表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
B.K.B 4 life  作者: 石丸優一
38/61

topgun

俺達は一つになる。もう誰にも邪魔してほしくない。いや…

 

させない。

「待て。このまま行くつもりか?」

 

タウンカーとシェビーバンのエンジンを回したところで、ガイがみんなに声を掛けた。

 

「あ…」

 

ライダーが反応した。

自分の服を見ている。

 

なるほど。

俺はみんなに指示を出した。

 

「ホーミー!着替えだ!赤い服はまずい!」

 

ブラッズだとバレてはいけない。

できれば紺色の服でマーク達に合流したいところだが、用意している暇はない。

適当に黒や青などの服に全員着替えた。

 

「よし!いくぞ!ぐずぐずするな!」

 

シャドウが叫んでいる。

 

シェビーバンは仲間達を全員詰め込んで発進した。

運転はライダーのようだ。

コリーだけはタウンカーの運転席で待機している。

俺は仲間が誰も残されていないのを確認すると、タウンカーに近付いた。

 

「サム!早く乗れ!おいていくぞ!」

 

ブラックホールが手招きをしている。

 

「よし!出してくれ」

 

俺達二人を乗せたタウンカーが進み始めた。

すぐに先行していたバンのケツにつく。

 

「とばすぜ!」

 

ブラックホールはバンを追い越して前に出た。


「おいおい、ライダー達がついてこれなくなるぞ、ドッグ!」

 

俺は遠ざかっていくバンを振り返って言った。

コリーがスピードを少しゆるめる。

 

マークとは連絡がつかない。

つまり合流しようにも奴等がイーストL.A.からロングビーチまで、どの道を通るか分からない。

 

「ブラックホール。闇雲に飛ばしたって、アイツらに会えないと意味がないぜ」

 

「ん?そうだね…」

 

ある程度地元に近付いたところで、俺達は仕方なくファミレスに停車した。

シェビーも続いて駐車場に入ってきてタウンカーの横につく。

 

「どうしたんだ?早くいかねぇと」

 

シャドウが助手席の窓を開けて俺に言った。

 

「奴等の細かい居場所が分からなくて困ってんだよ」

 

「マジか!そういえばそうだな!アツくなりすぎて単純な事を忘れてたぜ!

で、どうする?」

 

シャドウはタバコに火をつけた。

 

「おーい!マークと連絡をしなくても奴の位置を知る方法ならあるぜー!

サム!あれをちょうだいしようぜ!」

 

ジミーが後部座席から身を乗り出して何かを指差した。


「なに!?正気か、ジミー!」

 

俺は叫んだ。

なんと奴が指差したのは路肩に停車しているパトカーだったのだ。

もちろん中には警官が二人乗っている。

 

「正気だぜ!あれを盗めばマークの居場所は一発だろ!勝手に奴等の無線が聞こえるからな!」

 

「そうは言ってもな…」

 

俺達にはバットやナイフといった武器しかなく、直接攻撃しかできない。

銃を持った警官相手では危険性が高かった。

 

「悪い考えじゃないと思うよ」

 

隣りからコリーが言った。

タウンカーのドアを開けて外へ出て、そのままゆっくりとパトカーに近付いていった。

 

「タウンカーの運転を頼むよ、サム。

…俺が盗む」

 

「おい!待てブラックホール!本当に盗む気か?それも一人で」

 

コリーは一度振り返って言った。

 

「俺に盗めない車はない。昔、言っただろ?戦車だろうが大統領専用車だろうが、仲間の為なら盗んでやる」

 

奴はすぐにまたパトカーに向かって歩き出す。

 

「おーい!俺も俺も!」

 

バットを握ったジミーがバンから飛び出して、ブラックホールの元へ走っていった。


みんなが駐車場から見守る中、二人はパトカーにどんどん近付く。

 

車通りは少なく、通行人もほとんどいない。

レストランの客も駐車場にある車の数からして、そんなには多くないようだ。

 

ガシャァン!!

