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B.K.B 4 life  作者: 石丸優一
37/61

KK

BK…CK…ブラッドキラーとクリップキラー。

それがKK…コップキラー、警察殺しへと発展した時、本当のOGへの扉が開く。

「どうだ?似合うか?」

 

マークが両手を広げて俺にたずねた。

 

「似合うわけねぇだろ。反吐が出るぜ」

 

「ガハハ!!そうだろうな!」

 

あれから三日後、マークはC.K.Gを率いて準備を完了させた。

コイツらには俺達が使ったマシンガンや拳銃を一人ずつに配ってある。

 

わずかに足りない分は、ライフルなどを再びビリーから仕入れた。

 

前回、ビリーが有り得ないほどの安値で武器を流してくれたおかげで、まだ金に余裕があったのだ。

 

「お前達は何日間かあっちで過ごすから、C.K.Gの隠れ家を使え。

警察を攻撃し、奴等のクリップス掃討が始まったらすぐにこっちに引き返してこい。

それから…危険を感じたら作戦の途中だろうがかまわん、絶対ここに引き返せ。分かったな、マザーファッカー?」

 

ガイが作戦の内容をマークに伝えている。

 

「オーライ。ま、ヘマはしねぇからよ。俺達の地元をクリップスの墓場に変えてきてやるぜ」

 

マークが答えた。

ガイと俺は頷く。

 

ジミーがマークに近付いて携帯電話を渡した。

 

「使え。サムの番号はメモリーに入ってる」

 

そしてC.K.Gは奴等の数台の車に乗り込んだ。


 

「いっちまったか…無事に帰ってきてくれよ、みんな…」

 

腕を組んで俺はつぶやいた。

 

「おいおい、地元を取り返してくれよ。とか言えないのかよ、サム?」

 

横でジミーが笑った。

ロングビーチに残った俺達は、マーク達のいない間は仕事をこなして待つ事になっている。

 

だが、ここ最近は売女もヤクもさっぱり売れない。

メキシコの船からの仕入れも、俺達が滅多に行かないせいで途絶えた。

メキシカンの船員は他に、もっと羽振りのイイ客を見つけたのだろう。

 

「よう、サム。あれ見ろよ」

 

俺達は外に出ていたが、シャドウがふいに指をさして言った。

 

ゆっくりと走ってくるマツダのトラック、そしてアコード。

中には灰色のバンダナを巻いたアジアン。

 

…T.R.Gだった。

 

俺達の目の前で停車する。

 

「久し振りだな。顔を見にきたぜ、OG-B」

 

ロブがアコードから下りてきて言った。

 

「おぉ、どうしたんだ?珍しいな、ロブ」

 

拳をぶつけて挨拶する。

他のT.R.Gのメンバーも車から下りてきた。

全部で七人。

 

…!!

 

「な!お前ら!?」

 

なんとソイツらは全員武装していた。


「なんだ?やんのか?」

 

ジミーが指を二本、自分の胸にあててT.R.Gを睨みつけている。

 

手をピストルに見立てたジェスチャーだ。

『こっちには銃があるぞ』という脅しを意味していた。

だが当然俺達の武器はマーク達に貸し出しているので、ジミーはハッタリをかましているだけだが。

 

ロブが言った。

 

「冗談だろ、B.K.B。やり合う理由は何もないぜ?」

 

「じゃあ何の真似だ?」

 

シャドウがイラついたように放った。

 

「お前達が地元に戻るために動き始めたことを噂で聞いてよ。

もしかしたらもう会えないかもしれないからな。

さすがに加勢したりはできないが、せめてできる事をしようと思ってな。この武器を持ってきた。

大したものはないが使ってくれないか?」

 

ロブは笑ってそう言った。

一気に緊張がほぐれる。

奴等はわずかだが、バットやナイフなどを持ってきてくれていたのだ。 

まったくアジアンってのはどこまでお人好しなんだろうか。

俺達はコイツらを利用したというのに。

 

俺は感謝の気持ちと申し訳ない気持ちで、なんだかせつなくなった。


「ありがとよ、ロブ。だが…たった今、攻撃する仲間達が地元へ向かったところだ」

 

