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昼⑪ 魔王VS勇者

今回は海藤と万丈の対決です。


 崩壊したビル。ひび割れた大地。それらを包み込む燃え盛る炎。

 まるで地獄絵図だと、この光景を見た誰もがそう思うだろう。

 だが、これを1人の人間が起こした災厄だとは、恐らく誰も思うまい。


「でもさー、実を言うと俺めっちゃびびってたんだよねー。この3回戦が始まるとき、女神が異能をシャッフルするなんて言うからさー。空木勇馬が元々持っていた異能だけじゃなく、俺のジョーカーもシャッフルされちゃうんじゃないかってさ。けどそうじゃなくてほっとしたよ。おかげで、こうして小間君の苦しむ顔が見れた。まぁでも、ジョーカーの異能でコピーしていてもターゲットは回収しないといけないみたいだから、やっぱ面倒くさいかな~」


 一式和人。51個の異能をコピーした怪物がけらけらと笑い、ぺらぺらと饒舌に話す。

 なるほどな。そういえば3回戦について女神が説明してる時に、一式……空木勇馬がやけに驚いていたが、あれはそう言う事だったのか。


「しかし随分楽しそうじゃねぇか、一式よぉ。俺が苦しむところが見れて満足か?」


「まぁね。俺、結構根に持つタイプなんだよねー」


 そう言った直後、一式の全身を紫のオーラが覆う。


攻撃ガード最大アンド防御ストーカー。折角だから、小間君と同じ異能で戦ってあげるよ」


「クソが……舐めやがって」


 俺は視界に映るライフゲージを確認する。

 結構減ってやがる。さっきの一撃が思ったより効いたみたいだ。


「ほら立ちなよ小間君。こっちは全然殴り足りないんだからさぁ!」


「……上等だ。叩き潰してやるよ」


 俺と一式は、同時にガドストの紫のオーラを巨大な2つの腕へと形態変化させた。


「死ねやコラァッ!!」


 同時にガドストのパンチラッシュを放つ俺と一式。

 拳と拳の高速のぶつかり合いは衝撃波を生み、周囲の瓦礫を吹き飛ばすまでに激化した。



--------------------


一方。

伝説の竜を右腕に宿した魔王・海藤咲夜と、黄金の剣を持つ勇者・万丈龍之介は辺り一帯を吹き飛ばすほどの激戦を繰り広げていた。


「ハァ!!」


 万丈は、電光石火の如き速度で何度も海藤を斬りつける。その斬撃の余波だけで大気が揺れ、周囲のビルが吹き飛ばされる。まさに疾風怒濤の連撃。しかし……


「……ふあァ~ア」


 本来ならばとっくに細切れになっているであろう当の海藤は、あろうことか欠伸をしながら万丈の怒涛の連撃を弾き返していた。

 いや……正確には海藤の右腕の竜が、全ての攻撃を弾き返していた。


「反則級の力ってのは味気ねェもんだなァ。なァ? 勇者サマよ」


「なら、速度を上げるのみだ」


 宣言通り、先ほどよりも速い連撃で海藤を斬り続ける万丈。しかし……

 斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く斬る弾く……延々とこれの繰り返しで、状況はまるで一変しなかった。


「オイオイ。マジで脳筋だなァ勇者サマ。この竜のオートガードは速いなんてレベルじゃねェ。攻撃がオートガードの射程圏内に入った時点で無効化される事が決まっている……オマエがどんなに速く動こうが、裏をかいた攻撃を使おうが、全てを無に帰す。そんな絶対的なチカラなんだよ」


「くっ!」


「諦めな。素の状態でもオレに敵わないオマエが、今のオレに勝てる確率はゼロだ。さっさとターゲットを手に入れてゴールしちまいな。それとも、一か八かでオレに宣告を使ってみるか? 運が良ければ一発でオレを殺せるぜ?」


「ふっ。貴様が俺をみすみす逃がすとは思えんな」


「そりゃそうさ。オマエには前世で世話になったからなァ。確実にオレの手でブチ殺す。あはァ……考えてたら興奮してきたァ。どうやって殺そっかなァ。バラバラにしたら軽く炙ってソテーにしちまうのもいいかもなァ。そしたらいイ生贄二ナルカナァ? ソシタラワレモ喜ブゾォ。フハハハハッ!! あ、その後だったら逃げてもいいからね、万丈くん。僕は本当は誰とも争いたくないんだ」


