昼① 2回戦開幕!
前回登場した新キャラ
・出部栖マキナ
身長159センチ
体重90キロ
3サイズ
バスト:90 ウエスト:90 ヒップ:90
好きな食べ物
きゅうり
嫌いな食べ物
脂っこいもの
「発情期のゴリラが彼女を見て失神した」
「彼女と夜を共にした男は、彼女のあまりの生命力に再起不能になる」
……など、前世であらゆる伝説を総なめにしてきたオンナ。
「小籠包のバケモノ」と称されるほどグラマーな体系をしており、
「デフォルト鬼瓦」と称されるほどオンリーワンの美貌を持つ。
まさに「天から二物を与えられた女性」に相応しいスペックを持つ。
「神の間」では小間竜騎というドストライクな男を見つけ、アプローチを繰り返した結果、晴れて結ばれた。小間のドラゴンを真正面から受け挿れるほどの名器を持ち、ついに自分を満足させることができる男に出会えたことに至上の喜びを感じ、小間と股間の竜に敬意を表し「ダーリン」として迎え入れる。
異世界に転生したらやりたいことは「ダーリンと幸せに過ごすこと」と考えているなど、アダルティな雰囲気とはかけ離れた、ピュアな一面も持つ。
ちなみに、海藤咲夜もタイプらしい。要は面食いである。
「こーまっ! も~起きなさいよ~」
「竜騎君。起きてください」
「こまぁ。はやく起きないと遅刻するよぉ」
「……小間竜騎。さっさと起きる」
「小間さん。起きないと失格になってしまいますよ」
……なんだこの状況は?
俺、小間竜騎は真っ白な空間に、全裸で横たわっていた。そして、俺の周りには、バトルロワイヤルで知り合った紅クレア、天上ミコト、汐里、好実、そしてバトルロワイヤルの主催者である女神がいた。
それも、みんな全裸で。
「おいおい。いきなりハーレム展開ってやつか?」
なんて、流石にこの状況を鵜呑みにするほど俺もバカじゃない。残念ながら、これは夢ってやつだ。
ならばせめて、夢の中だけでもこの美少女たちの全裸を堪能することにしよう。
「こーら小間! あんまりジロジロみないの!」
「竜騎君、あんまり見られると恥ずかしいです」
「ははは、絶景だな。花嫁候補の美少女が5人。けど俺は5等分とはいかないぜ。エクゾ〇ィアみたいにできたら便利なんだろうけどな」
「ちょっと、こまぁ。なに言ってるのよぉ」
「……花嫁候補は5人じゃない」
「え?」
汐里と好実が訳の分からないことを言い始めた。いや、どうみても5人にしか見えないが……。
「そう、花嫁候補はもう一人いますよ。あ、ほら。今、こっちに走ってきてるじゃないですか」
女神がそう言いながら、俺の後ろ側を指さす。
そこには……
「ヴふふふふふふぅぅん!!! あたしのダぁりぃぃぃぃぃぃん!!!!」
爆速でダッシュしてこちらに向かってくる小籠包モンスター、出部栖マキナの姿があった。
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「幻の6人目ぇぇぇぇぇぇぇっ!!?」
その瞬間に、俺は悪夢から目覚めた。
「ハァハァ……あのサイズ感でシックスマンは無理があるだろ……。むしろ目立つわ」
……よかった。ここは紛れもなく俺の部屋、27号室だ。まぁ自室と言っても、神の間で用意された一時的なものに過ぎないが。
しかし、クソみたいな夢だった。ふかふかのベッドが、嫌な汗でぐしょ濡れだ。
俺は汗で濡れた布団を邪魔に思い、勢いよくめくった。
すると、そこには……
「ぐごおおおおおおおお……んごすごおおおおおお……」
そこには、地獄の断末魔の様ないびきをかきながら爆睡している、出部栖マキナの姿があった。
それも、全裸で。
「……いや、そこは夢であれよ……」
その瞬間、俺は昨晩の出来事を全て思い出した。
