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B.K.B 4 life  作者: 石丸優一
21/61

my nigga

親友。

気が合うから、家が近いから、仲がイイから…すべて違う。

 

命を張っても守りたいから。

そうは言ったものの、この日に再びみんなを集めるのは無理だと判断したマークと俺は、二人で遊ぶことにした。

形は違ったが、俺の見た夢が正夢となったわけだ。

 

「本当に久し振りだな。お前と意味も無く遊んでまわるなんてよ」

 

「この間クラブに連れてかれたぞ?」

 

「あれは抜きにしての話だよ!食えねぇなぁ、サム」

 

俺達は笑った。今が抗争状態にあるだなんて思えないくらいに心は高ぶった。

今日だけは仲間達をまとめるリーダーとしてではなく、一人のただの男として過ごそう。夢とは違って、そこはそう思えた。

 

「サム、なにをやろうか?」

 

「そうだな。まずメシだな」

 

俺はガレージからインパラを出して、助手席に親友を乗せた。

マークも今日という日を楽しんで過ごすつもりらしい。奴の大きな顔は満面の笑みだった。

 

近くのバーガーキングのドライブスルーへと入る。

 

「俺はチキンセットのレギュラーだ。飲み物はコーラ。それと別にバーガーの単品を一つ」

 

「えーと、それじゃ俺は…全部のセットのラージを一つずつ。飲み物はコーラで…ケチャップはいくつか余計にくれ!」

 

かしこまりました、と店員の声が聞こえて車を前に進める。

受け取った商品と引き換えに十ドル札を二枚店員に渡した。

若い白人のねえちゃんだ。


「ありがとうございました!」

 

バルン!

 

キャブ車の独特な排気音で歌いながらインパラが発進する。

 

それにしてもマークは、いつも注文を頼みすぎだ。

だが、これを全部一人で食うから笑えない。

 

スノウマンも変わらないくらい食べていた記憶がある。

 

「サム、セントラルパークで食おうぜ!昔みたいに、つまらねぇ話でもしながらよ!」

 

 

セントラルパークに到着した。

俺達がしばらく集合場所として使っていた時は誰も近寄らなかったが、この時は普通に子供達が走り回っていた。

 

俺達は目立たないように隅のベンチに座る。

マークはすぐに袋を開けてバーガーをむさぼっている。

 

「おいおい、もう少し落ち着いて食えよ、ドッグ」

 

俺もバーガーにかぶりついた。

うまい。

 

「ん?なんだコイツ」

 

猫がいた。ガリガリで可哀相だ。

俺達が食っているメシをうらやましそうに見つめて鳴いている。

 

俺はあんまり動物に興味はないので無視していたが、マークは猫に気付くと目の色を変えた。


「おぉ…どうしたんだお前…こんなに痩せちまって。ほら、俺のポテト二袋やるから。大丈夫だ、まだ三つある」

 

奴は猫の為にポテトを地面に置いた。

マークとは長い付き合いだが、まさか動物が好きだとは知らなかった。

猫は鳴き声をあげながらゆっくりとポテトを食べ始めた。

だが俺は猫に普通イモをやるか、肉か魚だろ。と心の中で思った。

 

「うまいか?そうかそうか!」

 

マークは髭についたソースにも気付かずに笑っていた。コイツのこんな一面を見れただけでもこの一日は価値があったのかもしれない。

 

俺のメシよりも圧倒的に量が多いのだが、マークはさっさとメシをすべて平らげた。化け物か。

 

「ん?B!まだ食ってんのか!女じゃねぇんだからよ」

 

「お前こそガキじゃねぇんだから…口についたソースを洗ってこい!」

 

俺がそう返すと、マークはガハハと笑いながら水道へと向かった。

その頃には俺も猫もメシを食べ終えていた。

 

「さて、次は何をしようか」

 

俺は近くにあったクズかごにゴミを投げ入れて立ち上がった。


「ん?」

 

道端に停めたインパラへと歩いていると、猫が俺達についてきた。

 

「なんだコイツ?ほら、帰れ。あっち行け」

 

