昼⑱ ボーナスタイム
異能をご紹介
海藤咲夜
異能:念動力
不可視の念力を使って、物体や自身の体を浮遊させたり、念力を一点に集中させて攻撃したりと、汎用性の高い能力。使用者の海藤咲夜によって、通常以上に性能が引き出されており、さらに強力な能力となっている。
『皆さま。2回戦のモンスターハントバトルも残すところ1時間となりました』
どこから流れているのか、バトルロイヤルの主催者である女神の透き通るような声がフィールド全体に響き渡った。
『そこで、残り1時間はボーナスタイムとさせて頂きます。ボーナスタイムの詳細はこちらになります』
女神がそう言うと、各プレイヤーの目の前に映像が映し出される。そこには以下の通り記載されていた。
ボーナスタイム
① モンスターの得点が2倍
② ボーナスモンスター出現(与えたダメージに応じて点数加算)
『以上になります。皆さま、最後まで諦めずにチームで協力して戦って下さい。それでは』
淡々とそう言うと、女神の声は聞こえなくなった。
「ク八ッ。どうやら2回戦はここからが本番みてェだな」
海藤咲夜は、西園寺を殺した人影に向かって話しかける。
「んじゃ、オレも行くとするかねェ。オマエも自分のチームに戻るんだなァ」
海藤はそう言うと、サイコキネシスを使ってどこかへ飛んで行ってしまった。
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「ボーナスタイムかー。なんかめんどくさいなー」
広々とした草原にて。
チーム4の桃木瞑亜は気だるそうにそう言った。
「けど、けんちゃんとゆーまちんとは森ではぐれちゃったし、わたし一人で戦ってもなー」
「メアちゃん!」
「おーけんちゃん。無事で何よりー」
「なんとか逃げ切れたよ。まさかレベル80以上のモンスターが何体も出てくるなんてね。インフレにもほどがあるよ」
「それねー。皆一目散に逃げだしたからどうなることかと思ったけどー、なんとかなるもんだねー」
疲れた様子で話すチーム4の葉山健に対して、のほほんと返す桃木。
「ゆーまちんは?」
「分からない。無事だといいんだけど」
「まぁ1人じゃなきゃとりあえずいーやー。けんちゃん、モンスター狩りに行こうよー」
「え? あ、うん。……そうだね」
この2回戦をゲーム感覚で楽しんでいる桃木に、少し感情の齟齬を感じる葉山だったが、2回戦は残り1時間なので、とりあえず切り替えることにした。
「じゃーいこー。ん? けんちゃん、あれなにかなー?」
「……なんだあれは?」
桃木が言う方向に目を向ける葉山。
雲一つない青空。
そこには、数キロメートルほどの巨大な白い球体が浮かんでいた。
「いくらなんでもデカすぎる……あれもモンスターなのか……?」
「そうみたいよー。けんちゃん。あの白いボールの上見てみ」
桃木の言う通り白い球体の上に目を向けると、そこには他のモンスターと同様にステータスが表示されていた。
「終焉の大天使 : Lv99」
レベル99。これまでとは遥かに桁が違うモンスターの出現。
だが、桃木と葉山が驚いたのはレベルではなく……
「嘘だろ……こんな奴、どうやって倒すんだ……」
終焉の大天使というモンスターには、これまで通りの緑色のライフゲージが存在せず、代わりに「ライフ : ∞」と表示されていた。
バトルロイヤル2回戦『チームで協力! モンスターハントバトル!』
残り55分
脱落チーム:チーム3(イリス、エリス、西園寺孝明)
チーム5(土井恭平、山下トミカ、唐沢和也)
チーム7(斎藤連、渡辺亮、塩浜聖)
チーム9(白崎祥吾、レックス、終始)
お読みいただきありがとうございました。
次回からモンスターとプレイヤーの大乱闘が始まります。