俺がロブの両肩に手を乗せて言った。

 

「なに?そりゃまさにすれ違いだったな…残念だ。

じゃあ、サム達は留守番か?」

 

「あぁ」

 

「そうか…お前達のホーミーはわずかな人数で地元に向かったんだな…?無事だとイイが」

 

ロブはC.K.Gの事を知らないらしく、B.K.Bが増員した事も分かっていないようだった。

 

だが俺も、わざわざ説明するつもりは無かったので「大丈夫さ」とだけ返した。

 

「とにかく、武器は置いていくから好きに使ってくれよ」

 

「そうか?分かった。ありがたくもらっておくよ」

 

俺が言うと、他のT.R.Gのメンバー達は一斉に武器を地面に置いた。

そのまま車に乗り込む。

 

「しばらくして落ち着いたら、いつでも遊びにきてくれ!」

 

ロブがアコードの運転席から叫んでいる。

俺達はハンドサインをかざして奴等を見送ったのだった。


…次の日の夕方。

コリーとライダーと俺の三人で、晩メシの買い物に出かけようとタウンカーに乗り込んだところ、早速マークから電話連絡が入った。

 

「よう!調子はどうだ、B!?」

 

「元気だぜ」

 

「ガハハ!そりゃよかったぜ、ニガー!」

 

ライダーが「マークだな?」とつぶやいたので、俺は頷いた。

 

「分かった分かった。少し携帯電話から口を離せよ、マーク。耳がイカレちまう」

 

「ガハハ!すまねぇ!」

 

マークのバカでかい声で耳が少し痛くなった。

コリーやライダーがニヤニヤしているので、受話器から声が漏れて奴等にも聞こえているのだろう。

 

「…用件は?」

 

「おいおい、冷たいな、サム!まぁイイか。

警察への攻撃、今夜に実行するつもりだ。終わったらまた電話するから、期待しててくれよな」

 

「そうか。しっかりな」

 

「任せとけ!じゃあまたな!」

 

ピッ。

俺は携帯をズボンのケツに押し込んだ。

 

「まる聞こえだぜ」

 

ライダーが助手席から振り返り、俺に言った。

運転席のコリーも笑っている。

 

「上手くいけばイイけどな」

 

車は古びたマーケットに到着した。


その夜。

アジトでメシを済ませ、仕事の準備にとりかかる。

 

ガイと俺だけを残して、他のみんなはヤクと女をさばきに街へと向かった。

俺達はいわば電話番だ。

マークから連絡があるのを待ち、俺とガイが指示をするという役目だった。

 

「暇だな。カードとドミノ、どっちにする?」

 

携帯電話をテーブルの真ん中に置き、俺達は向かい合って椅子に座っていた。

俺がテーブルに散らばっているトランプとドミノを交互に指差してそう言った。

 

「それよりもたまにはテレビを見たいな」

 

ガイがテレビのスイッチを入れた。

砂嵐まじりの汚い映像が映し出される。

ジミーが拾ってきて直したポンコツだ。具合が悪いのは別に誰も気にしなかった。

 

テレビ自体は常に電源は入っているが、こうしてガイがテレビを見ている姿は珍しかった。

確かに「たまには」という奴の言葉は正しい。

 

「見たい番組があるのか、ガイ?」

 

「いや、別に…なんとなくだ」

 

ガイは頬杖をついて画面を見つめていた。


 

 

 

「おい、ガイ。黙ってテレビを見てても落ち着かないぜ」

 

長い沈黙にしびれをきらして、俺は口を開いた。

するとガイが立ち上がり、歩いて部屋を出ていく。

 

「ん…ガイ?」

 

奴はすぐに戻ってきた。

どうやら隣りの部屋に行っていたようだ。

その手には二本の瓶ビールとドリトスの袋が握られている。

 

「飲むだろ?」

 

「あぁ、ありがとう」

 

俺はわけが分からないままそれを受け取った。

 

「そんじゃ、マーク達に」

 

「マーク達に」

 

俺達の瓶がぶつかる。

だがその後、ガイはまた黙ってしまい、ただテレビの画面を見つめていた。

 

