表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶を無くした悪女  作者: 浅海
29/69

 22話 公爵令嬢のお茶会に参加する悪女

ヴィクトリアは今日、メリルシアナ公爵令嬢のお茶会に参加するのでとても緊張している

正直あまり気乗りはしないが、公爵令嬢とも上手く付き合っていきたいので思い切って招待に応じる事にした

水色のワンピースに若草色のショールを羽織り、ピンクサファイアのネックレスをして髪は下ろし、ふわっとカールしピンクサファイアの髪留めで合わせる


「ヴィクトリア様、とてもお美しいです」

今日はメイドのミムリが支度を手伝ってくれ、彼女がウットリしながら褒めてくれる

専属メイドのアメニは今日休みを貰い、沢山のお土産を持って実家に帰っているので「ありがとう」ヴィクトリアはお礼を言うと姿鏡で自分の姿を確認する

(今日は頑張って、メリルシアナ様と少しでも仲良くなれたら良いのだけど)

クラッチバックに招待状を入れ、馬車に乗って緊張しながらラードヴィッツ邸へと向かう


公爵は広大な土地を所有している者が多く、他の貴族とは違うという誇示か城の様な屋敷に住んでいる者が殆どで(※城が大きければ大きい程、より権力を誇示した形となる)ラードヴィッツ邸も立派な城の建物だった

(流石に公爵様だわ・・・)

恐ろしく広い土地の真ん中に立派な城が建っているのだが、それを遠くから目の当たりにしてヴィクトリアはより一層不安になってくる

馬車はそのままラードヴィッツ公爵の敷地内、林の中を走って行く


本来なら門番に招待状を見せてから敷地に入るのだが、ヴィクトリアが乗っている馬車はティアノーズ侯爵の家紋が入っているお陰で止められずにそのまま入る事が出来たが、招待状の提示が必要なのは伯爵以下の下位派閥の令嬢達

(公爵様が別格だという事がよく判るわ・・・皆が媚びるのも・・・)

こんな権力者と仲良くなれたら、どんなに心強いか判らない・・・特に下位の爵位の令嬢達にとっては


恐ろしく広い庭園の景色を見ながら、門から城までの距離を馬車は走り続けているので何もかもが規格外なのだと思い知らされるヴィクトリア

ティナ達伯爵以下の令嬢達が「自分達とは身分が違う」そう断言する意味を、今彼女は実感しているのだ

事実、公爵は王家の血筋の者達なのだから別格扱いが当然なのかも知れない・・・広い庭を(ほとんど林だが)通っていくと、漸く城が目の前に見えた


城傍の庭園ではすでに来賓客達で賑わっていて、お茶会というより大規模のパーティー状態だった

(・・・すごいわ・・・こんなお茶会に来て・・・・私、場違いのよう)

豪華なパーティードレスで着飾った令嬢達を見て、ティナ達とのお茶会とは全然違うと気後れするヴィクトリアは御者のドルトンに手を借りて馬車から下りるが、もうすでに帰りたいと思ってしまう

それでも頑張ってメリルシアナに挨拶をしようと、パーティーの中へと勇気を振り絞って入って行く


ドキドキと緊張しながらも周りを見て知っている令嬢が居ないか、メリルシアナ様は何処に居るのだろう?と探していると、そんなヴィクトリアを令嬢達は驚きの眼差しを向ける

「ヴィクトリアだわ」

「彼女、公爵様に楯突いたのではなかったの?」

「どうしてここに居るの?まさかメリルシアナ様に媚びる為?」

ざわざわしだし、ヴィクトリアは自分を好奇な目で見つめる令嬢達に居た堪れない気持ちになり不安をより強く抱く


(折角ここまで来たけど・・・どうしよう。知っている伯爵の令嬢も居ないし、メリルシアナ様に挨拶だけして帰ろうか)

どう考えても場違いだと思うヴィクトリアは、自分に向けられる視線を気にしながらメリルシアナが何処に居るのかと探す

そして一際人が集まって賑わっている一角を見つけ、中心にとても美しい令嬢が楽しそうに談笑していた

(あの綺麗な方が、メリルシアナ様かしら?)

漸く見つけたけれど、友人達に囲まれて近づけそうにない


(どうしよう・・あの中に無理に入って行っても大丈夫かしら?)