昨晩、出部栖マキナに追い回されていた俺は結局捕まってしまい、諦めてワンナイトラブを共に過ごしてしまったのだった。
「……あらまぁ。おはよぉダーリン。ヴふん」
俺が昨晩の過ちを後悔していると、デブスこと出部栖マキナが目を覚ました。とても不細工な顔面だ。
てかダーリンって……たった一回寝ただけで女房気取りかよ。
「どうだった? ダーリン。あたしのテクは? ヴふん」
「……あー。悪くなかった」
これは嘘じゃない。こいつは見た目に反して、夜の方はかなりの上級者らしく、かなり気持ちよくさせてもらった。自堕落な体も、抱いたときの肉の感触がとても柔らかく、意外と悪くなかった。これで顔が少しでもマシだったらよりよかったのだが、まぁ目を瞑るとしよう。
「でしょぉ。ヴふん。あたしたち、カラダの相性最高ねぇん」
「いや、そうでもねぇよ。つか、そのダーリンってのやめろ」
「いやん♡ 照れっちゃって~カワイイ♡」
お前は1ミリも可愛くないけどな。なんて心中毒づいていた、その時だった。
『皆さん。2日目、昼のフェーズ開始30分前です。今から30分以内に昨晩の白いドアを通った先で待機していて下さい』
透き通るような声のアナウンスが部屋全体に鳴り渡った。この声は女神か。そうか……ついに2回戦が始まるんだな。なんだか、ここまで来るのに異常に時間がかかった気がする。
「あらまぁ。もう時間なのね。ヴふん。一緒に行きましょダーリン」
「マジかよ」
「ヴふん。当然でしょ。あら? ダーリン。テーブルに異能のカードと香水みたいなのが置きっぱなしよ」
「あ? これは昨日の……」
デブスの言った通り、テーブルの上には異能の詳細が書かれたカードと、女神が俺の部屋に落とした香水が置いてあった。
この神の間で脱いだ服はしばらくすると消えてしまうらしい。
俺は昨晩、クレアの部屋で脱いだズボンと、脱衣所で脱いだ上着をほったらかしたせいで、来ていた服を全て消滅させてしまった。そのため、ポケットに入れていたカードと香水も、てっきり消えてしまったものだと思っていたが……
「まさか、俺の部屋に勝手に戻ってくるとはな。飼い主に捨てられた犬みてーだな」
「ヴふん。よく分からないけど、そろそろ準備して行きま……あら? 昨日脱いだ服が消えっちゃったわ。ごめんなさいダーリン。あたし、服を着に一回部屋に戻るから、先に行っててちょうだい」
「あぁ」
というか、最初から一緒に行くつもりなんてなかったけどな。
「じゃあねダーリン♡ 2回戦、一緒に生き残ろうね♡」
デブスはそう言うと、俺の頬にキスをして、部屋から出ていった。
全く、流されやすい俺が招いたことだが、随分と気持ち悪い女に目を付けられてしまったものだ。
というかアイツ、全裸のまま出ていったぞ。服ごと羞恥心を脱ぎ去ったのか知らないが、その大雑把さでよく自分の服が消えたことに気が付いたな、とか思わなくもない。まぁ、俺が言えたことではないが。
「さて、俺も準備してさっさと行くとしますかね」
タンスから適当に取った服に着替え(竜が邪魔なので下はもちろん履かない)、香水を2、3回上着に吹きかける。
お~、やっぱりいい香りだな。なんか気分いいし、この香水も持っていくか。
俺は洗面所で歯磨きを済ませた後、カードと香水をポケットに入れ、昨晩通って来た白いドアがある場所に向かった。
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「うぉ! すげぇな!」
昨日通って来た白いドアを通ると、俺の目前には、見渡す限りの大自然が広がっていた。
人間界の景色で例えると、アルプス山脈なんかが近い。緑が生い茂った、広々とした大草原。遠くの方には、森や湖、山も見える。
そして、すぐ目の前には、1回戦を通過したプレイヤーたちの姿も確認できた。