だが猫は俺達のそばを離れなかった。

 

「マーク。猫ってすぐになつくか?」

 

「はぁ?知らねぇよそんなこと」

 

「何でだよ?お前動物好きなんだろ?」

 

俺の言葉にマークが変な表情になった。

 

「別に好きじゃねぇぞ?」

 

「なに?だってお前…」

 

「エサをやったのは…昔の俺達みたいだな、と思ったからだぜ」

 

マークはまたガハハと笑って猫を抱えた。デカイマークの体とは不釣り合いなほど小さい。

 

「この猫はよ…ガキの頃、貧乏な暮らしで白人達にバカにされてた頃の俺達と同じだ。服はボロボロ。欲しい物も充分に買えず、盗みを繰り返す…みじめだった。

それが今じゃどうだ?豪勢な暮らしとは言えないが、地元では有名なギャングだ。周りからも一目置かれてる。相変わらず汚い事はやってるが、昔よりはイイ暮らしだ。

この猫を見殺しにしたら、昔の自分達を殺しちまうみたいで嫌だったんだ」

 

猫は苦しいのか短く鳴いた。


マークが手を放すと猫は驚いてどこかへ走っていく。

 

「アイツの名前はメルシーちゃんだな」

 

「なにわけの分からない事言ってるんだ、お前?」

 

インパラへと戻ると、今度は二人の子供がじっと車を見つめていた。

俺達に気付くと恐いもの知らずなのか、はしゃぎながら近付いてくる。

 

なんてほのぼのした日だ。いつも生か死かの狭間を暮らしている事をも忘れてしまう。

 

「これ、お兄ちゃんたちの車~?」

 

「あぁ。そうだ」

 

俺は短く答えた。

 

「どうしてこんな古い車なの~?

どうして屋根がないの~?

どうして2人とも赤い服を着てるの~?」

 

子供ってのは本当に質問が多い。なんでも知りたがる。

俺が面倒だなと頭をかいていると、マークが質問の一つ一つに答えてくれた。

 

おかげで今度はマークに二人の子供がなついてしまったようだ。

 

「お前達、名前は?」

 

マークが二人の頭を撫でながら聞いた。

一人のガキが答える。

 

「僕はショーティだよ~!こっちはお友達のトニー君」

 

…!

 

まさか…こんな事があるなんて思わなかった。


マークと俺はその場で固まる。

 

「どうしたの~?」

 

「なんで泣いてるの~?お腹いたいの~?」

 

二人に言われて俺とマークは涙を流していた事に気付いた。

 

「あぁ…なんでもないんだ。ほら、バスケットが始まったぞ?行かなくてイイのか?」

 

公園では他の子供達が一つのバスケットボールに群がっていた。

 

「あ、ヤバイ!行こう、トニー君!」

 

すぐに2人は駆け出して仲間へと加わりに行く。

俺とマークはインパラに乗り込んだ後もしばらくバスケットをぼんやり眺めていた。

 

「なんだか…面白い一日だったな、サム」

 

「あぁ、人生ってのは分からないもんだぜ」

 

バルン!

 

 

辺りはいつの間にか夕闇に包まれ始めた。

俺達は日が落ちる前にアジトへと戻った。誰もいない空っぽのアジト。中に入り、二人で冷蔵庫から安物のビールを引っ張り出す。

 

軽く瓶をぶつけて乾杯した後は、夜が明けるまで酒や話題が止まる事は無かった。


 

俺達が目覚めたのは昼過ぎだった。

すぐに俺は服を着替える。

 

「ん?サム、どこに行くんだ?」

 

「あぁ、今日は仕入れなんだよ。本当はシャドウの奴に頼んでるんだが…」

 

あの状態だ。奴は今日は行けないだろう。

俺は手早くスーツに着替えて革靴を履いた。俺の正装だ。赤いバンダナを頭に巻き、その上からハットをかぶる。

 

正装とは言ってもバンダナだけは譲れないポリシーだ。銃は持っていかない。

 