困ったヴィクトリアは少し様子を見て、声が掛けられないか様子を窺う事にする

相変わらず自分に向けられる視線が痛く、ヴィクトリアは極限まで緊張すると震えが来る体質なのか、その震えを押さえる為に運ばれているシャンパンを受け取り一口飲む

(落ち着いて、大丈夫・・・)

自分にそう言い聞かせながらも、不安で心が締め付けられる

(ここにティナ達やルシフェルが居てくれたら、どんなに心強いか判らないのに・・・)

そう思いながら、メリルシアナ達の様子を何度も伺う


するとメリルシアナの取り巻きの一人がヴィクトリアに気付いてメリルシアナに伝えると、メリルシアナは驚いてヴィクトリアを確認し、周りの視線に俯いている彼女の元へと向い

「ヴィクトリア、貴方も来て下さったのね。私のお茶会に来てくれて嬉しいわ」

突然声を掛けられビクッとするヴィクトリアだが、ずっと声を掛けるタイミングを見計らっていたので、メリルシアナから声を掛けれ驚きながらもホッとする

「メリルシアナ様ですね?こちらこそ、この度はお茶会に誘って下さり、ありがとうございます」

にこやかに微笑むと、周りの令嬢達は不振そうにヴィクトリアを見る

「私の方こそ、貴方が来て下さって嬉しいわ。ゆっくり楽しんで下さいね」

メリルシアナも優しく微笑む。金髪に水色の瞳の、ヴィクトリアとはまた違う美しい魅力を持つ女性だ


四大美女の二人が笑って挨拶をしている・・・その姿には神々しさが漂い、そんな二人を見て周りの令嬢達は(今日ここに来て良かった)と心から感激する程だ

不振そうにヴィクトリアを見ていた令嬢達でさえ、ヴィクトリアとメリルシアナがただ立っているだけで絵になると思うのだから

ヴィクトリアは漸くメリルシアナに挨拶が出来てホッとする

(良かった、これで漸く帰れる)

さっき来たばかりだが、ヴィクトリアは居た堪れないので帰るつもりだった


周りからの羨望の眼差しを受けているのにヴィクトリアはその視線が苦手で、逆にメリルシアナは心地良く感じていた

(やっぱり。彼女が居ると集まる視線が違うわ)

さっきまではただ自分の公爵という肩書きと、四大美女の一人として尊敬と憧れを抱く視線だったが、ヴィクトリアと一緒だと、それ以上の羨望や興味による関心の眼差しが向けられる・・・同じ美女でも、ジュリアンヌとはまた違う視線なのだ


「ねえ?もし宜しければ折角ですもの、少し話しをしない?」

メリルシアナはヴィクトリアを傍に置く為に、ニッコリと笑って優しく談笑に誘う

ヴィクトリアは帰ろうと思っていたので戸惑うが、メリルシアナの方から話しをしようと誘ってくれた事が嬉しく「はい、メリルシアナ様が良ければ」素直に頷く

その屈託の無い愛らしい笑顔に、周りの令嬢達をホウッとドキドキさせ虜にしていく

(成るほど、そうやって相手を魅了するのね)

メリルシアナは強かな性格でもあった・・・己の美貌を更に磨き上げる事に執念を燃やす、その為には努力を惜しまない。そんな女性


「中に入ってサロンで話しても良いのだけど、主催者の私がサロンに隠れてしまう訳にはいきませんから、あちらで話しましょう?」

上手く誘導し人目に付き易い、広いテラスの真ん中を陣取って話しをする事にするメリルシアナ

当然令嬢達の注目の的になるが、メリルシアナは自分が注目される事が何より快感で堪らないほどの喜び、優越感に浸る性分なのだが、けれど逆にヴィクトリアは注目を浴びるのが苦手なので「ここで・・ですか?」周りの令嬢達が自分達を見てくるその視線に恥ずかしく感じ緊張する


そんなヴィクトリアに、メリルシアナはニッコリと笑いながら

「可愛らしい方ね、そんなに緊張なさらないで。私はただ貴方と仲良くなれたらと、そう思っているのよ?」

優しく穏やかに笑う彼女に、ヴィクトリアは顔を赤らめ(何て優しい、穏やかな人なんだろう)彼女となら上手く付き合っていける、そう感じ「メリルシアナ様にそう言って貰えたら、私も嬉しいです」本当に嬉しそうに笑うヴィクトリアの表情に、ざわつく令嬢達