「ガイ、さっきから何でテレビばっか…」

 

「シッ!ほら、見ろ」

 

ガイが急に俺を制止して画面を指差した。

若い女のレポーターが外で中継をしている。

 

『たったいま入ったニュースです!イーストL.A.で警察官が銃撃を受けるという事件が発生しました!現場は騒然としています!』

 

見た事のある景色…俺達の地元だ。

 

警官相手だと情報が回るのが早いようだ。

ガイはこれを読んでいたのか。

 

…マークから電話が入ったのは、それから数分も経たない内だった。


ピリリ…

 

俺とガイは目を合わせた。

ガイは出ろ、とつぶやいている。

 

「よう」

 

「サムか!ド派手にやってやったぜ!パトカーが二台おじゃんだ!」

 

電話の向こうではマークが興奮して叫んでいる。

 

「よくやったな、ホーミー。今どこだ?ちゃんと全員逃げれたか?」

 

「完璧だぜ。元C.K.Gのアジトに車で戻ってるところだ」

 

するとガイが電話を代わってくれと手を俺に伸ばしてきた。

携帯電話を手渡す。

 

「マークか?ガイだ。そっちの隠れ家に戻るのはイイが、車は必ずどこかに隠せよ」

 

「やべぇ!忘れてたぜ!ガハハ!」

 

ガイがおいおい、と苦笑いしている。

相変わらずマークの声が受話器から漏れて、俺にも会話が聞こえていた。

 

「ガイ!どこかイイ場所はねぇか!?」

 

「…仕方のない奴だな…コリーの家の整備工場か、ジャックの実家はどうだ?デカいガレージがある」

 

「なるほど!…いや、ちょっと待てよ…イイ考えが浮かんだぜ!クリップスに一泡ふかせてやる!」

 

マークが何かひらめいたようだ。

 

「待て、マーク!変な無茶は…」

 

「大丈夫だ!またな、ニガー!」

 

ピッ…

 

マークは何をするつもりだろうか。


「クソ!なんて勝手な!出すぎた事をやらかさなけりゃイイが…」

 

ガイが携帯電話を放り投げた。

部屋のあちこちにある内、一枚のハンモックの網目に携帯電話は引っ掛かってゆらゆらと揺れている。

 

俺はそんなガイを見て、昔の冷静な性格と比べると少し激情になった気がした。

 

それだけ地元を取り戻す事に情熱を燃やしているのだろうか。

そうならば奴の変化を嬉しく思うのだが。

 

「何をやるつもりだろうな?一泡ふかせるって…まさか、奴等のアジトに車を突っ込ませたりしてな」

 

俺は冗談のつもりで言ったのだが、それを聞いたガイは頭を抱えてしまった。

 

「そんなことしちまったら自分で『私達はギャングスタクリップと敵対しています』って言ってるようなもんだろ…今クリップスに被害を出しちゃならねぇんだよ!

一泡ふかせるって…まったく!

 

警察には『ギャングスタクリップがやった』と思い込ませなきゃならねぇのによ…」

 

奴はイライラとタバコに火をつけている。

だがライターの火打ち石が上手く火花を出さないようだ。カチカチという音が部屋にむなしく響いた。

 

「ほら」

 

俺が自分のマッチを差し出すと、ガイはようやく煙を深く吸い込んだ。


「マークだってそんなバカな事はしねぇさ。仲間を信じろ、ガイ。それがB.K.Bのたった一つのルールだ」

 

俺もタバコに火をつけてテーブルに足を乗せた。

 

「他にもルールくらいあるだろ」

 

「細かいな…言葉のあやって奴さ。とにかく信じてやろうぜ」

 

そんな中、テレビではまだ中継が続いていた。

 

『…犯人達はいまだに数台の車で逃走中との事です。

おそらく最低でも二十人以上の集団と見られています。

犯人達は紺色の服を着た黒人であるという情報も入っています。

 

…あ、新しい情報が入りました!