 

突然大きな音が響いた。

 

パトカーの後部ガラスが割れていた。

ジミーとコリーはサッと物陰に隠れている。

ジミーが石を投げたのだ。

 

「おいおい…ただのイタズラじゃねぇか」

 

俺は一人タウンカーからつぶやいた。

警官は慌ててパトカーから飛び出し、辺りを見回している。

 

「誰だ!?」

 

だがもちろん答えはない。

仕方なく振り返って、パトカーに戻り始める警官二人。

その時だった。

 

「おらぁ!」

 

ジミーが背後からバットで一人に襲いかかった。

警官が倒れ込むとすぐにソイツの腰から拳銃を抜き取り、残りの一人に発砲する。

 

パァン!パァン!

 

「くたばれ!!」

 

その隙にブラックホールはパトカーに乗り込んでいる。

ジミーもすぐに乗り込み、奴等は駐車場にパトカーで戻ってきた。

 

「マジでやりやがった…」

 

俺はつぶやいた。


「いくぞ!俺達が先導するからついてきてくれ、ホーミー達!」

 

ジミーがパトカーの助手席から言った。

すぐにパトカー、バン、タウンカーの順に並ぶ。

 

だがブラックホール達は北上するのではなく、南下し始めた。

 

「なに!?マーク達とすれ違ってたか!クソ!」

 

俺は一人、タウンカーのステアリングを叩いた。

クラクションが鳴る。

 

それに反応して、不思議そうな顔をしたライダーがバンのサイドミラーからこっちを見ていた。

 

 

俺達は猛スピードで走った。

途中のカーブで、背の高いシェビーが何度も転びそうになるくらいに。

 

だがコリーがパトライトとサイレンを点けているおかげで、猛スピードであるにも関わらずスムーズに進む事ができた。

 

 

『止まりなさい!』

 

「やっぱりきたか。お客さんがよ」

 

俺達の車、三台の後ろから新手のパトカーが一台やってきたのだ。

だがそれを無視して俺達は突き進む。

 

ブラックホールが左折した。

かなりの大通りだ。

 

「この道は…110か…」

 

110号線…途中213号線と並走し、海へと真直ぐ伸びる道だった。


なぜマーク達がわざわざデカイ道を選んだのかは分からなかったが、ブラックホールの警察無線がそう言い示しているのならば追いかける他ない。

 

そんなことを考えていると、前を行く仲間の車二台が、急に車線を変えて逆車線に出た。

俺もそれに続いてタウンカーを走らせる。

 

見えた。

 

間違いない。マーク達を乗せた車だ。

それを後ろからパトカー二台が追っている。

俺達を追っていたパトカーも合わせて三台になった。

 

コリーとライダーがマーク達の前に出る。

俺は横についた。

 

「マーク!!」

 

「サム!!」

 

タウンカーから叫ぶと奴からも返事があった。

 

「すまねぇな!!わざわざ迎えにきてもらってよ!!」

 

「大丈夫なのか!?」

 

「おう!よっしゃあ!そろそろ振り切るぜぇ!!やっちまえ!!」

 

マークが叫ぶ。

元C.K.Gの若い連中がすべての車から身を乗り出し、パトカーに一斉射撃した。

 

「…」

 

俺はマーク達のその姿に、かつてのコンプトンブラッズ達…レイクやファンキーが俺達を助けてくれた時の姿を重ねていた。


バァン!!