悪女と呼ばれていたヴィクトリアが、記憶を無くして別人になったという噂は当然この場に居る令嬢達は知っている

今、目の前でメリルシアナに顔を赤らめ嬉しそうに笑う彼女を見て(本当に別人だわ・・・)そう実感する

なぜなら悪女ヴィクトリアの笑みは、自分に自信のある不適な笑い方をする・・・傲慢さが漂っていたから



お茶会に参加している令嬢達の視線はメリルシアナではなくヴィクトリアに集まっているが、当然メリルシアナはその事も計算している・・・自分より目立つヴィクトリアを傍に置くリスクを

それはヴィクトリアを傍に置く事で、他の公爵に対する実は牽制でもあったから

まだ公爵の誰も、ヴィクトリアを取り入れられていない

メリルシアナが今、社交界で最も注目され噂の的となっているヴィクトリアを派閥に取り入れられれば、当然社交界では彼女に誰もが一目置き、他の公爵令嬢とは格が違うと知らしめる事が出来ると考えている


もちろんヴィクトリアにそんな事は判る筈もなく、メリルシアナは優しく良い人だと思い込んでしまっている

当然の事ながら、このお茶会に参加している他の公爵令嬢達は自分達を無視してヴィクトリアとメリルシアナがお茶会の中心になっている事に腹立たしさを感じ、二人の様子をイライラしながら窺っている


「私達、とても気が合うと思うわ。何だか、初めて会った気がしないもの」

ニッコリと殺し文句並みの言葉でヴィクトリアと親密になろうとするメリルシアナに、ヴィクトリアは首を傾げる

(初めて会った気がしないとは、どういう事かしら?)

メリルシアナはヴィクトリアに声を掛けた時、初めましてとは言わなかった

親しそうに自分に様を付けず呼んだのだから、てっきり彼女は悪女だった時の自分と面識があると思っていたのだが、記憶を無くした自分に対してだろうか?とも考えたが、それでもそんな言い方はしないと思うヴィクトリア

「そうですね、メリルシアナ様はとても話し易いです」

疑問に思いながらもヴィクトリアは、当たり障りの無い返事をする


楽しそうに話しをしている、そんな雰囲気を出す為にメリルシアナはよく笑い、ヴィクトリアも素直に彼女が楽しそうに笑ってくれるのは嬉しかった

自分との会話に笑ってくれるのは、相手は自分に好意を抱いていてくれ楽しんでくれているから・・・でも、当然それもメリルシアナの計算

どれだけ自分達の気が合って、仲良く楽しんでいるかを周りの公爵令嬢達に見せ付けているのだ

そしてその結果、周りの令嬢達の羨望の眼差しと公爵令嬢達の嫉妬の視線を向けられるのだが、その視線をヴィクトリアのお陰で一身に受ける事が出来て、大満足のメリルシアナ


(最高だわ、ヴィクトリア。貴方が居れば、私は注目の的ね)

令嬢達が自分達に注目しているので、その快感が小気味良くメリルシアナは

(今のヴィクトリアの扱いは簡単だわ。ちょっと優しく声を掛け、微笑んであげれば良い。それで相手に好意を持つ)

嬉しそうに自分に笑い掛けているヴィクトリアを見て、優しく微笑み返しながら

(どうしてアルフレドはこんな馬鹿な女に興味を持つのかしら?世間知らずの愚かな娘に、彼が興味を示すなんてあり得ない)

メリルシアナは、アルフレドがヴィクトリアに好意を抱いている噂を当然耳にして知っている


その事をアルフレドに問い質すと、彼は冷やかに「それは私と彼女の事で、貴方には関係ない」としか答えてくれなかった

(否定しないって事はね、認めたって事と同じなのよ)

メリルシアナは、自分がアルフレドに好意と持っている事を知っている癖に、素っ気無い彼にも苛立ちを感じていた

(まあ、でも良いわ。ヴィクトリアが私と仲が良いと知れば、貴方も少しは私に興味を持ってくれるでしょう?アルフレド)