犯人達が逃走に用いた車が発見されました!』

 

俺達は画面を見た。

遠くからだが、C.K.Gの車が映し出されている。

 

マーク達は元B.K.Bのアジト…つまり、ギャングスタクリップのアジトの目の前に車を乗り捨てていたのだ。

 

「マジかよ!あのマザーファッカー達め!最高だぜ!」

 

俺は手を叩いて喜んだ。

ガイも胸をなで下ろしている。

マークの作戦はなかなかのものだった。

 

案の定、アジトは警察に包囲されている。

身に覚えのないギャングスタクリップがどう出るか見ものだ。


紺色の服を着た黒人集団、犯行に使われた車…それがアジトに…

 

すべてはギャングスタクリップと一致する。

もはやギャングスタクリップは言い逃れ出来ないだろう。

 

昔、コンプトンブラッズが俺の目の前でパトカーを爆破した時…B.K.Bがやったという噂が立った。

だがブラッズがやった事だけは分かっていても、それがどこのセットだという証拠がなく、俺達が挙げられる事はなかった。

 

しかし今回は違う。

ガイの作戦とマークの判断で見事にクリップスをはめたのだ。

 

『パァン!パァン!』

 

画面から銃声が聞こえた。

映像は暗くて距離もあるのであまり分からないが、ついに衝突したらしい。

 

中継は『放送の都合上』といって中断されてしまった。

ガイがテレビを消す。

 

「さぁ始まったな、ガイ。あとはマークからの次の連絡を待つか」

 

俺は新しいビールを引張り出して言った。

 

「だが一日でケリがつくとは思えない。

まだアイツらに攻撃を続けさせるべきか…それともあとは警察どもに任せて引き上げさせるべきか…」

 

ガイはさらに次の手を考えているようだった。


ピリリ…

 

またマークからだ。

俺はハンモックから携帯電話を取り、通話ボタンを押す。

 

「よう、サム!車はわざとらしくギャングスタクリップの連中の目の前に置いてきてやったぜ!

どうだ?イイ考えだろう?

俺達が車を停めるのを見てもギャングスタクリップの奴等は気にしてなかったしな」

 

「あぁ!最高だぜ、ホーミー!今ちょうどテレビでそれを見てたところだ」

 

「なに!?テレビに俺達の事が!?早いな!」

 

マークはかなり驚いた様子だった。

 

「奴等はすでに警察とぶつかってるぜ。完璧だな。今はもう隠れ家か?」

 

「さっき隠れ家に戻ってきたぜ。ぶつかったか!?そうか!このまま大勝利間違いなしだぜ!

じゃあまた連絡するからよ!」

 

俺は携帯電話をテーブルに置いた。

 

「どうする?まだこのまま続けさせるか?」

 

俺がきいたが、ガイは答えずに黙っていた。

 

「まぁ…明日すぐにやるってわけでもないだろうし、ゆっくり考えればイイか…」

 

俺はそうつぶやいた。


 

次の日、仕事から帰ってきた他のE.T.やホーミーも加えて審議が始まった。

議題はもちろん『まだ続けるか戻すか』だ。

 

「マーク達の最初の攻撃で、警官が三人死んだらしいな」

 

シャドウが自分のツルツルの頭をなでながら言った。

 

「本当か、ニガー?ついにB.K.BもKKデビューかよ」

 

これはライダーだ。

ハンモックに寝そべって天井を見つめている。

 

KKとはCKクリップキラーBKブラッドキラーのように、警察殺し(コップキラー)を表す。

本来ならば警官はCopなのでコップキラーもCKとなるが、クリップキラーと区別するためにKKと呼ぶのだ。

 

「まだ帰さない方がイイんじゃないか?クリップスの被害は?」

 

コリーが言った。

ガイがそれに答える。

 

「死んだのは十一人だそうだ。パクられたのは二十人あまりだとよ。

さらに警官も一人死んでるみたいだ。

奴等、アジトを捨てて町のどこかに潜んでるらしい」

 

「じゃあ警察は捜査し始めるんじゃないか?マーク達の隠れ家にも手が回って見つかるかもしれない」

 