 

爆発音が轟いた。

振り返ると一台のパトカーが天地真逆になり、火花を散してアスファルトを滑っていた。

被弾して爆発したのだ。

 

他の二台も追跡を断念し、燃え上がる車から仲間を助け出しているのが見えた。

 

「よし!!やった!」

 

マークがそう叫んだ。

 

しばらくそのまま俺達は走行していたが、コリーのパトカーが急に道を反れた。

身をひそめるつもりだろう。

 

建物は何もなく、木が覆い茂った森のような場所だ。

みんな車から降りる。

 

マーク達の功績、そしてガイの作戦に賛辞を送るもの、様々だった。

だが未だ逃げ切れたわけではない。

成功で終わるか失敗で終わるかはここからが本番だ。

 

「どうした?小便か、ブラックホール?」

 

シャドウがコリーに言った。

 

「いや、無線から嫌な情報が入ったんだ」

 

「どんな?」

 

ライダーがタバコに火を点けて言った。

 

「ヘリが出てるんだ。目立たないように別々でロングビーチまで行かなきゃ」

 

「マジか?だがぐずぐずしてたら検問が張られるかもしれないな」

 

ガイが言った。

ロングビーチまで進入できればロサンゼルス市警は管轄外なので、容易に捜索はできないはずだと俺は考えた。


「しかしよぉ、なんでこんなもんがあんだよ!」

 

突然思い出したかのようにマークがパトカーを指差した。

 

「あぁ…ちょっと入り用で」

 

コリーが頭を掻いている。

 

「入り用って…パトカーを盗んで仲間を助けるギャングなんて世界中探してもお前くらいなもんだぜ、ニガー!」

 

マークがブラックホールの背中をバンバンと叩いた。

 

「ホーミー!そっちだってパトカーを蜂の巣にして吹き飛ばしてたじゃないかよ!

仲間でよかったよ!マークみたいな極悪な人間が敵だったら怖すぎる」

 

「ガハハ!違いねぇ!」

 

「おい、無駄話はその辺にしとけ。早くバックレるぞ。順番やルートはどうするんだ?」

 

ガイが冷静に言った。

マークが「すまねぇすまねぇ」と笑っている。

 

「ニュージャックを優先的に逃がす。E.T.はタウンカーとシェビーで最後に逃げるぞ。いいな?」

 

俺の言葉はみんなから賛同を得た。

 

「一つ…いいか、B?」

 

ライダーが手を上げた。

 

「なんだ?」

 

「多分ナンバーがサツに割れてるぞ」

 

みんなハッとした。

確かに。その危険性も考えられる。

俺達は身動きが取れなくなってしまった。


「でも車捨てて逃げるなんてごめんだな」

 

シャドウが言った。

新入りの奴等は銃を片手に辺りを警戒している。

 

「じゃあ警察の手がゆるむまで待つのか?こんな所に長い時間いるのは嫌だぜ!」

 

ジミーはどうにもじっとしていられないらしく、子供のようにはしゃぎまくっている。

 

「ニガー、そう言うんなら何か手があるんだろうな」

 

俺がジミーにきいた。

奴はすぐに返す。

 

「もちろん!ナンバーを盗めばイイじゃないか!」

 

「なるほどな…」

 

「それは俺も考えたんだけどな、検問で中まで見られたら何の意味もないぜ。乗ってるのはこの通り、にせクリップスだからな」

 

横からガイが仲間を指差しながら言った。

 

「あぁー!じれったいぜ!ごちゃごちゃ考えてないで強行突破だ!武器もそろってるんだからよ!じっとしてて検問が張られるほうがヤバイだろうが!」

 

マークが吠えた。

 

「そうだな…そんじゃぁホーミー達!出るぞ!ナンバーだのヘリだの検問だのは全部無視だ!力づくでロングビーチまで突っ走れ!」

 

俺は決断を下した。


コリーのパトカーが先導し、ぞろぞろと新入りの仲間の車が後ろからついていく。

そして次にほとんどのE.T.を乗せたシェビー。

 

俺は待っていたマークと二人でタウンカー乗り込み、最後に出発した。

 

「まずは…よくやってくれたな、ホーミー。ありがとう。ギャングスタクリップも俺達の地元にはいつまでもいられなくなるだろうな」

 

「こっちこそ感謝してるぜ、B!手厚い出迎えありがとよ!」

 

マークはポケットからスニッカーズを出すともぐもぐと食べ始めた。

 

「ん?お前も食うか?」

 

「いや、いい」

 

