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プロローグ

1章

  プロローグ


 「はじめまして!藤井菜月さん!ようこそ天界へ!」


 元気の良い女性の声で目が覚めた。

 天井が無く青空の見える真っ白な部屋に俺は突っ立っていた。

 目の前には綺麗な女の人がイスに座っている。

 

「天界?なにそれ.........夢?」


 最近夢ばかり見ているからどうせ夢だろう。そうに違いない。


「いいえ、夢ではありませんよ、あなたは先ほど死んだのです!」


 即否定された、しかもめっちゃ笑顔で死亡宣告されたんだけど……。なんなんだこの人……。


「あ!自己紹介が遅れました。私は天界の女神スピカです!よろしくね!」


 ニコニコ笑いながら早口で話しかけてくる女は女神と言った。ほんとなのか?確かに服装はそれっぽいけど……。


 それより、この女神とかいう女の言ってることが本当だとしたら俺は死んだのか?


 死因は?うーん……最後の記憶は……そうだ!ゲームしてたんだったネット友達と4人でFPSゲームしてたのを思い出した。でもなんでゲームで死ぬ?


「あの、女神さん。俺の死因はなんですか?」


 俺は恐る恐る聞いた。


「あなたはゲーム中に心臓発作で死にました!」


 女神はアニメの決めポーズのように指を俺の方に指しながら元気よく言い放った。


 え?心臓発作??俺って気づいてないだけで心臓病とか持ってた感じ?


「心臓病とかってことですか?」


「違うよー。確かに体調は良くなかったみたいだけど原因はそれだけじゃないよ。

 1番の原因はゲームで負けた事による極度のストレスによる心臓発作。いわゆる憤死だね!」



「え??憤死?マジかよww……」


て、笑い事じゃねえだろ!恥ずかしすぎんだろ!なんだそれ!ゲームで負けて死ぬって……。メンタル弱すぎるだろ俺……。


なんかだんだん思い出してきたぞ。そうだ、最上位ランク帯に上がるための昇格戦をやっている時に敵チームにチーターがいて3連敗して皆でブチ切れたんだった。


 ヤバいゲームで負けて死ぬとか最悪だ。


「なんか、ニュースにもなっていましたよ。<ゲームに負けたショックによって死亡>とかいう見出しで。 あはははっ!」


 めっちゃ笑いやがってムカつく!


「ああぁあああああああぁ!!!嫌だ!聞きたくないっ!最悪だ……」


俺はショックで崩れ落ちた。


「大丈夫ですよ!菜月さん。もう死んじゃってますから!」


「そっか!死んだのか良かった!生き恥を晒すより死んだ方がマシだ!」


「死んで喜ぶ人なんてあまり見ませんよ。まあ、あの死に方ならしょうがないでよねー!あははっ!」


「笑うなっ!女神だろっ!はぁ……。死んだのか……なんか疲れた。」


立ち上がって前にいる女神様を改めてみると結構若い。高校生と言われても分からないくらいだ。それに白髪ロングでかわいい。


「何見てるんですか?それより、どうしますか?あなたには選択肢があります。

1つは生き返ることは出来ませんが、記憶をなくして同じ世界で生まれ変わること。

2つ目は異世界へ記憶を持ったまま転生することです。」


「えっ!転生とかあるの?まじか!

天国とか地獄とかに送られるのかと思った!」


「天国とか地獄とかはありませんが天界はあります。ですが菜月さんは無理ですよ。」


「え?なんで?」


「それは、色々と基準がありますので。菜月さんは100分の3くらいしかクリアしてません!」


「そっか、それもそうだよな、あんな人生だったもの。」


そう肩をあからさまに落とした。


「でも、菜月さん!落ち込むことはありません!今回、2つ目の異世界転生を選んだ場合に一つだけ特殊能力を得ることができます!」


「えっ!特殊能力!なにそれ!」


これはよく見る展開だぞ!チート能力を選べるやつだ。


「例えば足が速くなる。頭が良くなる。ご飯を食べなくても大丈夫などですかね!」


「はぁ?なんだそれ!魔法が使えるとか、不死身の体とかじゃないのかよ、地味すぎるだろ!選べるの?」


考えてみれば実際便利かもしれんが期待を裏切られた気分だ。


「いいえ。能力は現世でのポイントや死因に関係してランダムに選択されるのでなんとも言えませんね。特にポイントでは菜月さんは全く期待出来ませんので!」


「クソっ!ランダムなのか!死因はバカみたいな死に方だし期待できん。」


もっと現世で徳を積んでおくんだった……。


「それで、どうしますか?記憶を無くして現世に生まれ変わりますか?それとも異世界へ転生しますか?」


記憶を無くすくらいなら異世界行った方がマシだ!


「異世界でお願いします!」


「よろしいですね!それではあなたに特殊能力を付与します!」


そう女神が言うとあたりは暗くなり、空から1本の光が俺に降り注いできた。


お願いします!少しでもいい能力をくださいっ!



体感で3秒ほど経つと明るくなり空も青空に戻った。


「はい!終わりました!」


え!あっさりだったな……。


「それで、俺の特殊能力はなんですか!?」



「…………なにこれ?うーん。」


女神様は本のような物を見た。

さっきまで明るかった女神様の顔が少し曇っている。


「え?どうしたんですか?やっぱり微妙でしたか?」


嫌な予感がする……。


「ごめんね、初めて見る能力だからよくわかんないけどダメっぽそう!」


そう苦笑いしながら女神様は言う。


「なにそれ!ダメっぽそうって酷い!別に期待してないからいいよ、教えて!」


「そう?じゃあ菜月さん、右手の手のひらを見てください。」


「え?手のひら?」


困惑しながら右手を開いてみるとそこには3センチ程の文字が手のひらの真ん中に書かれていた。


     「無効」


「え……。え?無効?むこう?なにそれ?」


「ごめん!それ初めて見るから分からないの!でも多分だけどそのままの意味かも……。」


申し訳なさそうに女神様が謝ってくる。


「そのままの意味って……。まじで?何も能力無しってこと!?!?」


「うそだろ!!そんなことあるのかよ!」


俺は絶望した。それりゃ期待してなかったよ。してなかったけど能力1つくらいはあるだろ!それが無効って……。なにそれ……。


「大丈夫!能力なんてあってもなくてもほとんど変わらないから!ほら、別に足速くてもそんなにいいことないよ!」


女神様がめっちゃ同情しはじめた。それが逆に悲しい……。惨めだ……。


「……確かに。そうですね、はぁ……」


「あ、そうだ!代わりに最初のゴールドを2倍にしてあげます!これは内緒ですよ!」


「……ありがとうございます。」


金で解決しやがった。この女神。

まあ貰えるもんは貰っとくか。


そう言って女神は肩掛けカバンとお金の入った袋を渡してきた。


「それでは、早速異世界に転生させますね!」


「えっ!もう出発なんですか!?」


「はい!次が居ますのでー。」


本当か嘘かわからない事をいって女神は手を振る。


「それでは菜月さん!良い異世界ライフを!」


俺が何か言おうとする前にあたりは真っ暗闇になり意識を失った。





                 →続く


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