メリルシアナはアルフレドを想いながら、不敵な笑みを浮かべる


「随分と楽しそうね、メリル。私も話しの仲間に入れて貰っても良いかしら?」

カトリナーヴァ・リオンヴィッツが声を掛けて来る。金髪に赤い眼をした美女だ

(来たわね。どうせ邪魔が入るとは思っていたわ)

「あら、カトリ。私は構わないのだけど、ヴィクトリアはどうかしら?」

メリルシアナはヴィクトリアの意見を聞いているようで、彼女が一瞬でも戸惑ったら即座に断るつもりで居た・・・『ヴィクトリアは嫌がっているみたいだから』という形で


ヴィクトリアは戸惑いながら、メリルシアナが愛称呼びをしたカトリナーヴァをジッと見る

(この方も公爵様・・・?)「私は・・・」ヴィクトリアは構いませんと答えようとした時

「ごめんなさい、ヴィクトリアは貴方を怖がっているみたいだから」

メリルシアナはそう断わると、ヴィクトリアを庇う様に「あまり恐がらせないであげて頂戴ね」カトリナーヴァに向こうへ行ってくれる?という感じの視線を投げる


「えっ?」

驚いたのはヴィクリアだった

(私、怯えた様に見えたのかしら?だとしたらとても失礼な態度を・・・)

不安そうにカトリナーヴァを見ると、彼女はムッとしていた

「あ、あの、私は構いません。怯えたつもりはなかったのですが、緊張してしまって・・・」

ヴィクトリアは慌ててカトリナーヴァにそう弁解すると「そう?それなら良かったわ」ムッとしていたカトリナーヴァは、メリルシアナを見てから

「私も、貴方が恐がってる様には見えなかったから安心して」

にっこりとヴィクトリアに笑い掛けてくれたのでヴィクトリアは安心すると、メリルシアナも笑顔で

「ヴィクトリア。折角のお茶会ですもの、ゆっくりと座って話しましょう」

邪魔なカトリナーヴァが話しに加わって来た

これは他の公爵達も来るに違いないと考えたメリルシアナは、城の中へと入り席を設けてこれ以上は増えない様にと目論む


「えっ?ええ・・・でも」

困惑するヴィクトリアに、メリルシアナは「どうかして?」と優しく尋ねる

「メリルシアナ様はこのお茶会の主催者ですので・・・その、私なんかとずっと話していて、大丈夫なのでしょうか?」

当たり前の事を尋ね、それを聞いてカトリナーヴァが吹き出す

「クフッ、それは・・・本当にそうね。貴方いつまでヴィクトリアの傍に居るつもり?他の招待客の相手もしないといけないのでは?」

可笑しそうに笑いながら、メリルシアナに貴方こそ他の来客の相手をしなさいと促す


「そんな事、気にしないで?私は貴方と仲良くなりたいから一緒に居るの。私とお友達になるのは嫌かしら?」

優しく微笑みながら伺う様に見つめるメリルシアナに、周りの令嬢達が「すごく綺麗・・・」と感嘆をあげる

ヴィクトリアはメリルシアナに仲良くなりたいと言われ、顔を赤く恥ずかしそうに「それは・・・そう言って貰えたら嬉しいです」微笑み返すので「可愛い・・・」その場に居た令嬢達が、ヴィクトリアのその堪らない愛らしい表情にキュンッと釘付けとなる

(・・・これは計算して遣ってるのかしら?それとも天然?アルフレドはこういう女に弱いの?)