マークは体温で周りのチョコレートがベトベトになったスニッカーズをさらにズボンのポケットから一本差し出してくれたが、さすがに断った。

そんなに食べ物を隠し持っているとは。

本当に食いしん坊な奴だ。

 

「さて、頼むからもうお客さんは来ないでくれよな…」

 

俺はハンドルを握りながらドリンクホルダーに置いてあったぬるいビールを一口あおった。


 

ロングビーチまであと一歩。

そんなところだった。

 

仲間達が次々と急ブレーキをかけた。

 

先頭のブラックホールが停車したのだ。

 

「チッ…マーク、やっぱ上手くはいかねぇもんだな」

 

「今までだってそうだったからな!ほらいくぞ、サム!派手にやろうぜ!」

 

マークがM16を抱えて助手席から飛び出した。

 

「バカヤロウ…まったく、みんなバカだぜ…」

 

缶ビールを投げ捨てて俺はドアを蹴り開けた。

 

ブラックホールの前方の道路には何重にも張り巡らされたバリケード、横並びになった何台ものパトカー、ドアを盾に銃をこちらにむけた数十人の警官達。

暗い曇った夜空がいくつもの回転灯で不気味な色に変化していた。

 

無理もない。

ぞろぞろと走る俺達の車をヘリが発見し、先回りすることなど奴等にとっては難しくなかったはずだ。

それを無線で聞いて分かっていたはずのコリーは、俺の指示通りそれを無視して南下を続けたという事だ。

 

「全員銃を捨てて両手を上げろ!」

 

拡声器から怒号が響いた。


「みんな!やっちまえ!!」

 

ホーミーの誰かが叫んだ。

同時に銃声が響き、警察も撃ち返してくる。

 

激しい銃撃戦へと発展したが、元C.K.Gやマーク、それにジミーとブラックホール以外は銃がない。

ジミーとコリーは警官から奪った拳銃が二丁、マーク達は支給したマシンガンやライフルで発砲していた。

 

「さぁこの状況、どうする?」

 

銃弾を避けるように停めてある仲間の車の間をぬい、走って俺の元に近付いてきたライダーが言った。

その手にはバットが握られている。

俺達は陰にしゃがんだ。

 

「こんなもんじゃどうしようもねぇよなぁ…」

 

ライダーは苦笑いを浮かべながらバットで地面をコツコツと叩いている。

 

するとシャドウもドタバタと走りながら合流してきた。

額には汗をびっしょりとかいている。

 

「よう、B、ニック!どうする!?俺は丸腰だぜ!このままマーク達に任せるのか?警察の応援が来るかもしれないぜ!」

 

「後ろからも挟まれたら終わりだな」

 

ライダーが俺達の走ってきた道を指差す。


「うっ!!」

 

「ぐあぁ!!」

 

叫び声が聞こえた。

何人か仲間が撃たれてしまったようだ。

よく考えると、合流する前からケガ人が出ていたのだ。あまり若い奴等にばかり任せてはいられない。

 

「やばいな。ボロバンを突っ込ませて道を開けよう」

 

ライダーが言った。

 

「そんなこと上手くいくのかよ?」

 

シャドウが心配そうに声を掛けている。

 

「今のまんまじゃ逃げられないだろ。俺が道を切り開く!その後ろをみんなついてきてくれ」

 

ライダーはかがんだまま走っていった。

シェビーにたどり着き、乗り込む。

 

「やってみないと分からないか…よし!

ホーミー達!!聞こえるか!?ライダーが道を作る!!みんな援護してくれ!!」

 

俺はできる限りの大声で叫んだ。

少し離れていたマークから返答があった。

 

「任せろ、サム!おい!みんなでライダーを援護するぞぉ!!!」

 

一度銃声が止み、ライダーが車を発進させると同時に仲間達は再び猛攻撃を開始した。

警官達は反撃もできない程だ。

 

ライダーはできるだけ姿勢を低くして、ガラスを撃ちぬかれても自分に弾が当たらないようにしていた。


ガン!

