに「私はルシフェルと一緒がいいの」そう訴えると彼に抱きつく

抱きつかれたルシフェルは深い溜息を吐き、観念したのか無理に追い出す事はせずにそのまま一緒に横になり、それぞれの体温をお互いに感じながら二人は眠気に襲われる


「ルシフェルにこうして抱きしめられると・・・安心する」

ヴィクトリアは昨日殆ど寝ていないし、今日もずっと不安を抱いたままだったので、ルシフェルに抱かれ彼の体温を感じると安心して睡魔に襲われる

ルシフェルも自分の腕の中で、安心しながら眠たそうに胸に顔を埋めるヴィクトリアが堪らなく愛おしく感じる

「ルシフェル・・・・」

寝言なのか、安心しきった声で彼の名前を呼ぶと、ヴィクトリアはそのまま深い眠りに就く

ルシフェルも昨夜の睡眠不足と神経衰弱の所為で疲れ果てていて、ヴィクトリアを抱きしめながら深い眠りに落ちる



翌朝、ルシフェルが目を覚まし慌ててベッドから起き上がると「う・・・ん」ヴィクリアもその衝撃で目を覚ます

「今何時だ!?」

時計を見ると、八時二十分位を指していたので

「嘘だろう!?どうして誰も起こしてくれなかった!?」

遅刻だ!!と焦りながら着替えをしようとしているルシフェルに「ルシフェル・・・謹慎中でしょう?」眠たそうにヴィクトリアが起き上がりながら婚約者に伝えると、ハッととするルシフェル

「・・そうだったな」


ホッとしたようにベッドに座る彼に、ヴィクトリアは「明日まで、ゆっくり出来るのよね?」甘える様に抱きつくと、ルシフェルは「そうだな・・」と元気無く答える

ルシフェルはまだ元気は無いみたいだが、それでも傍に居られる

ヴィクトリアはギュッと愛する婚約者を抱きしめて「私はルシフェルを心から愛してるので」そう言うと彼にキスをし、ルシフェルもそのキスに応じるようにヴィクトリアの頬に手をやる


食堂に向かい、ヴィクトリアとルシフェルが揃って朝食を食べている姿にホッとする使用人達

一昨日の二人の遣り取りに、もしや初めての夫婦喧嘩?と皆とても心配していたのだ

「今日はゆっくり、屋敷で謹慎ですね」

嬉しそうに言うヴィクリアに「謹慎を嬉しそうに言われても」と溜息を吐くルシフェル

「そもそもウェンヴィッツの所為で、謹慎になったんだ」

判っているのか?あいつの所為だぞ!?と言わんばかりに不愉快な顔をするルシフェルに

「きっと私達に、気を利かせてくれたんですよ」

ヴィクトリアはパンにバターを塗りながらそう断言すると「私達が喧嘩をしてると思い、話しをする時間をくれたんです」そういう人ですよと、アルフレドを知った様な言い方にムスッとするルシフェル


「随分あいつの事を、判っているんだな?」

不機嫌な言い方のルシフェルに使用人達がドキッとし、不安そうにヴィクトリアを見る・・・地雷を踏むんじゃないか?と心配しているのだ

「じゃあ、謹慎が解けたら聞いてみて下さい。あの謹慎の二日間は何の為だったんですか?って。きっと私達の仲直りの為だと答えますよ」

そう、自信有り気なヴィクトリアに「絶対に嫌だ」とルシフェル


ヴィクトリアはそんな婚約者を見て「ルシフェルとアルフレド様は、きっと良い友達になれると思うのに。残念だわ」と呟くがその言葉にゾッとするルシフェル

「それをあいつにも言ってみたら?」

(ヴィクトリアに言われたら、あいつはどんな表情をするだろうな?)

そう考えていると、ヴィクトリアはにっこり笑って「そうね、今度会ったら言ってみるわ」と頷く

地雷を踏んだのはルシフェルの方だった


謹慎中にも拘らず自室で仕事をするルシフェルに、折角二人でゆっくり出来ると思っていたヴィクトリアはがっかりするが「世の中そんなに甘くない」と言いながら、ランドルに渡された書類の処理にかかる

今日、実はヴィクトリアはティナのお茶会に呼ばれていた

公爵の夜会の事を友人達に話す為だが、こんな事態になりどうしようと思っていたらルシフェルが謹慎で帰って来たのでお茶会には参加しない事に決めた

ティナには手紙で簡潔に、行けないとだけ知らせる

(心配させてしまうかしら?でも、あの時は詳しく書く気にはなれなかったから)

だから今回の事も簡単に手紙で知らせ、また次のお茶会で詳しく話すとだけ書く

ルシフェルが屋敷に居るだけで、ヴィクトリアは嬉しい・・・自室からルシフェルが出て来るのを心待ちに、お茶を飲む



夕方、久しぶりに二人で食事が出来て上機嫌のヴィクトリアに苦笑するルシフェル

「何時になったら忙しくなくなるの?・・・もしかして、ずっと帰りが遅くなるの?」

心配するヴィクトリアに、ルシフェルは申し訳無いと

「ここ最近、忙しいからな・・・まあ、もうすぐ長期休暇になるし、その時は何処か出掛けようか?」

そう提案すると、ヴィクトリアは嬉しそうに頷き

「良いですね、デートなんて・・・本当に久しぶりです」


一瞬喜ぶが、そう言えばこの前のルシフェルとのデートはいつだったか?と思い出すヴィクトリアに「・・・夜会には行ってるだろう?」とルシフェル

けれど「それ、デートじゃないですから」ヴィクトリアは首を振る

「それで、今日はどっちで寝ます?ルシフェルの部屋?寝室?」

ヴィクトリアが尋ねると、ルシフェルは「寝室で。流石にあのベッドでは狭過ぎる」と苦笑するので、ヴィクトリアも笑う

でも、狭いベッドだからこそ寄り添えてヴィクトリアは嬉しかったのだが

そんな二人の夫婦会話を、温かい目で見守りながら使用人達は一安心する



翌日、朝食を済ませ登城するルシフェルに「もうアルフレド様に会っても、喧嘩しないで下さいね?」心配するヴィクトリアに「さあ?あいつ次第だな」イラッとしながら答えるルシフェルに

「まあ、私はルシフェルが謹慎処分にまたなっても、嬉しいですけど」

ルシフェルの腕に手を回し、彼を見つめ「出来ればずっと謹慎していて欲しいです」嬉しそうに笑う

その愛らしい、美しい婚約者にキスをして「気を付ける」そう約束し出て行く

王城へと向かう馬車の中でランドルの小言を聞きながら、ルシフェルは愛するヴィクトリアの事を想う

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