「じゃあ俺はコンプトンまで行ってくる。マーク、俺が帰るまでに仲間を集めてくれないか?」

 

「あぁ任せろ、ドッグ。気をつけてな」

 

マークが冷蔵庫から古びたチーズを出してかじりつきながら言う。

 

俺はインパラに大きな麻袋を積んで、発進した。

ショーンに直接会うのは久し振りだ。

少し楽しみだった。

 

車はコンプトンへと入る。コンプトンブラッズの居住区に差し掛かった。

 

俺に気付いた奴等は変わらずハンドサインを向けてくれた。

イイ車だな、イイ服だなと声を掛けてくれる。

気さくな奴等だ。俺はハンドサインを返す。

そのままそこを通過し、ショーンのいる町外れの一軒家が見えてきた。


家の前にめずらしく、車が停まっている。黒いアキュラだ。

 

すぐに数人の男達が家から出てきてそれに乗り込むと、アキュラは発進した。

 

「ん?他の客か?」

 

俺はショーンの家の前にインパラを停車し、袋を持って中へと入った。

 

「ショーン!B.K.Bのサムだ!」

 

返事がない。しかし、地下への隠し扉が開いていたので俺は降りていった。

 

「ショーン!」

 

「こっちだぁ…」

 

奴の声がした。

やはり栽培室にいるようだ。俺が中に入ると奴が見えた。

 

仰向けに倒れ、腹から出血していた…なんて事だ。部屋一面に植わっていたブツも、ほとんど根こそぎ無くなっていた。

 

「ショーン!どうしたんだ!大丈夫か!」

 

駆け寄る。首を俺の膝に乗せて楽な姿勢にしてやった。

 

「あぁ…サムじゃねぇか…リーダーじきじきに来るなんて、いつもの…ハスラーの兄ちゃんが死んだ…のか?

ハハッ…イイ服だ…」

 

ショーンは苦しそうに笑った。

 

「こんな時に冗談はよせ!さっきの奴等にやられたのか!?」

 

そうだ、と奴は短く答えた。


「何者だ?」

 

「あぁ…昔、ブツの面倒を見てやってたケチなチンピラどもさ…金のアテが無くなったらしい…押し入ってきやがった…

それでこのザマさ…いきなり撃ちやがって…クソ!」

 

口から血を吐きながらショーンは答えてくれた。俺は頭のバンダナを外して血を拭ってやった。

 

「ソイツらは今ドコにいる?」

 

「追うのか?一人で?」

 

「それは…

でも許せねぇだろ?俺達の大事な商売道具を…」

 

俺が答えるとショーンはまた苦しそうに笑った。

 

「俺の事よりブツの心配かよ…」

 

「もちろんお前が撃たれた事にもイラついてるさ!」

 

ショーンはそうかそうか、とつまらなそうに言った。

すぐに死ぬ事はないだろうが、早く病院へ連れて行かねばならない。

 

「アテネだ…」

 

「ん?」

 

救急車を呼ぼうと立ち上がった俺に奴が言った。

 

「奴等はアテネだ…」

 

「アテネパークのアテネか?」

 

そうだ。という返事を聞くと、報復は一旦仲間と話し合って決める事にして、俺は地下から飛び出した。

早く救急車を…

 

「動くな!!」

 

いきなり怒鳴られた。

なんと一階の部屋の中は警官だらけだったのだ。俺は両手を上げるしかなかった。


 

「よぉ。元気がないな」

 

「サー・カール…」

 

コンプトンポリス留置場の独房で一人ベッドに横たわっていた俺に、警官が話し掛けてきた。横には鍵を持った監守の姿もある。

 

「『サー』はいらないぜ。呼び捨ててくれ」

 

この黒人警官の名はカール。

俺が捕まった日、パトカーの中で話すウチに少しだけ打ち解けた仲だ。

 

「面会だ。出ろよ、サム」

 

カールは警官にしては話の分かる奴で、ギャングの事を理解してくれていた。

おかげで俺が捕まった時、まったく手荒な真似はされなかった。普通なら顔が腫れ上がるくらい殴られてもおかしくないのだが。

 