俺が言うと、みんなの顔が青ざめる。

それを見た俺はすぐに携帯電話に手を伸ばしたのだった。


すぐにジミーの携帯番号のメモリーを開き、マークにつなぐ。

 

ツー。

 

コール音。

 

「早く出ろ…早く出ろ…」

 

ホーミー達も一心に俺を見つめていた。

 

「なんだよ、ニガー!寂しがり屋だな!」

 

「マークか!?急いで引き返してこい!」

 

「はぁ?昨日やっとドンパチが始まったところじゃねぇか」

 

マークは呆れたように返してきた。

おそらく暴れ足りないのだろう。

しかしこの時はそんな事を言ってはいられなかった。

 

「奴等は、アジトに見切りをつけて町のどこかに隠れたらしい。警察の捜索が始まるに違いねぇ!

その隠れ家もすぐに割れる。だから早く引き返してくるんだ!」

 

「チッ…分かった分かった!仕方ねぇな…

おい!ニュージャックども!引き上げだ!

車を四台ばかり盗んでこい!ロングビーチに一旦戻るぞ!」

 

マークが周りの仲間達に指示している。

その時だった。

 

パァン!パァン!

 

銃声。

ぐあぁぁ!!という叫び。

電話の向こうから聞こえてきた。

 

「マーク!どうした!?」

 

「クソ!一人やられた!どうやらお前達の読みは当たりだぜ、ホーミー!

また連絡する!」

 

ピッ。

 

そう。すでに遅かったのだ。


 

ガシャァン!!

 

アジト内に大きな音が響いた。

 

「おい…どうしたんだよ?」

 

心配そうにコリーが声を掛けている。

それは…ガイだった。

奴がバットで椅子を打ち壊したのだ。

みんなは信じられない、という顔をしている。

昔の冷静沈着なガイの姿からは想像もつかない姿だったからだ。

 

「これ以上…仲間は死なせねぇ。俺はただ…地元で仲間達といつまでもバカやって生きていきたいだけなのに」

 

「落ち着け。お前一体どうしたんだよ?エラく変わったな?」

 

バットを握ったまま肩で息をしているガイにシャドウがハグをして落ち着かせた。

 

「すまん。

しかし…どうしてこうも上手くいかないんだ?

俺達を邪魔する奴が多すぎる。

俺が離れている内に多くの仲間は死んでいった。

また会えないまま仲間が死んでいくなんて…悲しすぎるぜ」

 

「いや、死なねぇな」

 

ライダーが笑った。

すぐにガイが返す。

 

「どうしてそう言える?」

 

「アイツ等を…信じてるからだ。

アイツ等にはマークがついてる。奴は強い男だ」

 

強い男…ケンカが?いや、ライダーの言葉はそんな浅い言葉ではなかった。

 

「強い男か…」

 

もうそこには昔と同じ、クールなガイの姿があった。


ピリリ…

 

みんなハッとした。

この日、何度目か分からない程の携帯電話の着信。

俺はすぐに出る。

 

「よう、サム!なんとか警察を切り抜けた!」

 

「車は!?手に入れたか!?」

 

俺は言った。

 

「あぁ!三台な!だがまだ足りないから探してるところだ!ケガ人も出てるし手間取ってる。

おい!あの車はどうだ!?」

 

俺と会話しながらも、マークはニュージャック達に指示を飛ばしている。

 

「サム!大丈夫そうだ!全員車に乗った!今から四台で…

な!?クソ!パトカーが追ってきやがった!

仕方ねぇ!撃ち殺せ!」

 

「マーク!」

 

けたたましい銃声が響いている。

電話は自然と切れた。

 

マークの電話の充電が切れたのか、あるいは電話が壊れたのかは分からなかった。

 

「おい、サム!アイツらヤバイんだろ!?途中まで迎えに行こうぜ」

 

ジミーがバットを肩に乗せた。

 

「あぁ…どうする?」

 

俺はみんなの意見をきく事にした。

 

「行こう。アイツらを信じてないわけじゃねぇが、何にもしないわけにもいかねぇだろ」

 

シャドウがそう答えた。

 

「よし、決まった。

予定変更だな」

 

おう。とホーミー達から声が上がった。

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