現実離れした美しい景色を楽しみたかったが、こいつらのせいで再び現実に引き戻された気分だ。
「小間君!」
声がする方向を向くと、そこには金髪イケメン、海藤咲夜の姿があった。
「おぉ海藤。昨日はゆっくり休めたか?」
「う……うん。小間君の方はどうだった? 大浴場には行ったかい?」
「あぁ、すげぇいい湯だったぜ。ってか顔色悪いけど、大丈夫か?」
海藤の顔はとても青ざめており、まともな状態じゃないように見えた。
「う、大丈夫……じゃないかもしれないね。小間君の顔を見て少し安心したんだけど、これから2回戦かと思うと、とても気分が悪いよ。吐きそうだ」
「はは。吐いて自然を汚すなよ~」
「小間君は本当にすごいな。なんていうか、いつでも全く動じないよね」
「んまぁ。もう死んでるっちゃ死んでるし」
「僕も君みたいに強かったらどれだけよかったか……。ごめんね小間君。ホントはもっと話したいんだけど、僕は少し風にあたってくるよ。気分が悪くて」
「お、おう。2回戦、お互い頑張ろうぜ」
「う、うん。それじゃ」
海藤はそう言うと、プレイヤーの集団から少し離れた場所に、やや駆け足で向かっていった。
「大丈夫か。あいつ」
なんて、他の心配をしている余裕など俺にはないがな。
俺は、視点を海藤からプレイヤーたちに向ける。
この中に、元魔王の蟻道冷人と、そいつを追い詰めた元勇者がいる。女神の頼みを完璧に遂行するつもりは更々ないが、蟻道冷人は時間が経てば経つほど力を取り戻してしまうらしいし、早めに元勇者を探して、魔王退治といかねぇとな。
だが実は、一体誰が元魔王と元勇者なのか、全く心当たりがないというわけではない。
昨日の夜のフェーズで妙な行動を取った人物が1人おり、俺はその人物が怪しいと踏んでいる。とはいえ、証拠というにはあまりにも不十分なので、あくまで候補の一人というだけだが。俺の考えすぎかもしれないしな。
なんて考えていると……
「なんだ。ほぼ全員揃ってんのかよ。みなさん真面目だねぇ。ククッ」
「イリス様が朝食を優雅に取られているから、遅くなったんですよ」
「あ? なんだエリス。テメェ、小間使いの分際で俺に意見しようってか?」
「い、いえ! 失礼致しました」
「ククッ冗談だ。つーか見てみろよエリス。殺し合いには持って来いの大自然と晴れ模様だぜ! クハハハハハ!!」
白いドアの方からくだらない会話が聞こえてきたと思ったら、昨日のチンピラ2人組か。
今更思ったけど、こいつら滅茶苦茶怪しいよな。まず名前からしてあまり普通じゃないし。特にイリスの方は、俺が抱いた蟻道冷人のイメージに一番近い。
ふと、昨日のエセ関西弁の空木勇馬の話を思い出す。なんでも、あのチンピラ2人組が他のプレイヤーにダル絡みしているとかなんとか。女神と話す前は、ただのイカレヤロー共としか思わなかったが、もし、その行動に何か意味があるのだとしたら……。まぁ、今考えても分かることではない。とりあえずあの2人には注意しておいた方がよさそうだ。
「皆さん。全員お揃いのようですね」
決して大きな声ではない。だが、ここにいる全員に聞こえるほど存在感があり、それでいて透き通った声。
このバトルロイヤルの主催者、女神様のご登場だ。
「早速ですが、ただいまからバトルロワイヤル2回戦を開催致します」
先ほどまで少しざわついていたプレイヤーたちが、全員黙って女神の話に耳を傾ける。
まぁ当然か。これからの戦いが、自分たちの命運を左右するのだから。
「2回戦の対戦内容は……『チームで協力!モンスターハントバトル!』です!」
女神は、バトルロイヤルが始まったとき以来のハイテンションで、そう叫んだのだった。
お読みいただきありがとうございます。
次回は2回戦の説明です。




