表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/103

バトルロイヤル開幕

異世界転生……の前に、神の間でバチボコするお話です。

どうかお付き合いください。


竜騎りゅうき! おい竜騎りゅうき!」


 俺の名前を呼ぶ友人たちの声が聞こえる。


 だが返事をする余裕はない。それどころじゃない。


 胸を圧迫されるような苦しみのせいで、呼吸すらままならない。


 視界がぼやけてきた。そして、徐々に目の前が暗くなってきた。


 やがて何も見えなくなり、先ほどまでの苦しみもなくなった。







 目を覚ますと、そこは見覚えのない真っ白な部屋だった。いや、部屋というより空間と表現が正しいか。天井も壁らしきものも見当たらない。見渡す限り水平線で、どこまで広がっているのか想像がつかないほどの広さだった。


「俺は……死んだのか?」


「はい。小間竜騎こまりゅうきさん。あなたは死にました」


「うおビックリした! アンタいつからそこにいたんだよ! てか誰!?」


「わたしは女神です。よろしくお願い致します」


 女神……。普段なら、初対面でこんなふざけたことを抜かす女の言うことなど信じはしないが、女の容姿を見て、何故かすんなり納得してしまった。絹糸のように綺麗な白銀色の髪。どこかあどけなさを残しつつも、完璧な比率で整った顔。海よりも深い青色をした宝石のような瞳。雪のように真っ白な肌。もしも、こんなおとぎ話に出てくるような美女が、女神ではなく人間だというのなら……まぁ別にどうもしないが、要は人間より女神と言われた方がしっくりくる、ということだ。


「で、女神様よ。聞きたいことがあるんだけど、ここはどこなんだ?」


「ここは、死んだ魂が稀に辿り着く場所。そして、次の世界へ転生させるための中間地点。通称「かみ」です」


「神の間ねぇ。そんで、俺はその稀に辿り着いた魂ってことか?」


「そういうことです。小間竜騎こまりゅうきさん。あなたは死んだのです」


「いや、さっき聞いたわ。それ気に入ってんの?」


 女神は大事なことなので2回言いました、みたいなツラをしてこっちを見てきた。若干ウザかったが、可愛いので許すことにした。


「つまり……これはあれだな。今流行りの異世界転生ってやつだな」


 口に出してみたものの、自分の発言の現実味のなさに思わず笑いそうになった。だが、この女神と話しているうちに死ぬ直前のことも思い出してきたし、認めたくはないが俺は本当に死んでしまったのだろう。そして女神の言う通り、これから俺は次の世界、すなわち異世界に飛ばされるのだろう……と思っていたのだが……


「そうですね。異世界転生で間違いありませんが、あなたが転生できるかどうかは、まだ決定事項ではありません」


「え? なんでよ」


 死んでしまった以上、新しい世界で一からやり直したいと思っていたところだったのに。出鼻をくじかれた気分だ。だが女神は俺の気持ちなど一切考えることなく話を続ける。


「これで全員揃いました。小間こまさん。後ろを向いてください」


「あ? 後ろに何があるって……うぉ!?」


 女神の言う通り後ろを向くと、そこには、ざっと数えて50人以上の老若男女の集団がいた。


「また急に現れやがって! 心臓に悪いわ! ってかこいつら誰なのよ」


「ここにいる方々もまた、神の間に辿り着いた者たちです。小間こまさん。あなたで54人目です」


 多っ。全然稀じゃねえ。ガバガバじゃねえか神の間。


「で、迷える俺たちはどうすればいいんだよ」


「はい。今から皆さまには異世界転生の権利をかけて戦っていただきます」


「え?」


「異世界に転生できるのは、戦いを勝ち抜いた者のみ! さぁ、バトルロイヤルの始まりです!」


 これをずっと言いたかったのだろうか。女神は今までで一番のハイテンションでそう告げたのだった。


お読みいただきありがとうございました。

次回はキャラの能力が決まっていきます。

主人公はどんな能力をゲットするのでしょうね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