表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/103

夜③ 事件

事件だ事件


 自室、27番の部屋にて。

 俺、小間竜騎は紅クレアに、自分がこの神の間に来ることになった経緯を話していた。


「まぁつまりだ。俺は親父からの暴力が原因でグレにグレて他校の優等生を殴ったことで高校を退学になった後にヤク漬けになった親父に我慢の限界がきてとうとう殺しちまって挙げ句自分の人生にもヤクの過剰摂取でトドメを刺しちまった男……って訳だ!」


「……」


 俺はなるべく重い空気にならないように、明るく早口でポップに、自分の人生をまとめて見せた。

 さぁ。外見は赤髪美少女、中身はメスゴリラの紅クレアの反応は如何に……?


「お、重すぎるわよ……」


 まぁそうなりますわな。


「その……なんて言っていいか分からないんだけど……」


 言い淀んだ様子のクレア。


「辛かったんだね……小間も……ぐすっ」


 そして何故か泣き出す始末。


「いや、なんでお前が泣くんだよ」


「ぐすっ……だって……辛すぎるもん……」


「お前、俺の話聞いてたか? 確かに俺は親父の暴力の被害者だ。だが、それ以上に俺は他人を傷付けてきた。おまけに俺はお前の彼氏を殺してるんだぞ? 2回戦で同じチームで戦ったから仲間意識でも芽生えてんのかもしれないが、そんな相手に同情なんて間違ってるだろ。仲間ごっこなら来世でやれ」


 俺は自分の事を思って泣いてくれている女の子に対して、こんな言葉しかかけられなかった。我ながら本当に嫌になる。


「その……殺すとか、そういうのはちょっと……」


「俺が憎いんじゃなかったのかよ」


「……確かに和人をアンタに倒された時は、心の中滅茶苦茶だったけど……こんなぶっ飛んだバトルロイヤルに巻き込まれたら、人の事考えてる余裕ないっていうか……自分が生き残るためだったら仕方ないとも思う……」


 普段ハキハキ喋るクレアにしては、継ぎ接ぎだらけの言葉だった。


「お前は俺を憎んで、嫌っていればいいんだよ」


「もう憎んでないよ……。まぁ嫌いは嫌いだけどさ」


「おい」


「くすっ。あはは」


 ぱぁっと子供の様に無邪気に笑うクレア。普段のゴリラっぷりからは想像ができない可愛さだった。

 あぁ、そういえばこいつすげぇ可愛いの忘れてたわ。(今更)


「……あれ? てゆーかさ」


 何かを思い出した様子のクレア。


「小間ってまさか、2017年に亡くなってたりする?」


「え? あぁそうだったかな」


 俺が死んだのは2017年の4月だった気がする。


「私が交通事故に遭ったのって2020年なんだよね……これどういうこと?」


「……本当か?」


「う、うん」


「てか、何で俺が死んだのが2017年だって分かった?」


「ニュースで見たのを思い出したの。2017年頃、自宅で変死した男子高校生の話。そっか、あのニュースの高校生が小間だったんだね」


「そうなのか……。まぁ死んでからすぐに神の間に来る訳じゃないってことだな」


 どうやら、神の間に来るタイミングにはズレが生じるらしい。てっきり、皆2017年に死んだんだと思っていた。まぁ海藤みたいな異世界から来た奴は除くが……。

 となると、今人間界では俺が死んでから何年経っているか分からないということか。クレアが死んだのは2020年らしいが、下手すりゃそこから10年くらい経っていてもおかしくはないということか。

 まぁ、死んだ今となっては関係の無い事だが。


「しかしよく覚えてたな。そんなニュース」


「その時期って、私たちの近所で起きた事件が立て続けに報道されたからね。小間の事件とか、高校生が連続殺人を起こしたりとかね」


「はぁん。その連続殺人は聞き覚えが無いから、俺が死んだ後の話なんだろうな。つかお前、俺とご近所さんだったんだな」


「そうみたいだね。しかも私2017年の時は中学2年生だったから、小間って私より年上かも」


「でもお前が2020年に死んだってことは今は高校2年生だろ? 俺は死んでから年取ってないし、タメじゃん」


「確かに。それもそっか」


 何だかクレアが一気に身近な人物に感じてきた。

 どうでもいい会話を繰り返し、そう思った。


「あーなんかすっきりしたかも。私もう行くね」


「あぁそう。ご自由に」


 言葉通り、少しすっきりした表情で部屋を出ようとするクレア。

 それはいいのだが、そんなクレアの後姿を見て、何故か俺は少し寂しい気持ちになった。


「……なんでだ?」


 まぁ、うるさい奴がいなくなって静かになれば誰でもそう感じるか。

 俺は適当に結論付けた。

 そんなことを考えていた、次の瞬間……


「きゃあぁ!」


 突如、部屋のドアを開けたクレアの叫び声が聞こえてきた。


「なんだよ。ゴキブリでも出たか?」


「……おり……スさん」


 俺のクソ冗談に返すこともなく、クレアはドアの先の廊下を見つめ続けていた。

 俺もクレアの元へ駆けつけ、廊下を見る。


「……なんだこれ」


 そこには、床から生えた鋭利な突起物で体を刺された、砂肝汐里すなぎもしおり出部栖でぶすマキナが横たわっていた。



お読みいただきありがとうございました。

誰が砂肝とデブスをこんな目に遭わせたのか。

次回、明らかに?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