それに奴だけは容疑者の俺をファースト・ネームで呼ぶのだ。

 

俺は立ち上がった。

 

「誰とだ?オフィサー・カール」

 

「サム!『オフィサー』もいらないって!楽にしろよ!」

 

カールは笑いながら俺に手錠をかけた。独房から連れ出される。

 

しばらく二人で歩いた。監守はついて来ないようだ。

 

「ほら、この部屋だ。ガラス越しに受話器を使って会話ができる。来てるのは友達みたいだな」

 

「ありがとう、カール」

 

俺が呼び捨てで名前を呼ぶと、奴は満足したように頷いて面会室の扉を締めた。


「よう。シケたスーツより、そのオレンジの囚人服のほうが似合ってるぜ」

 

「うるせーぞ、マザーファッカー」

 

いきなりの冗談に俺は安心した。やはり来ていたのはマークだったか。

 

「他の仲間は?」

 

「約束通り集めた。だがお前が朝になっても帰ってきやしねぇ」

 

「悪い…」

 

俺はうつむいた。

 

「気にするな、ニガー。ショーンって奴、ブツの仕入れ先の奴か…?

ソイツが撃たれたらしいな?命は助かったみたいだが」

 

「あぁ…ブツを回してくれる大事な人間だ。やったのはアテネパークの連中らしい。

俺はやってない、すぐに容疑も晴れて出れるさ」

 

「アテネ?分かった、シャドウに伝えておく。アイツは詳しいからな。

すぐ出れるならよかった。

それから…ニュースがあるぜ」

 

マークがニヤニヤしながら言った。

俺はわけがわからず首をかしげる。

 

「お前が捕まった事で、奴等の勢いが復活しやがったんだよ!

『リーダーも守れずに何がホーミーだ』ってな!」

 

「マジか!ここを出たらみんな一発ずつ殴ってやるぜ!アイツらめ!」

 

嬉しくて二人で笑った。俺が捕まった事で意外な展開になったわけだ。

 

「時間だ」

 

カールが入ってきたので、俺達はガラス越しに右の拳を合わせて席を立った。


 

次の日、とりあえずやる事もないので腕立て伏せをしているとカールがやってきた。

 

かなり後に聞いた話によると、カールにはギャングとして生きているホーミーが多くいるらしいのだ。

それでギャングにも理解があるわけだ。

その辺のハゲた白人警官よりはよっぽど立派だ。

 

アイツらは相手がギャングだと分かればある事ない事、罪をでっち上げてブチ込もうとする。みんながみんなとは言えないが。

 

カールはギャングや悪党を利用したりしないせいで手柄も少なく、いつまでも巡査どまりらしい。

泣けるじゃないか、警官の鏡だな。

 

「サム、喜べ!釈放だ」

 

「マジか!そりゃ、俺はあそこじゃ何もしてないからな」

 

独房の鍵が開く。監守がつまらなそうに見ていたので中指を立ててやった。

 

俺は再びスーツに着替えて外に出ると両手をいっぱいに広げた。

 

インパラもちゃんと返してくれたが、いつの間にか『違法改造』のステッカーがガラスに張ってある。

はぎ取って破ると、見送りにきていたカールが笑っていた。


ブラッドホールに乗り込み、エンジンをかける。

 

「それじゃ…世話になったな、カール。ありがとう」

 

「おう。また来いよ、サム」

 

誰が来るか!と笑い飛ばしてやった。

アクセルを踏み込む。

手を振るカールの口から、最後に「ファンキーによろしくな」と聞こえた気がした。

 

L.A.で一番汚い街、コンプトンの空は、これまで見た様々な空の中と比べても一段とキレイに見えた。

 

 

しばらく走り、地元へと戻ってきた。

East L.A.の看板を通り過ぎる。

 

「ん?あれは…」

 

アジトからはまだ離れた場所でウィザードのシビックが走っている。誰か、ホーミーが使っているみたいだ。

 