 

ガシャァン!

 

ライダーは一台ずつ最低限の邪魔な車を押し退けている。

 

「よし!みんなすぐに続け!」

 

俺の号令で仲間の車が次々と発進していく。

窓から銃口を出し、撃つ事を止めずにそのまま突進む。

 

パァン!パァン!

 

ダダダ!

 

まだ特殊部隊のような奴等がいなかったのが幸いだった。

警官達は拳銃や散弾銃の弾をほとんど撃ってしまったらしく、なすすべなく立ち尽くしていた。

 

ガシャァン!ガシャァン!

 

ついにライダーが最後の木製の簡易バリケードを破った。

道ができたのだ。

 

「よし!いくぞ!」

 

俺とシャドウはタウンカーに乗り込み、タイヤを鳴かせて急発進した。

 

また俺は最後尾だ。

去り際にシャドウが窓から奴等に向けて中指を立てた。

 

「ファックポリス!あばよ!」

 

 

「ふぅ危なかったな…」

 

俺はようやく一息ついてタバコに火をつけた。

 

「さて…B、撃たれた仲間が心配だ。早くアジトまで」

 

「あぁ、もちろんだ。あと約一時間…アイツらには頑張ってもらわないと」

 

やっとの思いで俺達はロングビーチシティに入った。


 

「ぐっ…!」

「いてぇ…」

 

「頑張れ!絶対に助かるからな!」

 

コリーがホーミー達に必死に呼び掛けていた。

 

アジトに到着した俺達は、すぐに撃たれた仲間達を床に寝せ、服を脱がした。

ケガ人は全部で七人。

ほとんどのホーミーは腕や脚に弾が当たっている。

だが二人、腹に食らっていた奴がいた。

コイツらはいつ命を落としてもおかしくない状況だ。

 

「まずいな…腹の銃弾は下手に抜き取れないぜ」

 

ガイが仲間の傷口から溢れ出す血をガーゼで拭き取りながら言った。

 

「病院に連れていくぞ!」

 

マークが二人を両手に抱えて歩き出した。

すごい力だ。

ぐあぁ!とソイツらから苦痛の悲鳴が出る。

 

「おい!雑に扱うな!」

 

ガイがマークを叱った。

 

「うるせぇ!コイツらは絶対死なせねぇ!」

 

ドアを蹴り開けてマークが振り返る。

その瞳からはボロボロと涙がこぼれていた。

ガイがハッとする。

 

「マーク…」

 

「コイツらは一緒に戦ったホーミーだ!可愛くて仕方ねぇ!お前が連れてきた仲間だろ!?絶対死なせねぇ!」

 

そう言うと、奴は車に仲間を乗せて走り去った。


俺達はこうして無事に帰ってきた。

ギャングスタクリップから地元を取り戻す日は近いと確信していた。

 

だが…

 

「うぉぉ!すまねぇぇ!!」

 

クリック、ジャックの墓の横に新しく二つの墓標が立った。

 

マークは泣き崩れている。

俺達全員はそれを見守った。

 

マークは新しくB.K.Bに入った勇敢な若者達を率いて、若い奴等にとっては初めて地元の為に戦った。

そんな中でマークはコイツらの事を本当に可愛がった。ある意味、意志を継ぐ息子のような存在がたくさんできたかのように接していたに違いない。

コイツらを連れてきたガイ本人よりも、新入りに対する思いはマークのほうがいつの間にか上回っていたということだ。

わずかな間でも共に時を過ごす内に。

 

「なにが…なにがヘマはしねぇだ…絶対死なせねぇだ…!!」

 

マークは地面に頭をぶつけている。

 

「おい…やめ…」

 

「やめとけ」

 

マークに駆け寄ろうとしたライダーを俺が手で止めた。

 

「一度…たった一度でもいいから、お前達とも一緒に真っ赤な服を着て…笑いたかったなぁ…」

 

それから、マークのすすり泣きは延々と続いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