そんなヴィクトリアに、少し苛立ちを覚えるメリルシアナ


カトリナーヴァを交えて談笑するヴィクトリア達は、まさにこの場の中心に居て令嬢達の羨望の眼差しを集め、他の公爵令嬢達は忌々しげに睨んでいる

その視線にヴィクトリアは居心地が悪く、メリルシアナは心地良かった・・・そしてそんな二人を見て、カトリナーヴァは笑う

ヴィクトリアは気付いていないが、このメリルシアナ公爵令嬢のお茶会に参加した事で、公爵令嬢達による熾烈なヴィクトリア争奪が始まったのだ


今この場に居る公爵令嬢達は皆、自分達よりも注目を浴びているヴィクトリアに嫉妬し、そして彼女の価値を確認する

ヴィクトリア・ティアノーズ。何故か彼女は大衆の注目を浴びる、華やかな存在だと

大袈裟でなく社交の場とは令嬢、貴婦人達にとって、自分達の権力・立ち位置を取り合う命の遣り取り、戦場に似ている


社交界でいかに華やかで存在感があり、周りの視線を集め注目されているか。そしてその立ち位置においての、己の発言力にどれ程の威力があるのか・・・

殆どの公爵令嬢や貴婦人は、その立ち位置を手に入れるのに躍起になっている

己の存在価値で既に手に入れている権力や見た目の華やかさだけでなく、周囲に羨望の眼差しで注目を浴び、支持される事で得られる発言力の重さ・・・まさに、女王の様に振る舞える立ち居地

今、最も社交界で常に話題が挙がり噂が飛び交うほど注目され、影響力すら与えていると言われているヴィクトリア・・・その為に彼女を派閥に取り入れた公爵令嬢がその女王の立ち位置を手に出来ると思われている



何時の間にかヴィクトリアの周りには侯爵令嬢達だけでなく、伯爵令嬢や数人の公爵令嬢達も集まって談笑に加わっていた

彼女達がヴィクトリアに声を掛ける度にヴィクトリアが嬉しそうに答えてくれるので、そのまま一緒に話しをする流れになっていったのだ

当然それを面白く思っていないメリルシアナだが、彼女は馬鹿ではない

とても嬉しそうに笑いながら「ヴィクトリアは誰にでも気さくね、素敵だわ」と笑って褒めるが、内心では

(折角わざわざ煩わしい公爵達が寄って来ない様ソファーで寛ぐ為にと座っても、これじゃあ意味がないじゃない。誰にでも愛想良くするなんて、馬鹿じゃないの?)

イライラが募っていたが、それでも視線の中心は自分にあるのでそれで満足する事にする

最もこのお茶会の本当の中心は、集まった令嬢達に恥ずかしがりながらも嬉しそうに楽しく話しをしているヴィクトリアなのだが


思っても見なかった楽しいお茶会になり、ヴィクトリアは改めてメリルシアナにお礼を伝える

「今日はとても楽しかったです。お招き戴いて本当にありがとうございました、メリルシアナ様」

嬉しそうに喜んでいるヴィクトリアに、メリルシアナもニッコリと微笑んで「こちらこそ、楽しい一時でしたわ」そう伝えるとヴィクトリアに近づき「私、貴方がとても気に入ったわ。良ければまた、遊びに来て下さいね」その言葉にヴィクトリアは違和感を感じるが、優しく笑う彼女にヴィクトリアも笑顔で答える


『二人の美女が笑い合う姿は、とても綺麗で絵になる~』

ヴィクトリアとメリルシアナ、二人の四大美女のツーショット姿を遠巻きに見守りながら令嬢達が噂しながらはしゃぐその視線を感じながら、メリルシアナは満足そうに微笑む

(ヴィクトリアはこれで私の派閥に入ったも同然。でも、彼女には派閥に居る事を悟られない様にしないと)

もし派閥に入れられたと知ったら、距離を置かれる可能性もあるので気を付けないと、そう考えるメリルシアナはヴィクトリアを既に手に入れた気になっている



ヴィクトリアが馬車に乗り込もうとした時、カトリナーヴァから「ヴィクトリア、ちょっと良いかしら?」と声が掛けられる

彼女は笑みを向けてヴィクトリアに近づき

「メリルシアナには気を付けなさい。貴方がどうしてこのお茶会に参加したかは知らないけど、彼女は・・・彼女だけじゃないわ、公爵令嬢達は貴方を手に入れて、利用しようと躍起よ」

そう忠告すると「それじゃあね、可愛らしい侯爵令嬢さん」さっさと行ってしまう

ヴィクトリアは彼女の言った言葉に凍りつき(なに?どういう事・・・・?)不安に駆られる


馬車の中でヴィクトリアは、不安を抱きながら考えを巡らす事になってしまった

(メリルシアナ様には気を付ける様に?・・・・とても優しい方だと思ったけれど・・・)

でも、ヴィクトリアも違和感を感じていた

最初に会った時の『初めて会った気がしない』や『貴方が気に入ったわ』という言葉

(気に入っただなんて・・・普通なら好きになったとか、気が合うとか、そう言うのでは?)