俺のインパラに気付いたらしい。車を横付けしてきた。

乗っているのはジミーとジャックのようだ。

 

「ようホーミー!出てきたのか!待ってたぜー!」

 

「サム、この前はみんなで色々と迷惑をかけちまってすまねぇな。もう俺達は大丈夫だぜ」

 

二人が俺に話し掛けてきた。

 

「あぁ。ホーミーを集合させてくれないか?みんなとビールが飲みたくてたまらねぇ」

 

俺の言葉に、二人は任せとけ!と大急ぎで走り去っていったのだった。


アジトでは久し振りに大人数での祝杯が上がった。

俺の釈放とみんなの復活を祝ってのものだ。

 

「サム、すまなかった。大変だったな」

 

シャドウが言う。おそらく自分が仕入れに行かなかったので、俺が捕まった事を言っているのだろう。

 

「イイさ。気にするな」

 

「ありがとう。ショーンが撃たれたらしいな。マークから聞いたが、アテネの連中だと?」

 

「そうだ」

 

シャドウはため息をついた。

 

「アテネはブラッズギャング発祥の地の一つだ。『アテネパークブラッド(Athens Park blood)』…聞いた事はあるだろ?五大ブラッズの一つだ。奴等がいる」

 

ブラッズの発祥は五つの弱小ギャングが、巨大化していたクリップスに対抗する為に連合した事から成る。

アテネパークブラッドはそのウチの一つ。歴史あるセットだ。

 

「いや、多分ギャングとは関係ない奴等だ。ショーンはセット名を言わなかった」

 

「そうなのか?それならイイが、五大ブラッズとは極力揉めたくないからな」

 

シャドウはビールをぐいっと流し込んだ。



クリップスはセット名の最後にほとんど『クリップ』または『クリップス』がつくが、

ブラッズのセット名には『ブラッド』『ブラッズ』『ビショップ』『パイル』『ボーイズ』『ジャングル』など、様々な物がつく。

つかないセットも存在するが、その場合セット名の頭文字が必ずBで始まる。『ブラック』『バウンティ』などが有名だ。

この自由度の高さが元々バラバラだったギャングたちの寄せ集めで出来た『ブラッズ』の特徴であるようにも感じる。

 

「それよりシャドウ…ギャングスタクリップの連中の動きが気になる。そろそろ何か仕掛けてきそうだ」

 

「クレンショウブラッドに見張ってもらうのも、無理みたいだしな…」

 

奴等はきっと俺達にとどめを刺しにやって来る。

だがすぐにやって来ない事を考えると、何か新しい作戦を練っているとしか思えなかった。

 

みんなは俺達二人が考え込んでいるのにも気付かずにドンチャン騒ぎだ。

 

「…。今はイイか…こんな話。さぁ騒ごうぜ、シャドウ!」

 

「それもそうだな!」

 

俺達は新しいビールを開けた。


「よう!聞け、ホーミー達!こうやってみんなと再び酒が酌み交わせて俺は最高だ!」

 

みんなから歓声が上がる。

 

「イイぞー!Bー!」

 

ジミーが叫んでいる。相当酔っ払っているようだ。

すぐにウォークを踏み始めたが、つまずいて転んでいる。

みんなから笑いが上がった。

 

「またギャングスタクリップがやって来ても、必ずココを守り抜こう!」

 

うぉー!と雄叫びが上がる。どうやら本当にみんなに勢いが戻ったようだ。

たった三十人くらいでもコイツらは頼もしいと思った。

 

「サムもこうして戻ってきた。ギャングスタクリップなんざ、いつだって返り討ちにしてやるぜ!なあ、ホーミー達!」

 

マークが立ち上がって吠えている。みんなも立ち上がった。

 

「ギャングスタクリップなんか敵じゃねぇ!」

 

「俺達は負けないぜ!」

 

ホーミー達が口々に言う。

 

「よう、ホーミー達!応えてくれ!

B.K.B 4 life!」

 

「B.K.B 4 life!」

 

みんなの叫びが一つになる。

コイツらは自分の命に変えても守りたい。あらためてそう思った。

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