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国民総医療戦士時代

作者: たなか

 かつてVR技術の著しい発展により、人々は例外なくその魅惑的な世界にどっぷりとのめり込み、国民総ゲーマー時代と言われたことがあったそうです。私が産まれる遥か昔の話ですが、当時はかなり深刻な社会問題になっていたそうです。それが今では国民総医療戦士時代と言われているなんて、何だか不思議な気がします。


 私も今から『医療行為』を始める訳ですが、別に詳しい知識を持ち合わせている訳ではありません。


 まずは1錠のカプセルを飲み込みます。さらにコンタクトレンズとイヤホンをつけ、首の後ろに小さな丸いテープを貼ります。最新機種だとこのテープだけで済むそうですが、私の薄給ではとても手が届きそうにありませんでした。


 さてと……視界良好。偽足の動作も問題なし! これで私は「白血球好中球EX」へと無事に変身しました!! やるべきことは簡単。私の体内で狼藉を働き、夏風邪を引き起こしている憎き細菌共を、徹底的に根絶やしにするだけです!!!


 詳しい仕組みは素人の私にはよく分かりませんが、先程のカプセルの中に含まれている無数のナノマシンのうち一体を遠隔的に私がVRで操作しているそうです。本来なら好中球は細菌を飲み込んで殺菌・分解した後、息絶えてしまうのですが、ナノマシンの私にはそんな制限ありません。ただ、一人で天文学的な数のウイルスを相手にできるはずがないので、私の動きをトレースし学習した他のナノマシンとのマルチプレイで戦っていきます。


 最近の中高生はカップルでの討伐デートなどという破廉恥な行為をSNSにあげたりしているみたいですが、うらや……はしたないにも程があります! 自分の体内に異性を招き入れるなんて……実質性行為ではありませんか!!


 燃え上がる嫉妬の炎をエネルギーに替えて、バッタバッタと細菌共を切り伏せていきます。私はFPSが苦手なので、日本刀(を模したウイルスを即時分解する酵素の注射器)で接近戦を挑むプレイスタイルです。


 あっという間に目標討伐数クリアのウィンドウが表示されたのでログアウトしました。先程まで止まらなかった鼻水も、上がり続けていた熱もすっかり治まり、見事に完全復活です!


 伸びをして、深呼吸した後、気合を入れ直して再びVRの世界に入る準備をします。何と言っても本番はこれからなのですから。今日は月に一度の大規模婚活パーティーの日。体調も万全に整え、肩慣らしに恋愛シミュレーションも20周ほどこなしてきました。


 今日こそ生涯のパートナーを見つけ出し、ソロ医療戦士を卒業してやる!!!


 闘志を漲らせて、ドレスアップした私は華やかな会場へと一歩を踏み出しました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは。 カップルで討伐デート!! なんて破廉恥! 笑ってしまいました。 けれどそんなこと言いながら主人公も近いうちに破廉恥なデートを楽しむことになりそうです。 がんばれ医療戦士…
[良い点] なるほど!マツ●ヨで風邪薬を買って飲む感覚で、医療キットを使って自分の体内のウイルスや菌を倒すわけですね。 昔はゲーマーだった自分はちょっとあったら良いなと思ってしまいました
[良い点] どれだけ技術が進歩しようと人の本質は変わらないんですね。 恋愛!恋愛!恋愛! [気になる点] ところで協力プレイが実質性行為ということは、一人プレイだと実質オナゲフンゲフン
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