まるで上から言われた様な気がしたが、勿論相手は公爵だ。上からの物言いは仕方がないと思っていた


けれど『貴方を怖がっているみたい』カトリナーヴァにそう言った事が気になる

(どうしてあんな事を言ったの?本当に私が怯えてる様に見えた?)

ドキドキしてきて不安になるが、それ以上に

『彼女だけじゃない。公爵令嬢達は貴方を利用しようと躍起よ』

その言葉がとても恐ろしく(利用って何?私を何に利用するの?)自分に利用する価値等無いのに、意味が判らないとヴィクトリアは怖くなる


(折角ルシフェルの為にと勇気を振り絞って参加したお茶会なのに、楽しく過ごせていた筈なのに、メリルシアナ様の優しい笑顔や対応は・・・自分を利用する為だったの?)

そもそも、どうしてそんな事をカトリナーヴァはわざわざ伝えに来たのか?混乱するヴィクトリアは頭を抱える

(どうしよう、公爵様のお茶会など行かなければ良かったの?・・・こんな事、ルシフェルには相談出来ない。また迷惑を掛ける・・・)

ヴィクトリアはメリルシアナの事を、これからどう付き合っていくか必死で考える


(ルシフェルには絶対に相談出来ない。そう、カトリナーヴァ様の嫌がらせかもしれない。メリルシアナ様はアルフレド様と仲が良いのだもの、きっと悪い人では無い筈・・・)

だが、ヴィクトリアは勘違いしていた・・・アルフレドはメリルシアナと仲が良い訳ではなく、ましてや好意を持ってなどいないのだ

ヴィクトリアは不安を抱えながら、屋敷へと帰る



夜遅くに帰って来たルシフェルに、お茶会はとても楽しかったと話すヴィクトリア

「・・・そうか、その招待してくれたメリルシアナ嬢はどんな人だった?」

尋ねるルシフェルに、ヴィクトリアは笑って「とても優しい方よ。穏やかな口調の・・・」そう説明し

「それにとても綺麗な方だったわ」

珍しく相手の容姿を褒めると、それに驚くルシフェルは「へえ、そんなに綺麗だったのか?」綺麗という言葉に興味を持った彼に

「・・・ルシフェルもやっぱり、綺麗な人には興味があるわよね?」

「いや、ヴィクトリアが容姿を褒めるからだ。自分の容姿だって無頓着だろう?

顔を曇らせるヴィクトリアを、ルシフェルは笑いながら抱き寄せて来る


「お茶会では始終、皆の注目の的だったわ・・・あんな綺麗な方だもの、当然よね」

ヴィクトリアが溜め息を吐くと「ふうん」とルシフェルはあまり元気の無い愛する婚約者を見つめ

「それで?楽しかった割には、あまり嬉しそうじゃないな?」

(そう、まだ何か遭った訳じゃないもの・・・気にし過ぎは良くない。カトリナーヴァ様の嫌がらせ・・・とは思いたくないけど)

ヴィクトリアは自分を抱きしめてくれている、頼りになる婚約者の役に立ちたい・・・その一心でお茶会に出向いたのだ

(だからルシフェルにはこれ以上、心配と迷惑を掛けたくない、負担になりたくない)

「楽しかったのだけど、皆の視線が辛かっただけ。私、あまり注目されるの好きじゃないから」

(ルシフェルは勘が良い・・隠し事は出来そうにない。でも、何でもないって顔をしないと)


「でも、大勢の人と話しが出来て、楽しかったわ」(そう、それは本当)

「そうか」

ルシフェルはヴィクトリアの頬にキスをして「まあ、何か遭ったら俺に相談してくるだろう?」そう優しく笑う彼に、ヴィクトリアも笑って頷く

(本当は、そうならない事が一番良いのだけど・・・)

彼に相談するという事は、また迷惑を掛けてしまうという事になる

不安を抱きながらも、ギュッと自分を抱きしめてくれるルシフェルを心から愛おしいと思うヴィクトリアは、今後の公爵令嬢との付き合いにより悩まされていく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