「……何を言っているんだ、お前」


 支離滅裂。いくつもの人格をぐちゃぐちゃにかき混ぜたような海藤の言葉に、得体の知れない気持ち悪さを覚える万丈。前世で戦った時も、海藤は不気味な存在だったが……それでも、ここまで異常ではなかった。


「えははァ……なーんか気分が良くなってきたなァ。よし殺そう」


 突如、右腕の竜を万丈に向ける海藤。


「ドラゴンブレス……確か小間の野郎はそう言ってたっけかァ?」


 その瞬間、まるで火山の噴火のような業火が、右腕の竜から放たれた。


「くっ!」


 一瞬にして広範囲を焼き払う威力の炎。万丈はそれを上に跳んでなんとか躱す。


「ギャハハァ! よく燃えるなァ! 最上級の炎属性魔術に匹敵する炎……小間の野郎、つくづくいい異能じゃねェかァ!」


 続けて、何発も炎の大砲を放つ海藤。

 炎の大砲の1発の大きさは直径100メートルほど。しかもそれが何発も放たれたため、如何に万丈のスピードといえど躱すのは容易ではなかった。


「……水属性魔術・大海水アクアマリン!」


 所謂、魔術詠唱と呼ばれるものを唱えた万丈。

 その詠唱と共に、巨大な水の塊が万丈を覆い尽くす。竜から放たれた炎の大砲は水の塊とぶつかり合い、大量の蒸気を発生させた。炎の大砲を全てかき消し、万丈はビルの屋上へと着地する。


「やはりな。その伝説の竜は、防御に関しては無敵の域だが、攻撃は決してそうではない」


「ククッ。とはいっても最上級魔術に匹敵する威力なんだがなァ。そこは腐っても勇者ってワケか」


 海藤は首をゴキゴキ鳴らす。

 すると、海藤の背中から、パキバキ……という、何かが殻を破って出てくるかのような音が聞こえてきた。

 バキバキッ! と、音の勢いが増した次の瞬間。

 海藤の背中から飛び出したのは、数メートルほどの竜の翼だった。


「……それも伝説の竜の力、という事か」


「小間がこれを使ってるのは見たことないがなァ。あの野郎、随分テキトーにこの力を使ってたらしい」


 海藤は竜の翼を羽ばたかせ、一瞬で万丈と同じ高さまで飛翔し、さらに勢いをつかせ万丈に向けて翼を振るう。

 すると、ゴウッ!! という勢いと共に、巨大な竜巻が発生する。


「クハハハハハァッ!!」


 竜巻は一瞬で万丈の立つビルを破壊した。万丈はこれを躱すも、竜巻はさらに凄まじい速度で万丈を追う。


「炎・雷属性魔術・火雷大神ほのいかづち!」


 万丈は再び魔術詠唱を唱える。先ほどまでとは違い、炎属性と雷属性の融合魔術の詠唱だ。

 詠唱と共に、万丈が持つ剣「アテナ」が炎と雷を纏い、神速の斬撃で巨大な竜巻を切断してかき消した。

 しかし、かき消した竜巻の奥に海藤の姿は無かった。


「クハハァ! まァそう来ると思ったぜェ!」


「しまっ……!」


 竜巻を囮にして万丈の背後に回っていた海藤は、振り向いた万丈の腹部に蹴りを放つ。

 弾丸のような勢いでビルを貫通し、そのまま地面に直撃する万丈。


「くっ! ……ゴールデン不死鳥フェニックス!」


 しかし万丈は即座に異能を使い、全身の傷を再生させ、さらにライフを全回復させた。


「便利だよなァ、その鳥。無限の再生と回復能力。おまけに光属性……オマエとの相性抜群の異能だなァ」


 海藤は翼を使い宙に浮きながら、首をゴキゴキ鳴らす。


「しかしとことん運がねェなァ。オレがこの竜を手に入れてなかったら、恐らく勝っていたのはオマエだった」


 海藤は右腕の竜を空に掲げる。

 竜の口から炎がバーナーのように放出され、10メートルほどの剣のような形状へと変わる。


「宣言通り、オマエは炙り焼きにしてやるよ」


 海藤が巨大な炎の剣を、万丈に向けて振り下ろす。


「水属性魔術……」


 万丈が再び水属性魔術で応戦しようとした、その時だった。


 目の前に赤い髪の少女が現れ、回し蹴りで炎の剣をかき消した。


「やーっと見つけたわよ海藤。アンタは私が倒す!」


「お前は……くれないクレア!」


 万丈の目の前に現れたのは、肉弾戦最強の少女・紅クレアだった。



お読みいただきありがとうございました。

次回はクレアVS海藤です!

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